作者の柳本光晴先生というのはTTTのミハルさんだとか。
私も何冊か同人誌をもっているんですが、この方のコミティアで出してた漫画はそれはそれは頬をニヨニヨさせたもの。で、スペリオールで連載してたのです。
これは楽しみですね。ほうほう、表紙の女の子はめがねっ子で可愛いじゃないですか。
ニヤリング&ローリングで身悶え3回転半を記録する事は間違いありませんな。
いかん、表紙だけで頬が緩んでしまいます。心の飢饉を満たす栄養が満載でしょう。ドキドキして読んでみます。
『響 小説家になる方法』
きたきた!甘いスイーツな展開が…って、ええぇっ!?
あまりの衝撃に出だしが『女の子が死ぬ話』感想のほぼコピペになってしまうほどですよ!
まあタイトルからして思いっきり『響 小説家になる方法』と直球ストレートなんですけどね。
小説化漫画
小説家マンガです。って、待て待て。
おかしいぞ。何で小説家マンガでボールペン片手に戦ってるんだよ!
この漫画は主人公・鮎喰響の天才性を楽しむもの。
ほら昔から言うじゃん。なんとかと天才は紙一重って!
とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。編集部員の花井は、応募条件を満たさず、ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。封を開けると、これまで出会ったことのない革新的な内容の小説であった。作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない…。
<レッツ1話を試し読み>
・『響~小説家になる方法~』(小学館公式サイト)
女子高生・鮎喰響は文芸雑の新人賞に応募条件を満たさない形で小説を送る。
その原稿を読んだ編集者・花井は文芸に革命が起こせると確信し世に出したいと思う。
住所も年齢も電話番号も記載されていない著者を捜し出そうと決めた花井。一方で投稿者の響は自分の才能に気づかず高校で文芸部に入部しアクロバティックな日々を過ごす…というもの。
1人の天才作家と編集者の物語。響の投稿した小説「お伽の庭」をめぐってヒューマンドラマが展開される。
天才作家が世に出るまでのドキュメンタリーといったところでしょうか。それと同時に響がどれだけ天才かを描いていく。響の小説はスゴイらしく誰も彼も読めば驚愕する。人生変えちゃう人まで出てくるからね。
響の書いた小説はスゴイ
基本的にどこがどう凄いのかは読者には分かりませんけど、響の小説を読んだ人の反応でその天才っぷりを表現します。
漫画家マンガもそうですけど「天才」っぷりを魅せつけるには原稿読んだ時のリアクションが大事だからね。業界素人の目にも分かりやすい。響の小説がいかに圧巻かビシビシ伝わってくる。
あまりにも読んだ人の反応がドラマチックすぎて主人公は「響の執筆した小説」なのではないかと思ってしまう程です。
途中から小説を誰が読むのか、どう反応するのか、どう人生観変わるのかってところを楽しんでいる事に気づく。
誰かが響の小説を読む事にカタルシスを感じてしまう。さながらバトル漫画やスポーツ漫画の主人公が活躍した時のように。
響の小説を読む
響の小説は、人を変える力がある。
3巻でいかにもな小悪党的配役のヤツが読んだ時の反応よ。
思わず「うおおおおおおお!」ってなるっちゅーの!
ブルっと震えるぐらいの気持ち良さを味わえる。もし響の小説読んで無反応だったらどうしようってドキドキハラハラ手に汗握っちゃうものです。響の小説を応援しちゃってる自分がいる事に気づきましたね。
小説「お伽の庭」が中心となって話が転がっていくものだから、物語を牽引する役としても申し分なし。
これは鮎喰響が書いた小説の物語なのかと錯覚してしまうぐらい主人公してる。響は最初から天才度MAXなので、才能が花開く的な爽快感を「小説を読む人」で魅せてくれます。
その小説を書いた響は自分の才能に気付いて無いというかどうでも良さげなのも見どころかな。
天才はどこか狂気を内に孕んでいるとか、天才はどこか浮世離れしているとか、変人と天才は紙一重ってよう言われるけど、響の奇行は群を抜いています。率直に言って、頭がどうかしている!
