国が燃えている…
すげぇっ面白かった。
架空戦記もので原作未読なんですけどグイグイ物語に引き込まれますね。
ページをめくるのが止められない止まらないのかっぱえびせん状態。
まさに俺が読みたかったものです。
荒川弘先生のこういうのが読みたかったんだよというね。
もちろん「百姓貴族」も「銀の匙」も好きで荒川先生の実体験を基したネタは最高であるが、私は「鋼の錬金術師」が大好きだったので、またこういうの描いてくれないかなーと思ってたら「アルスラーン戦記」がまさにという感じです。
国が燃えている
世界はどれだけ広いのか?大陸公路の強国「パルス」の王子・アルスラーンはいまだ何者でもなく、ただ好奇心あふれていた。「頼りない」「気弱」「器量不足」と言われたアルスラーンが14歳になった時、遠国の異教徒たちがパルスへ侵攻。王子・アルスラーンは初陣の時を迎える。パルス軍の強さは古今無双。パルスと敵では大人と子供、象と蟻。この戦もパルスの圧勝に終わると誰もが信じていた…。奈落へ落ちたアルスラーンの運命!激動の英雄譚、ここの開幕!
1巻裏表紙より。
原作未読だからでしょうか。
ドキドキワクワク感が半端ないよ。
今ならマガメガで1話を無料でカラーつきで読めますのでとりあえず読んでみてください。
<まずは1話を読むべし>
・マガメガ「アルスラーン戦記」
ね。圧倒的に面白い1話である。
面白すぎる
おそらくアルスラーン王子がパルスの王となり成長していく物語なのでしょうけど、ここまで1話でテーマのようなものを見せてくれるとはね。
理想的な1話、序章とはこのことではないでしょうか。私が1話を読んで感じた大きなテーマのようなものはズバリ2つである。
1、奴隷制度
2、王の資質
この2点が今後、アルスラーンが即位して王としてのテーマになってくのかな?(違うかもしらんけど)パルスは強国で豊かな国ではあるけど、奴隷制度が当然のようにある。
1話ではルシタニアの子供が奴隷として捕えられたが、逃げ出しアルスラーン王子を人質にして王都エクバターナをかけずり回るのですけど、そこでの2人のやり取りが深いっすわ。
深いっすわ
ルシタニア人の少年は王都エクバターナでは物と人が溢れかえっている事に驚き、王子もパルス人は飢えを知らず文化的に豊かである言うが、少年は街中に奴隷が多い事に疑問を呈する。そこでのアルスラーン王子の台詞が世間知らずというかまさにボンボンならではなのである。
アルスラーン王子
「財を沢山持つ者は奴隷も沢山持つことができる。奴隷の多さは、この国の豊かな証拠だ。なぜ、おぬしは逃げるのだ!?大人しく奴隷になれば食べるには困らぬぞ!」
なんという発言!
すさまじい暴論きました。
いかにも身分の高い者の言葉という感じです。
もし、自分が奴隷となってコキ使われたらどういう気分になるのかとかそういう想像力が絶無である。これぞ、ボンボン王子、これぞ高貴な身分のいかにもな発言である。王子の発言にルシタニア人の少年はズバリ答えるのだ。
ルシタニア人の少年
「我らがイアルダボート神は人を平等に扱う!だが貴様らはどうだ!?人の下に人を置くあの制度はなんだ!?イアルダボート神はそのようなことは許さない!」
この2人のやり取りだけ見れば悪・パルス、善・ルシタニアとも見えるが、決してそんな事がないのもなかなかどうしてよ。
作中、少なくともアルスラーン王子のパルス人から見たらイアルダボート教は神のために戦い、異教徒は赤子まで皆殺しにする野蛮な集団として語られている。事実、少年も支離滅裂な発言を述べるのである。
言ってる事がめちゃくちゃだー!
「よって、我らが神の教えに従わぬ貴様ら異教徒は差別し殺してもいい!!」
なんという発言。すさまじい暴論きました。
つまりパルスもルシタニアもどっちもどっちなのである。
単純な善悪二元論ではない。1巻2話からはパルスとルシタニアの戦争が描かれるんですけど、どっちが正義か分からんね。僕はこういうの大好物である。また、個人的に引っ掛かったのは王子の「言ってることが支離滅裂だ!」の心の声であろう。
あえて声に出して突っ込まないのは、そこから論争したとして、この「奴隷制度はなんだ?」というものに明確に反論できないからであろうか。1話ラストの王子の呟きはすさまじい深さがあるね。
私には解らぬよ
「…なぜ。素直に奴隷になっておれば命を落とさなかったものを…。なぜなのだ…。私には解らぬよ、ダリューン」
1話で捕えられたルシタニア人は奴隷になるのを拒み暴れて全員殺されたのを見た王子の呟き。奴隷になれば食うに困らず命も落とさなかったのに「なぜなのだ…」と。答えは得られるんだろうか?私、気になります。
2話から戦争が始まり、これが息をつかせない緊迫感で最高なのである。めちゃくちゃ面白かったのである。続きどうなるねんというね。そこでちょろっと出てくるんですけど、どうやらアルスラーン王子には出生に何かあるようなのだ。
出生に秘密があるようだ
すげぇ意味深なヴァフリーフの爺さん。
「なるほど国王陛下には似ておられぬか」ってどういうことやねん。
さらに、ある者(こいつの2話ラストの表情は鳥肌ものだ)も「…哀しくあわれな王子」と述べていた。おそらく家臣の一部の者だけは王子の出生に何かあると知っているのだろう。
何度も言うけど、私は原作未読なので、あくまで漫画版のみを読んだ印象であるが。
おそらく主人公アルスラーンは現パルスを治める父・アンドラゴラス陛下の血の繋がった本当の子供ではないくさいのである。正当な王位継承者ではないように見える。
だがしかーし!
