『アルテ』3巻を読了。
うむ。面白いですね。16世紀のフィレンツェ。芸術など文化活動が花開いたルネサンス。活気あふれる華やかなる時代で貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りして奮闘する物語なり。
思わず手をとめて見入る描き込み
『アルテ』の魅力は沢山あるけど、思わず1コマ1コマ見入ってしまうぐらいに描き込まれた絵や、16世紀のイタリアの生活や文化や宗教など唸るレベルで勉強になる設定。
そんな中で特筆すべきは「アルテの頑張り」につきるでしょう。
この時代は女性がひとりで生きるには厳しく、女で画家工房への弟子というのは前代未聞。
そのため、3巻では「女であるせいで」困難にぶつかる。
男社会の中でひとり女が入れば当然といえば当然の問題である。
しかも男尊女卑の時代だし。
同業組合という職人同士で助け合うシステムがあり、役員の談合で女の弟子・アルテが議題に上がり問題になる。「女の従弟」というだけで、画家工房に働くに相応しいかある仕事で判断されることに…・
で、アルテはどうしたかと「ひたすら頑張った」である。
いや、「いつも通り頑張った」と言うべきでしょうか。男社会の中で理不尽な目に合うも、持ち前の明るさと根性で普通に男どもに受け入れられる姿にはグッとくるね。笑顔を絶やさず頑張る。
いつも通りのアルテの頑張り
何が良いって、テストのような形だったんですけど、特別何かをするわけでなく「いつも通り」だった点でしょう。自分の仕事をしただけ。
3巻は、男主導社会の中で女が受けていれられない理不尽さや偏見を露骨に描いたものがテーマだったんですけど、その解決策が胸熱ってもの。
まあ、これは現代社会にも通じていると思う。「女のくせに」というのは今でも普通にあるからね。ここでアルテは「女だから」というのを特に使わず、工房の徒弟として自分の仕事に専念しただけ。どこぞのドラマみたいに男に復讐するとか対抗しない所が良いっすな。
よくビジネスなんかでも女性が男社会で生きる道として「男からの偏見に負けず淡々と実力を示す」と言われる事が多い。まあ、俺は男なんで女性の苦労とかは実感ないんですけど、その通りではないでしょうか。
自分も女性が上司だった経験がありますが、特に男女とか関係無しに出来る人は出来る。初期に「もう女捨ててやるわよ」と述べたアルテは特に性別関係無しに淡々と厳しい仕事を頑張る。
女を捨てたアルテの頑張りは見ていて清々しいよね。
男共の中に普通に入って馴染む姿はグッとくる。
だ・け・ど!
アルテの中にあるレオへの恋心はなかなかどうして。
思わず頬を緩めてしまうってもの。今では箱入りお嬢様ではなく、ひとりの立派な職人(見習い)になっている感じだけど、なんのかんので乙女なんだよなぁ。この辺りのバランスが面白い。
うむ。
やはり元気に頑張るアルテは最高だね。
読んでるこっちまで元気を貰える。自分も頑張ろうって気になれる。また女を捨てたと言いつつ、恋する乙女なのも素晴らしいです。実に素晴らしい。今後も非常に楽しみです。まる。
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