大傑作だった…。
『彼方のアストラ』(篠原健太)全5巻読了しました。
えらいもんを読んでしまった…(震え)。アイ・イェー!
ツイッターで凄まじい作品だったと教えて頂き、読んでみたらこれが大正解でした。実はジャンプ+の連載途中で読まなくなっちゃったんですよね。ぐぬぅ~!最後まで追うべきだった。
篠原健太先生は前作『スケットダンス』で、ラブコメ無き氷河期のジャンプにサーヤというぐうかわキャラを生み出したからね。あの時代はサーヤが荒野に咲く一輪の花でした。まるで、暗黒の世界に一筋の光が差し込んだような、そんなありがたさがあったのです。
そんな氏の『彼方のアストラ』はラブがコメる的な意味でも楽しかったし、それ以上にSF&ミステリとして超面白かったのです。大傑作。
宇宙への往来が当たり前になった近未来。高校生のカナタ、アリエスら9名は“惑星キャンプ”に旅立つ。未体験の宇宙旅行に胸を躍らせながら惑星に降り立った彼らを待ち受ける、予想外の事態とは!? 近未来SFサバイバルストーリー、始動!!
<試し読みできます>
簡単にどんな漫画か説明すれば「十五少年漂流記」の宇宙版です。SF冒険劇であり、そこにミステリー要素もあり(これが凄い)、『スケットダンス』のような青春盛沢山なのである。
『彼方のアストラ』
宇宙で迷子になる
高校の行事で「惑星マクパ」へキャンプ旅行に訪れれば、謎の球体によって遥か彼方の宇宙へ飛ばされ遭難してしまった9人。そこから運よく見つけた宇宙船に乗って9人で協力して母星を目指すことになります。
最初は個性的なメンバー全員がバラバラだったのに、共に冒険をしていくうちに一致団結し本当の仲間になっていく様は「努力」「友情」「勝利」が濃縮しているかのようでした。それぞれの成長っぷりにグッド。
さらに、天然娘アリエスと褐色娘キトリー可愛さもなかなかどうしてよ。
最初はアリエスにあんま心の琴線触れなかったんだけど、もりもり可愛くなっていくアリエスの恋する乙女っぷりにハートをフィニッシュブローされちゃいました。
アリエスとキトリー
特にキトリーの可愛さは「並」じゃありません。特盛です!
何度も「あー!可愛いな、こんちくしょー!」と叫びそうになったことか。
9人のメンバーで幼馴染のザックに片思いしており、素直になれないけど絵に描いたような分かりやすいツンデレっぷりはサーヤを彷彿させますが、私的スカウターではサーヤを遥かに超える「可愛い力(ぢから)」をたたき出しました。
しかも、天然乙女や黒髪メガネっ子や幼女という品揃えの中で、ひとりだけシャワーシーンとかお風呂でバッタリとかの「お約束」を一身に背負ってましたからね。そんなエサに全力で釣られるのが俺たちのジャスティス!
もう、途中から帰ることよりもキトリーの恋の行方が気になってしまうレベルで可愛いかったんです(誉めてます)。キトリーのサービスっぷりとラブコメっぷりは頬を全力でニヤニヤさせるというものです。
可愛すぎ問題である
はい!可愛い!
「おい…見てるか?サーヤ…お前を超える逸材がここにいるんだ…」って安西先生もプルプル震えちゃうレベル。キトリーの恋の顛末は控え目に言って最高でした。きっとこれでサーヤも浮かばれることでしょう(死んでません)。
SFミステリーとしての傑作
犯人はこのメンバーの中にいる!
『彼方のアストラ』は「友情」「恋」満載の青春群青劇SF作品としても面白いけど、一番のキモはやっぱりミステリー要素でしょう。この作品の核であり、何度も「どういうことだってばよ?」「えー!?」「うそだろ?」「マジかよ!」といった驚きが満載です。
同じ方向へ向いて確かな信頼をつくった9人ですが、故意的に通信機を壊したり、宇宙で迷子になったのは殺害目的で、この9人の中に犯人が居るという下地がずーっとありました。これにプラスして全てを根底から覆してしまうような謎まで提示されてしまい、後半の怒涛展開は凄まじいものがあります。
この漫画は終盤で尻上がりに盛り上がる作品の典型で、本番は後半からだったのです。面白すぎるだろ!あまりにもビックリ展開とどんでん返しっぷりよ。ヤバイ!