アンドラゴラ陛下の本当の息子でなかったとして、アルスラーン王子は王になれないかといえばNOだろう。そも、本人も知らないくさいし。
この出生の秘密が今後に繋がるのであろうが。で、アルスラーン王子は「王の資質」として考えれば相当なタマである片鱗を見せているのだ。
アルスラーン王子は1話の冒頭で悩める少年であった。
悩める王子
「…立派な王とはなんだろうな」
世間的評価では、アンドラゴスラは勇猛果敢な立派な王である。
対して自分は「頼りない、気弱、器量不足」という三冠王のダメダメっぷり。街の人々の印象も頼りにならん、アホ王子と言われている始末である。
確かに、頼りないし、視野も狭い、剣技も未熟である。自分がダメだと理解している。
その上で「…立派な王とはなんだろうな」とレイプ目で呟いたのだ。凄まじい違和感を覚えたのは俺だけではないはずだ。私はこの台詞に鳥肌が立ったのである。だって、王子は自分がダメだと理解してて1ページ前にはこう言ってるのである。
1ページ前
「父上のような立派な王になるために励んでいるんですが、なかなか上達いたしません」
剣の稽古を母に報告する中で「父上のような立派な王」と言っている。
自分は剣技、戦闘能力はアンドラゴラスにはとても及ばない未熟者である、と。
アンドラゴラのような立派な王と述べて、その1ページ後に「…立派な王とはなんだろうな」という疑問である。普通、そこの台詞は「…父上のようにはなれんな」「…父上に比べて私は駄目だな」とかそういうものだろう。それが立派な王とは何かって。
お前、アンドラゴラスを立派な王とか言いながら立派な王の定義を問うって、そいつはアンドラゴラスは立派な王じゃないって分かっているだろ!
確かに、1巻の印象ですがアンドラゴラはただの脳筋野郎にしか見えないのである。血が繋がってるかどうかは知らんが、父親を立派な王と言いながら立派な王とは何なのかという疑問。凄いねコレ。鳥肌ものです。
アルスラーンは「頼りない、気弱、器量不足」という三冠王ではあるが、アンドラゴラスにはないものがある。それが人徳ってやつである。
優しい王になれるんじゃないかな、愛される王になれるんじゃないかな、というね。例えアンドラゴラスの本当の息子でなかったとしても、器有りで候。
人徳
パワプロ風にいえば「人徳、○」です。
これは相当な「器」であろう。無闇な殺生を良しとしない性格であり、頼りなさは逆に守ってあげなきゃと思わせる程であり、めがっさ中身も優しさ全開である。
こいつは相当なタマだろう。もし、俺の上司がアルスラーンのような人ならばこの人ダメダメだけど仕方ない俺がいっちょやってやるかとなるね。つまり、部下の士気も上がるんじゃないかな。戦争においてはプラスとなろう。
さらにいえば王子の好奇心旺盛っぷりね。
知識欲がある感じで描かれている。1話で奴隷制度のなんたるかを知らん無知っぷりを晒す中でも、世間知らずのボンボンが落下す中で、世界は広いというのを魅せる描写にワクワク感は最高潮に達したのだ。
世界は広い
素晴らしい。実に素晴らしいです。
無知な王子が世界の広さを知る様子が素晴らしいとしか言いようないね。
この時、見た景色をどう思ったんだろうね。「鋼の錬金術師」や「銀の匙」でも分かる通り、荒川先生は少年の成長を描くのが上手いのだ。アルスラーン王子は今度、どう成長していくのかね。楽しみすぎるね。
何度も何度でも言うけど私は原作未読である。
だからこそ先が気になるワクワク感が半端ない。アルスラーン王子の成長を新鮮な気持ちで読めるのである。アマゾンの批評見ると賛否両論ですけど、原作未読の私は最高に楽しめました。超面白い。超お勧め。2巻読みたい欲求が半端ないでしょう。嬉しいことに2巻は来月発売だ!
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