『尾守つみきと奇日常。』(森下みゆ)読了。
人狼の少女と紡ぐ、ニューノーマルな青春。ウェアウルフの尾守つみきさんと紡ぐ、「普通」じゃない日常――多様性の時代とされる現代。ついこの間まで「人ならざる存在」だった「幻人」は今は人間と関わり合って生活しています。
舞台は、幻人が多く通う景希高校。そこにいたのは、ウェアウルフの尾守つみき(おがみつみき)さん。モフモフの耳と尻尾が揺れる、天真爛漫な美少女。真層友孝(しんそうゆたか)くんは、悩める人間の少年。人間関係が原因で、自分のことが分からなくなりました。まだ誰も知らない、ニューノーマルな青春がここに。
最近サンデーではじまった「日常系」と「不思議生物」を合わせたようなもの。ジャンプの『ルリドラゴン』好きなら刺さるかなと思います。
※サンデーうぇぶりなら基本無料で読めます。
幻人と共存する現代
1話
人間の少年(真層友孝)と幻人の少女(尾守つみき)によるちょっと不思議な日常系です。ラブコメ要素もあるよ!(←ポロリもある風に言うな)。
まず世界観が面白い。現代日本のリアルな世界ながら、人ならざる「幻人」が人間と一緒に暮らしています。幻人は割と最近発見され、多様性の時代といわれる現代では普通に受け入れて溶け込んでる。
私立景希高等学校は幻人が多く通う高校で、主人公の友孝はクラスメイトでウェアウルフの尾守つみきさんと仲良くなっていく作品なり。ウェアウルフの生態とか周りに気を使いすぎる少年の悩みを解決したりニヤリング要素と見どころ満載。
幻人のおもしろかわいい生態
普通の人間ではない幻人の生態系というか生活模様が面白い。つみきさんはウェアウルフで半分は狼みたいなものです。
力が強いとか、爪が長く尖ってるので靴は大きいサイズで靴下が破けるとか、獣人用のスカートもあるけふど人間用スカートで尻尾を固定ベルト使ってたり…と、人間社会で生活する幻人のアレコレが楽しめる。
それがいちいち「可愛い」に変換されるのがツボ。靴大きく可愛いし、ツメ長くて可愛いし、尻尾固定ベルトも可愛いし、大好きなご飯だと尻尾ふりふりするのも可愛い。
「おぉーん…ぐるるるる」
はい!可愛い!
月の写真を見て思わず吼えてしまうつみきさんであった。可愛すぎる。一挙手一投足に「可愛い」がギュギュっと濃縮されてます。
ラブコメというのは(ラブコメなのか?)、アホでもドジでも、ぽんこつでも電波でも、人外でもロボットでも、おけらでもアメンボでも、殺意の波動でも、みんなみんな「可愛さプラスα要素」に変換されるバーリトゥードな世界ですが、『尾守つみきと奇日常。』は特にその傾向がある。
ウェアウルフのつみきさんは可愛さの満漢全席やで!
よき学園物
楽しかった。ありがとう…!
友孝は周りを気にするあまり自分の主体性がどんどん無くなっていることを悩んでました。他人の顔色ばかり伺うのをどうにかしたいというかコンプレックスみたいに持ってました。
そういう悩みも、つみきさんの豪快な性格によって救われる感じが実に良い。小さなことなんだ的心境ね。ただの人間も幻人でもそこにあるのは等身大の年頃の少年・少女がいて、幻人ってのがアクセントになってます。
話が進むとメイン2人以外のキャラも少しずつフィーチャーされていき、遊園地行ったり、野球やったりとヒューマンドラマとしての魅力もある。単純に学園ものとしても、キャラものとしても良いのです。
ラブコメ模様も期待大
び…っびっくりするしさ…?(2話)
圧倒的可愛さである!
ウェアウルフ風の挨拶を返したら普通に照れた。つみきさんはそういうの疎い鈍感ヒロインムーブしまくってただけに、「え?照れるの?」ってビックリすると同時に破壊力が凄まじい。
普通に最初から異性を意識するヒロインよりも、普通の人間でない幻人だからこそ、そういう男女の隔たりが無さすぎる子だからこそ叩き出すギャップの可愛さよ。
火力がさらに増すのは2巻以降なんですけど、1巻の段階で僅かながらも如実に確実にラブコメの波動をしっかり感じられる仕様となってます。これは素晴らしいボーイミーツガールだ。
4話
ふつくしい…。
最高のボーイミーツガールを高めてくれるのはつみきさんがナヨナヨしてる友孝の手を引っ張って導いてくれるだけにあらず。その逆もしかりです。その時のつみきさんの表情がね。いいんだ。
印象的な表情コマが本当に上手くて美味い。「あ!ここで感情の変化が起きたな!」「ここ何かあるぞ!」ってのが表情描写だけで魅せてくれる。これまでグイグイ友孝を引っ張ってたつみきさんが逆パターンで見せた驚きと「何か」がある表情は最高と断ずるに些かの躊躇もないわ!
つみきさん可愛すぎる
恥ずかしいから見ないで。(7話)
超ウルトラハイパーな可愛さである!
最初からつみきさんは可愛かった。ただ、それは獣人なので半分動物的な「愛でる」的な意味での可愛さでした。それが回を重ねて、友孝との仲が深まることで、淑女としての可愛さと乙女としての可愛さを醸し出すようになるのです。
動物を愛でる可愛さ!人間の淑女のような可愛さ!恋する(?)乙女の可愛さ!まさに「かわいい」のトリプル役満です。
何より『尾守つみきと奇日常。』の特筆すべき点は、つみきさんのモノローグが一切無いことです。友孝だけでなく、男女問わず幻人も普通の人間もちゃんと心の声が出てる。つみきさんだけ無い。
だから読者は表情や尻尾へ言動で想像するしかないのだが…けっこう分かりやすい(喜怒哀楽だけでなく乙女機微も)。
つみきさんの心の機微をニマニマ想像しながら読むのもオツってものです。本人は恋って気付いてないでしょうが、「おやおやまあまあ!」と頬を緩ませてくれる。日常とラブコメの塩梅が絶品!おすすめです。
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・尾守つみきと奇日常。
・葬送のフリーレン
・メジャーセカンド
・メジャー
・名探偵コナン
・湯神くんには友達がいない
・だがしかし
・ゴーストスイーパー美神
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