ある惑星で、昔遭難して冷凍睡眠していたポリーナ(ポリ姉)を拾って搭乗員に加わることになります。彼女から目か見た真実は、僕らが思っていたことを根底からぶっ壊すことに。叙述トリックのようですらある。そこからの目まぐるしい展開は「すごすぎる」の一言です。
〇〇って何だ?
…え。
って、えええぇぇっ!?
な
に
こ
れ
?
↑4巻以降の1話1話を読んでる読者の図
もう、後半は読むのが、やめられないとまらいのカルビーかっぱえびせん状態。次々と明かされる超ビックリ設定と真実の数々。まさに物事を根底からひっくり返されてしまい腰を抜かしながら驚愕するのみ。
そして、ふと気付くのです。
実は『彼方のアストラ』は凄まじく完成された物語だったと。
何気なく読んでいた描写の数々が、あとから重厚に巧妙に張り巡らされた伏線だったと気づかされる。再読、再々読したくなる仕掛けが楽しく何度も読み返したくなる。伏線がからめとられる時、これまで通り過ぎてきた人物・舞台・事件が実は周到に準備されていたことに気付き感嘆するのみ。
「うおー!そうだったのか!」という事実もあれば、「あれはこういう意味だったのか!」と振り返って噛み締めるような事実もある。そんな「伏線」と「回収」が沢山あるのが『彼方のアストラ』です。すごい名作だ!
オマージュでは収まらない傑作でリスペクトがある
宇宙大学受験会場、最終テストは外部との接触を絶たれた宇宙船白号で53日間生きのびること。1チームは10人。だが、宇宙船には11人いた!さまざまな星系からそれぞれの文化を背負ってやってきた受験生をあいつぐトラブルが襲う。疑心暗鬼のなかでの反目と友情。11人は果たして合格できるのか?萩尾望都のSF代表作。
知ってる人が読めば『彼方のアストラ』は完全に『11人いる!』(萩尾望都)を元ネタとしているオマージュ的な作品なんですよね。自分も『11人いる!』を元ネタにしているなって思いましたし。ほとんど下地が一緒ですし、むしろ元ネタリスペクトすら感じる程です。
1人多いぞ11人いる!
10人のチームで、苦楽を共にする仲間の中にひとりだけ部外者がいるって疑心暗鬼になる。仲間の中に犯人がって要素は『11人いる!』でありながらも、『彼方のアストラ』はミステリーとしては完全に超えてる。
まあ、もちろん昔と今の漫画を比べてどっちが上とか下とか述べるのは野暮なんだけど、『彼方のアストラ』を読み終えた感想はオマージュが元ネタを完全に超えたってことです(個人の意見です)。
例えるならビートルズ。後にバッドフィンガーとかELOとか雰囲気やサウンドは模造できたけど、やっぱビートルズを超えたかと言うとちょっと…ねぇ…。先人は偉大なのである。(繰り返しますが個人の意見です)。
『彼方のアストラ』の凄まじいところは、どう見たって『11人いる!』のオマージュなのに、今風に再構築して同じ手法でありながら、元ネタを凌駕してしまうクオリティの高さである。
そして、作中から感じられるのは『11人いる!』に敬意を表しているなってシーンが随所にあること。『彼方のアストラ』では、9人の中で性別が中性のルカって子がいるのですけど、これどう見ても『11人いる!』のフロルじゃん!
