『魔法少女は死亡する』、3×歳だってキラキラした魔法少女になれる…?

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魔法少女は死亡する (楽園コミックス)

 

『魔法少女は死亡する』(シギサワカヤ)読了。

※こんなタイトルですが魔法少女モノではありません

 

杉並ナナヲ3×歳。職業・アニメの脚本家。私生活も仕事も何もかも思い通りに運ばない――それでも。彼女は今日も前へと進んでゆく。涙と笑いのシギサワ節全開「創作あるあるコメディ」全1巻!

 

<試し読み>

魔法少女は死亡する|白泉社
杉並ナナヲ3☓歳。職業・アニメの脚本家。私生活も仕事も何もかも思い通りに運ばない――それでも。彼女は…

 

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『魔法少女は死亡する』

主人公は杉並ナナヲ。30代の既婚者でアニメ脚本家をしています。タイトルである「魔法少女は死亡する」とはナナヲがメインシナリオとして担当することになったアニメのタイトルなり。新規シナリオを制作しながら彼女の奮闘記です。

 

初期はコメディ調で進んでいき、途中から胃がきゅーっと締め付けられるような、いつものシギサワカヤ節が炸裂していきます(誉めてます)。ライトなノリからヘビーなノリ。むしろこれこそって感じでしたね。

夢見る少女じゃいられないナナヲ

杉並ナナヲ

 

主人公のナナヲがなかなか魅力的。

 

ちょっと枯れてる。達観してるといってもいい。「恋愛のその先を知ってしまった」「キラキラをくぐり抜けたその先を」というように、結婚生活のおかげでもう眩しいものに素直になれない。担当するシナリオでも、夢や糖分を与えるだけでは済まない妙なギスギスしてるリアリティを作品に入れてしまいます。

 

まず思ったのは杉並ナナヲってシギサワカヤ先生本人といいますか、自己投影部分が少なからずあるんじゃねってところ(いや知らねーけど)。というのもシギサワカヤ作品の恋愛は、ナナヲの作るシナリオのように砂糖の上にカラシぶっかけるような作風だからね(いい意味で)。

 

後書きでも以下のようにある。

 

小さい頃親に「漫画家になりたい」と主張したところ、「そうか…人々に夢を与える作品を描くといい…」と言われたのは実体験です。夢…いや…いつも作品における含有量はじゅうぶんなつもりなんですが…。

 

夢とか希望とか

 

まあ、シギサワカヤ先生の真骨頂は恋愛モノって夢と希望がある題材に「現実」というものをぶっ込むのものですからね(称賛してます)。ぐつぐつと煮詰まったような感じが刺さるのです。

 

胃をキリキリさせ、ハートに「ぐぎぎぎぎ」とダメージを刻むような恋愛モノが味であり、長所が同じじゃんって思ったり思わなかったり。

苦労人のナナヲ

畜生ダンナ

 

『魔法少女は死亡する』は、キラキラした夢見る女の子だったナナヲが旦那のぐうの音も出ない畜生っぷりに色々と幻滅しつつ我慢して生活する日々で、監督が救いにもなって惹かれていく(?)というのがざっくりしたストーリー。

 

旦那とのやり取りは相変わらず精神を削ってくるのですが、「好きだから」と相反して「苦しい」という部分でなく(これがシギサワカヤ恋愛モノの良さでもある)、既に諦めの境地に達してて「嫌いだから」そのまま「苦しい」と我慢してるのはちょっと新鮮でした。

 

既に心は離れてるが監督がある意味で暗闇に差し込んだ一筋の光でもあった。

ドス黒い感情をいかんなく描いて、最後には救いがあるって印象。

 

前半は軽快にコメディチック。でも物語が進むにつれて徐々にドS作家の本性を見せて、ナナヲと監督と読者を千尋の谷に突き落とし、そこから這い上がってきた者だけに真の感動を与えるってのが『魔法少女は死亡する』のキモかな。

 

なんのかんので良いタイトルでもある。

魔法少女がナナヲだとしたら確かに死亡した。

杉並ナナヲ3×歳「魔法少女」になります

魔法少女かな?

 

自分は魔法少女ではない…いや死ぬんだと自虐しつつ魔法少女になってる(?)演出はかなりグッときましたね。魔法少女モノ特有のリボンが身体に絡まって変身するシーンのメタファーとして使ってる演出が特に素晴らしかった。

 

夢見て結婚したのにダメになった。しかし、監督と過ごしていき…「…そんな魔法少女がいてもいいでしょ」と言われたナナヲにリボンをまとっているのは、こいつ変身したんだなって思うに十分な変化がよく分かりました。

 

最終話まで読むと、このタイトルは最高なんじゃね…?と。杉並ナナヲが魔法少女だったとしたら確かに「死亡した」けど、それでも再び魔法少女となった(リボンまとって変身した)。ラストのサブタイは「魔法少女は再生する」も的を射てる。

魔法少女は再生する

事後こそスルメのような味わいやな

 

この作者って事後に裸でゴロゴロしながら駄弁ってるシーンがそこはかとなく心の琴線に触れてくるのです。熱いわけでもなく冷たいわでもない絶妙な温度。なんか致した後にどこか甘い匂いのするのが心地良さげというか。

 

そんな裸で「事後」こそ味である作風のラストで、『魔法少女は死亡する』は最高だったなと改めて思った次第です。はい。

 

魔法少女はリボンを身体にまとって変身するじゃないですか。で、魔法少女に変身する最中のシーンは全裸ってのはお約束ですよ。ナナヲは「魔法少女に変身してるところ」なんですね。リボンがからまって全裸になった…。ここからようやく魔法少女になる。

 

しかし、魔法少女を維持できるかは分らん。一見するとハッピーエンドだけど、変身は解けるものですしおすし。監督もなかなかの畜生描写多かったので、「魔法少女のようになった」でめでたしめでたしだけなのかと。業の深さすら後味で残りました。まる。

 

コメント

  1. より:

    楽園て雑誌、家から近い本屋にない
    あってもパッケージしてある

  2. 匿名 より:

    最近3×歳女性の漫画が多い気がする!

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