現実で結婚したい!
「恋愛3次元デビュー~30歳オタク漫画家、結婚への道~」(カザマアヤミ)が超面白かった件。カザマアヤミ先生といえば「可愛い、初々しい、ニヤリング」の作品を手がける事に定評があるわけですが、今作「恋愛3次元デビュー」はカザマアヤミ先生自信のエッセイ漫画である。
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男性免疫ゼロのオタク漫画家が30歳目前で生身の恋に飛び込んだ!!
デート前に「服屋に入る服がない」、イケメンに「コミケのコの字も知らない人とできる話なんてない」。
好きな人に「男性(器)の皮ってどうなってるんですか」、「私で勃ちます?」と大暴走!? “こんな婚活アリ!?"の天然系恋愛エッセイ!!
アマゾンの紹介より。
30歳まで恋愛未経験だったカザマアヤミ先生が成人漫画家の紺野あずれ先生と結婚するまでの道のりをせきららに描いたエッセイ漫画である。まあ、これが面白エピソード満載で素晴らしいのなんの。
そも、私は基本的に漫画家に興味が無いのである。漫画は好きですけど、あくまで作品が好きで作家には特に興味無しというスタンス。だって、最近はツイッターのせいで香ばしい発言する漫画家多いからね。好きな漫画作品の作者が何度か炎上するのを目の当たりにして察するようになりました。もう、好きな作品はそれで、作家は作家と切り離すようになったわけです。
すっげぇ面白い
で、カザマアヤミ先生のエッセイ漫画ねぇ…と斜めにかまえていたら、こちらの予想を遥かに超える面白さであった。何が凄いって潔さだろう。まるでワールドカップを闘う日本代表のようにディフェンスを捨てた。オフェンス特化している。攻めて攻めて攻めまくる。
オフェンスの鬼・流川楓も裸足で逃げ出すオフェンスっぷり。まさに「せきららに語る」である。自分を語るって、基本的に自分を良く見せようとして防御を固めるという名の美化(かっこつけ)があるんですけど、そんなの一切無い。全てをさらけ出していると言っても過言ではない。
この手のエッセイ作品ってさ、自分を切り売りするわけだから、その人自信が面白いか面白いネタを作るかが重要なんですけど、「恋愛3次元デビュー」が凄いところは、ガンダムで例えれば水陸両用のアッガイのように、両方備えられている。
カザマ先生の天然ぷりが本当にクソ面白いわけですよ。
結婚までにたどり着く半生を綴ったエッセイ漫画なんですけど、始まりは小学3年生から。少女漫画で恋愛を意識するきっかけとりなり、そこから描かれる黒歴史の数々は必見である。めがっさ笑えます。腹をかかえて笑えます。そして禍々しい共感を生みます。ここまで黒歴史をせきららに語るなんて…。
んで、面白いネタを作る。これも際立っている。「恋愛3次元デビュー」を読めばカザマアヤミ先生は面白い人であると分かる。だ・け・ど!人ってのはそうそう面白い経験なんてない四六時中しない。いかに、面白い体験をするかでなく、いかに面白い事を思いつくか&魅せるかが「面白い人」の定義だと思うわけ。モチのロンでカザマ先生自信がど天然で面白い人なんですけど、それを描くのが上手い。面白いネタに、作品へと昇華している。
ぶっちゃけ、この漫画はカザマ先生と担当さんで駄弁るだけなんですけど、それが実にコミカルに面白おかしく語られ、いちいちカザマ先生のエピソードが笑えてしまう。何より2人のノリと突っ込みのテンポが良くてサクサク読めますね。
「恋愛3次元デビュー」のキモはカザマアヤミ先生の面白黒歴史エピソードの数々なんですけど、カザマ先生と担当さんで繰り広げられる漫才の小気味良さもなかなかどうしてよ。基本的にカザマ先生の黒歴史っぷりを聞いて、担当さんが突っ込むという構図なんですけど、よくもまあ、ここまでリズミカルに展開できるものだなと笑えるやら、感心するやら、呆れるやら。
ちなみに、旦那さんである紺野あずれ先生はお尻とセクハラに定評のあるあたまがおかしい漫画家である。
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最初に本編だけ一読した感想は、筆者カザマアヤミ先生のノリノリ感が伝わってきます。…というのが第一印象。だがしかーし!細かいとこまで読むと、実はそうでもなかったのである。例えば、初体験の事を描いたエピソードの裏話など読むと、試行錯誤して描いたエピソードだったんだな、と。
何気に四苦八苦しながら描かれたことなんだと分かります。それを見事に笑えるエンターテイメントに仕立てあげているのが素晴らしい。他にも、ノリノリで突っ込みする担当さんが後書きでは「どうしようこの漫画のツッコミ役になってしまった」と悩んでることなども描かれ、この作品が生まれる為に色んなことを犠牲にしたんだな、と。
ドラクエの特技でいえばすてみ攻撃ですよ。「カザマアヤミは、紺野あずれは、担当S尾は、捨て身の攻撃をした!」である。その破壊力は凄まじい。間違いなく力作である。傑作である。名作である。いや、そんな陳腐な言葉ではないな…。あえて言うなら「恋愛3次元デビュー」は人生かな。
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