男でも女でもないメンバー
女みたいな見た目だな…からの男じゃない?いや女性であり男性。どっちでもある存在である。『11人いる!』のフロルはヒロインだったけど、『彼方のアストラ』のルカは物語上でこんな設定にする必要性も意味もないキャラなんですよね。
つまり、これは篠原健太先生から明確に『11人いる!』を下地にしていますってメッセージであり挑戦状でもあるかなって(知らんけど)。『11人いる!』をよりブラッシュアップして、ディティールや周辺部に焦点を当てた「超強化リメイク」である。実際超えたと思うし。
私は藤子・F・不二雄先生が好きで、特にSF短編を読みまくったいたんですよ。子供の頃は全部ゼロから作ってたと思ったけど、大人になってほとんどが元ネタがあったと知りました。それでより一層、藤子F先生を好きになりましたね。
何故か?展開や結末をより最高に仕上げるからである。
藤子Fリスペクトもある
「宇宙船製造法」
惑星の冒険エピソードでは随所に藤子F先生の息吹を感じます。
特に「宇宙船製造法」。
「宇宙船製造法」は藤子F先生が「十五少年漂流記」の宇宙版ができないかと作った作品であり、この遺伝子は『彼方のアストラ』に確かに受け継がれるかなと。銃を持つものが支配者のくだりや、船が故障して留まろうとするなどは「宇宙船製造法」へのリスペクトかなって。
「宇宙船製造法」は一つの惑星に植物相や大砂漠や適した環境や乾燥がありましたが、色んな星を巡る冒険はこの辺りの世界観があると思う。
篠原健太先生は藤子F先生になった!
篠原健太先生が「ルナ・ゲートの彼方 (AA)」を読んで『彼方のアストラ』を描いたかどうかは知らんが、いわゆるSF版「十五少年漂流記」の原点とも言わる1955年発表の作品。
まだドラえもんのどこでもドアが世に出てない時代に、恒星間ゲートをワープできる「ルナゲート」がもとで宇宙で迷子になってしまう。そしてサバイバル生活で恋に友情に頑張った主人公に待ち受けていたオチが酷い…。子供は所詮子供なんだ!というハンマーでぶん殴られてしまう。なんやこれ。
どんでん返しの果てで、子供でも世界を変えられるひっくり返せる的な答えを見せた篠原健太先生の『彼方のアストラ』は現在の藤子・F・不二雄先生です!
「流血鬼」
例えば、藤子F先生の「流血鬼」は「地球最後の男」(I Am Legend)を下地にした作品である。終盤付近までほとんど同じストーリーを辿りつつ、元ネタへのリスペクトを盛り込んで、尚且つオチがめっちゃハッピーエンドになっています。
説得力の有る展開と結末はスゴーイ!オマージュに留まらない傑作にし仕上げ、元ネタにリスペクトして最高のEND。『彼方のアストラ』にも言えます。終盤の息を吞むどんでん返しの連続と最高のラストでした。SF版「十五少年漂流記」として最高傑作であると声を大にして叫びたい。
まとめると、キトリーペロペロってこと!
キトリーは偉大
まじキトリーペロペロ(^ω^)ですよ!
超お勧めです!全5巻なので一気読みがベスト!
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コメント
キリトーやないキトリーや…
まさかヤマカムで紹介されるとは…
アストラほんと面白かったっ!!
ジャンプラなら、ハイリスクミッションセラピーも是非!w
てっきりヤマカムで紹介されない系マンガなんだと思ってました
ジャンプ特有の「もうちっとだけ続くんじゃ」が無い、作者のペースで作られた良作だと思います
ジャンプラで約2巻分を試し読みできたので何気なく読んでみたらやめられない止まらない…そのまま全巻購入してしまいました
犯人は誰なんだとドキドキしながらも中盤で友情に涙し「もう犯人なんてどうでもよかったんや…」と思わせてからの怒濤の展開はすごい
アヌティメッタダイボモモがかっこよかったです(小並感)
まじ傑作
見事な作品だった、感動した
ラストがファイナルファンタジー(最終回発情期)
供述トリックwww
序盤からストレートにハマって最終回まで追い続けてきた身として
完結後ながらもこうして注目するマンガ好きが増えてきたのは
ワリと嬉しいところですね。
さりげない伏線でいうと「前世は親子かな」が後で気付いてヤバかった。
同じジャンププラス作品では、個人的な予想でしかないですが
サマータイムレンダが同様の「初めから全部仕込んでる連載」だと
思うので要注目かと思ってます。実際ここ数話はかなり面白い。
アストラエピローグのアリエス最高です。綺麗に完結でこれ以上は蛇足になると知りつつ続きが見たくなる名作でした。
めっちゃ藤子不二雄ですよねー
面白かったけど傑作か?