他人の目を気にせず空気も読まない。
ヤンキーにも物怖じしないどころか、胸ぐら捕まれ「殺すぞ」と言われれば笑顔で小指の骨をへし折る容赦の無さ。
ガチで相手の目を潰そうとしたり…。
他にもエキセントリックすぎる奇行の数々はぶっ飛びすぎてて頭大丈夫なのかと思うことでしょう。
その変人っぷりのおかがで、天才だという説得力にもなっているし、純粋に響は次に何をやらかすかとハラハラできる楽しみもある。
まあ、響は純粋なだけなんですけどね。
自分の感情や気持ちをストレートに表現してるで「何もおかしなことをしてない」と本気で思っている。そして響の書いた小説「お伽の庭」は響の価値観や感じ方や物の見方が詰め込まれているそうな。
初めて第三者(花井)に書いた小説を肯定されてめちゃんこ嬉しそうでした。
嬉しそうな響
「私は間違ってないんだ…」と、響の価値観などを肯定されて喜ぶ。
その後は、響は書いた小説をプロの作家や大御所作家に面白かったと言われても無反応。
響は自分の小説が第三者に面白かったと言われてもどーとも思ってなくて、ただ自分の価値観を確認したかっただけ。花井の「世界を変えられる」とかの言葉には無反応だったし。
そうすっと暗示のように気になるのは「死」なんですよね。
「お伽の庭」の凄い所は響の価値観や感じ方などを詰め込んだモノが最後に集約されている所だそうな。
「人ってこんなに綺麗に死ねるんだ」という内容らしい。
作中で「死」を匂わせるワードがわんさか出てくるんですけど、響はどーなるんだろうと今から心配してしまう。
「死」を暗示させるんですが
特に強烈なのは面白い小説が書けなくなった相手に「どうして生きてるのかなって…」と辛辣に述べる響です。まるで才能が枯渇らしたら死ぬのが当たり前のような物言い。
自分の世界と現実の世界の違いこそ、この漫画では小説家の「才能」のように描かれてます。今後どうなるか非常に楽しみですね。幼なじみのイケメンくんがキーポイントになりそう。
また、1巻ラストから2巻にある叙述トリックのような仕掛けには膝を叩いて「してやられた」と思いましたね。ひょっとしたらもう1人の主人公というかライバルになりそうな文芸部部長のリカは血筋を含めて気になる存在です。
リカ
3巻まで読んでリカが大好きになるってものです。
魅力的になったというか一段高まったというか。今後が楽しみになる。
これでもかって、響△□☓(さんかっけー死角無し)と天才っぷりを見せつけ、響は天才なんだ誰も勝てっこないと思ったものです。
プロ作家も大御所も感嘆し諦めの境地に達するのが響の才能。で、何度も何度も才能の差を見せつけられて絶望してたリカがねぇ…。
私は「天才VS秀才」の構図が大好物である。
凡才が凡人が地を這いつくばって葛藤し足掻き光を求めて見上げ手を伸ばす様は芸術ともいえるだろう(届くにせよ届かないにせよ)。
リカに期待値跳ね上がるってものですよ。空気の読めなすぎる響と空気を読みすぎるリカとか何気に「対」になってると思われる箇所が何個もある。
あとラブがコメる様子も素晴らしい。響も文芸部の部員もニヤニヤできる。
でも一番はリカの花井へ向ける百合臭だ!
どう見ても報われない娘特有のオーラが全開なんだけど。
本当好きこの子。
百合臭と報われない娘のオーラ最高だろ
「純文学」をテーマにした小説家マンガの『響 小説家になる方法』。
作中で「純文学」とは答えのない問いと述べられてました。響の小説の感想で「すごく面白かった」「純文だよ」という台詞がピシっとハマる。
『響 小説家になる方法』もインパクトあるエンタメというか大衆漫画ではないかもしんないけどすごく面白かった。この漫画は純文学…いや純漫画だね。
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