古味直志先生の『刻どキ』はヒロインが可愛かったです（小並）

ジャンプ

2016.11.02

感想書こうかスルーしようか迷った挙句、いまこうして感想をつらつら書きなぐる。

『ニセコイ』の古味直志先生の新作読み切り『刻どキ』である。素直な感想を言うならば、俺が古味先生に求めているのは『ニセコイ』（特に小野寺さんとのあれこれ）の様な読んでてニヤニヤできるものだったので期待ていたのとは違いました。『ニセコイ』みたいなラブコメではない。

とはいえだ。1つの読み切りとしては悪くなかった。むしろ良かった部類です。

まあ、ジャンプ漫画として評価するとまた違うんですけど、少なくとも『刻どキ』単体としては良い作品だったのは間違いないと思う。しんみり切ない系でグッとくるものがありました。純情な中高生が読めば感動して泣く可能性もある。

『ニセコイ』、バイバイニセコイワールド

...

良い作品だったんだけど、『ニセコイ』で受けたダメージが癒えたかと言えばノーだ。

もうニセコイの小野寺さんの幻想を追っても仕方がないけど…。うん。

そろそろ『刻どキ』と向き合わねば…（ニセコイで負ったダメージが大きいようです pic.twitter.com/80xlojR5mV

— 山田 (@yamakamu) 2016年11月1日

『刻どキ』はラブコメでない

『刻どキ』はラブコメでない

ニセコイ作者って触れ込みでしたのでてっきりニヤリングできるラブコメかと思いきやラブコメ作品ではなかった。簡単にストーリーを説明すると、寿命が短い男女のボーイミーツガールです。

ヒロインの高城初は100万に1人が患う「刻拍病」（正式名称・弱心筋性心拍異常）という病気で寿命が短い。人の一生には心臓の鼓動回数が決まっており、この病気にかかってる人はそれが生まれつき少ない。初はあと6～7年で死んでしまうそうな。少しでも長生きするため、目立たず静かに心臓に負担をかけずに今まで生きてきました。

そんな彼女には一つ願いがありました…。

初の願い

このまま静かに息を潜めて生きてたって数年後には死んでしまう。

ならいっそ、もっと思いっきりドキドキするような事たくさんして精一杯楽しんで生きてみたい。

寿命が縮んでもドキドキして生きたいと述べる初。

彼女の事情を知った主人公・飯島鳩は「オレ手伝うよ」「君が最高にドキドキして楽しめるように手伝う」と宣言し、初と鳩のボーイミーツ青春生活を送るのでした。キラキラした今しかない青春のドキドキは凄く良く描けてます。

細く長く生きるか太く短く生きるか…。今作『刻どキ』は後者を良しとした感じ。下手したら早死にさせる殺人にもなってしまうわけでデリケートな問題です。ヒロインがドキドキして過ごす早死を選んだことも、家族は「嬉しそうだった」「悲しそうでもあったけど」と軽く触れられていました。まあ、ドキドキする青春を過ごすってのテーマなのでしょう。

相変わらず古味先生の描く女の子は可愛い

古味先生の真骨頂といえば女の子が可愛い可愛いアンド可愛いこと。

ヒロイン高城初

ぐうの音も出ないほど可愛い。

これまた凄い可愛いってんだからね。

最初こそ、暗い娘だなぁ…と思ったものですけど、ドキドキして過ごすように決めてからは初ちゃんまじ天使っぷりを見せつけてくれます。可愛すぎる。古味先生の生み出すヒロインのキャラクターメイキング能力はもはや芸術の域に達しているといって過言ではないでしょう。

特に『ニセコイ』ファンなら必見なのは顔芸です。

『ニセコイ』の可愛らしいリアクション顔芸の数々では多くの読者のハートをクリティカルヒットさせましたが、『刻どキ』の高城初もぐうかわリアクション顔芸は健在！量・質共に充実した顔芸を披露してくれました。

可愛い顔芸は健在

やっぱり可愛いな。

海に行ってお目目キラキラしてはしゃぐ初も可愛ければ、はじめての遊園地にはじめて食べるアイス…初のはじめてシリーズを経験する度にリアクション顔芸が最高すぎる。ニセコイを彷彿させる顔芸の数々。同時に男のリアクション顔芸がキモイのも健在でした（褒めてる？）。

ハッピーエンドではない

で、肝心のストーリーは良かった。が、ハッピーエンドではない。

てっきり奇跡的に病気が治って2人が付き合って大団円なのかと思って読んでたらまったく違った。主人公の男も同じ病気で途中で死んでしまうし。初もドキドキ過ごして予定より早く死んで終わるし。まあ、満足して生きたのでハッピーエンドっちゃハッピーエンドではあるけど。

高城初は21歳で亡くなった

その死に顔は…とても満足気であったという

うーむ。泣けるか泣けないかでいえば泣ける。学園祭は感動的でした。

お涙ちょうだいの作品です。しかし、これ読了後に幸福感が味わえるかといえば無い。なんでハッピーエンドにしなかったんだろ…。またナレーションが死んだ後も主人公がやってたので解釈次第ではあの世から過去を振り返った話とも取れる。今を精一杯生きたので悔いなしって感じでした。

巻末コメントでは「100％趣味で描いた漫画です（笑）楽しんで描いたので気楽に読んで頂ければ嬉しいです！」と述べられておりました。これ気楽に読むもんじゃないかなぁ…。趣味で2人が死ぬ話を描いたのか…。う～ん。

ま、『ニセコイ』九州編とラストで露見した古味先生はシリアス描けないって評価を覆すには十分な作品ではあります。キャラと話に吸引力があって終盤で泣かせる構成力は見事の一言。むしろ古味先生は短編向きなんじゃとも思える。良い作品でした。

古味先生のラブコメが読みたいっす…。

やっぱり読みたかったのは古味先生のラブコメなんだよなぁ。

自分が古味直志先生に期待している作品はニヤニヤできて幸福感を味わえるラブがコメるやつなんだと気付きました。『刻どキ』は良い話だけど求めていた話ではなかったというのが正直なところ。

可愛いヒロイン＆着替えを覗くラッキースケベ＆刻拍病（こくはくびょう）ときたら誰だってラブコメ期待しちゃうよね。まあ、この作品に下手に恋愛要素を入れなかったのは結果的良かった点ともいえるけど。いくつかラブがコメりそうな描写もありました・

手繋ぎ

自転車の二人乗りで胸をあててんのよといい、はじめての手繋ぎといい…ニヤニヤできるシーンはありました。こういうの見るとラブコメまた描いて欲しいなって思ってしまいます。本当にね、古味先生は可愛いヒロインを生み出すこと、ニヤニヤできるシチュを描くことは非凡な才能があるね。

もう『ラブラッシュ！』が息を引き取る寸前なのでまたジャンプでラブコメ描いて欲しいと心から思います。古味直志先生の次回ラブコメに期待しています！まる。

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