単行本の表紙で何となく裏切り者がわかってしまったのがちょっとなぁ
ネタバレを考えるとレビューが難しい漫画だよね……
真に面白い部分は紹介できないし、すると面白くなくなる。
でも絶対に面白いし、読み返したくなる感じ。性質的には外天楼が近いかな。
始まったばかりだけど、石黒正数の新作も面白そう
本屋探したけどなかった
電子好きじゃないのに
まじレスすると学生さんならカードとか持ってないでしょうから、本屋さんで取り寄せてもらうのが一番です。日販かトーハンのポス動くので出版社の営業さんも動いてる作品と認識して一番作者さんが喜びます。
社会人ならアマゾンの紙版を通販すれば…としか。アマゾンは取次すっ飛ばしてしまってるので有名売上ランキングにまったく影響与えませんが、出版社は動いてると把握する(はず)。
電子も悪くないと思いますけどね。
これは本当に見事な作品だと思いました!
単行本の表紙のデザインも面白いですね
既にコメントでもあるけれど、プラスで現在連載中のサマータイムレンダも
この彼方のアストラと同じ匂いがする。
完結したらヤマカムさんで挙げてもらいたい。
面白い作品だったけど「11人いる!」と比べてどうこう言う作品ではないと思うなあ
本当に傑作でした!
アニメ化しないかなー
尺もちょうどいいし
連載序盤で挫折派。
ヤマカムさんが大傑作というなら読まねば。
「サマータイムレンダ」は期待値高く読んでる。
つじつまあわない結末だったら20世紀少年のように盛り上げるだけ盛り上げて
よーわからん作品になる可能性もある。
確かに大傑作であった
何度も読み返す程に
あったが…
リスペクト元と比較して超えたどうのってのはどうかと思うなぁ
もう少し敬意を払った方がいいと私は思います
話全然変わりますけどマジパテはニセコイを超えてたよね!
ルカがISなのは意味があると思う。完全な男だったら、いくら親に愛されていない、後継者ではないと訴えてもウルガーには響かなかったはず。そして撃たれて死んでたかもしれない。
あの件の後にルカが自身のジェンダーをネタにして他人を(主にウルガーだけど)からかったりするのは、おおいに作者の意図を感じる。今はまだまだ性自認で悩む人も多いかもしれないけど、未来にこうやって笑い合えたらいいね。全員がそのまんまで楽しく過ごせたらいいね。そのために助け合っていこうってメッセージ。
アリスペードの生態系とも繋がるし、遺伝子が関連している伏線の一つでもあるし、何気に重要な設定ですよね
スタートレックの修学旅行版って感じ
※パクったなこの野郎!という評価ではなく、ようやくインスパイアされまくった作品が出てきたな…。という感じ。売れるなら、海外ドラマを漫画化したものだしてよさげ
自分、あの物語の最初から○○での話だと思っておらず、ポリ姉の言葉で初めて「え、○○だったの?」って思ったんだけど、みんなどこで○○だと思い込めたんだろう。
西暦だけどどう考えてもその西暦にあの文明になるわけないから、どこか別世界の話だと思ってた。
あと「輝夜姫」にも触れてほしいな。
彼らの正体はまさに「輝夜姫」そのまんま。
設定や展開は「輝夜姫」の方がはるかに残酷だったけど…。
「11人いる!」と「輝夜姫」が軸になって、ほかの古典SFをあれこれ盛り込んだ的な感じだった。なので驚きや意外感はそれほどなかった。
キャラがみんな活き活きしていて、それがすごくよかった。
ただ、さすがに「11人いる!」超えはない。時代性の違いは大きいけど、それ以外もね。
>>2019年10月21日 6:32 AM
SFに慣れてなければ特に「○○ではない」って言われなければ当然「○○での話」の前提で見るものかと
むしろ伏線の張り方に感心する
空港で会ったお婆さんの高校生の頃って丁度今現在ぐらいだろ?なのに宇宙キャンプ?
と思わせておいて
「ありがとうおじさん」「おばさんだよ」←なんだ意外と若いのか
というようにちょっとしたボケで核心から逸らし有耶無耶にする
でも違和感は残る
この違和感が伏線回収した時のスパイスになるんだよな