『銀魂』第五百四十九訓、信女
鉄之助!お前いたのかよ!
いやー笑っちゃいますね。
さすが出オチに定評のある鉄之助くんだよ。
うそ。全然笑ってないよ。逆だよ逆。おかしいだろ!なんで鉄之助で泣かされなくちゃいけないんだよ。目頭が熱くなってるんだよ。
いま一番面白い漫画は何かと問われれば即答しよう!
『銀魂』であると。
これもうすぐ終わるんちゃうってぐらいの伏線の回収とキャラの掘り下げっぷり。何よりも毎回クライマックスのような盛り上がりの「さらば真選組篇」である。勢いが半端ない。
すごい勢い
そんな中、実はこれ「さらば見廻組篇」なんじゃないのってすら思えてしまう。見廻組局長の佐々木異三郎と副局長の今井信女である。見廻組の2人を掘り下げまくってとんでもない事案になっている。7月なのに雨が多かったけど、7月の降水量に匹敵するぐらいの涙の降水量なり。
539話「届かなかったメール」
佐々木には1通未送信のメールがある。妻からの「子供の名前決まりましたか?」である。佐々木そっくりの面長だけどとってもカワイイ元気な女の子(妻談)。
たくさんの友達に恵まれてほしい願いを込めて「友子」、皆と協力して事にあたれるように「京子」、優しい子に育つように「優子」、何にも屈しない「頑子」…名前に込めたい意味が多すぎてまとまらない。そして決めた娘の名前。
娘の名前決めました
「信女」と。
残念ながら娘に「信女」とつけた名前は届かなかった。送信できませんでした。
その後、実の娘につけるはずだった「信女」という同じ名前を「骸」につけたわけである。
骸は「今井信女」と付けたらた名前を「変な名前」「その呼びづらい名前に何か意味でもあるの」と聞けば、佐々木は「別に、たった今思いついただけの名前です」と答えていた。嘘だったわけだ。意味はあったのだ。物凄く沢山の想いを込めてたわけだ。
実の娘に込めた意味。それは「骸」にも同じ想いを込めていた。「友子」一人じゃない、「協子」皆と協力し、人をいたわれる「優子」、強い意志をもった「頑子」…あとは信じる。最後に佐々木が見た信女は、信じた自分の娘の「信女」だった。
「信女」だった
メールがね、込めた想いがね届いた。
もうね号泣ですよ号泣。完全に泣かせにきてるのは分かってるんだけど、涙の降水量は大雨。洪水注意報が出てるって。もう途中から涙で読めねぇよ!佐々木は侍だったよ。生き方と逝き方が号泣必至。
はじめに549話を読んだ時は、全てが収束するような辿り着くラスト1ページは涙でよく見えませんでしたよ。涙腺弱いのは自覚してるけど、干からびるぐらい泣いたね。で、ハンカチをいやタオルを用意してラスト1ページを読んだんだけど、最高に美しかった。
佐々木と信女って似てるじゃん。
何がって「目」がですよ。2人とも同じ目してんだもん。
同じ目
生気が無いんだよね。2人の目は。
まるで腐った魚のような目というか、まるで濁ったドブ川のような目というか。光がないんですよ。黒く淀んでるんですよ。なんだよその目は!目が死んでるんですよ。死人の目。
いわく「佐々木異三郎はとうの昔に死んだ」である。だから死んだ目。佐々木は近藤勲の侍の目に惹かれたらしい。自分は侍として死んだから。さらに父親でもなくなり、死人に護る者も護る自分もないと。何もかも失い何もかも潰そうとした男の目は黒く淀んでる。
だがしかーし!
佐々木の目
自分は死んでいると言う佐々木に近藤は「侍…いや、父親にも似た目をしている」と指摘していた。この時の佐々木は死んだ目でなく父親の目だった。そう、佐々木の中には、一欠片だけ護らなきゃいけないものが残っていた。
一瞬!だけど父親のように!見せた佐々木の目。
その時と同じ目で信女を見上げておちていったんだ…。
三天の怪物、堕つ―
ふつくしい…。
最期に信女を見る佐々木の目は「父親にも似た目」をしていた。弟の鉄之助と同じぐらいキラキラと輝いていた。堕ちる佐々木を見る信女の目もね…。
そも、信女はいつも佐々木を死んだ目で見下ろしていた。初めて会った時も、あの惨劇の時も。でも最期に信女が佐々木を見下ろす目は死んだ目でない。「娘にも似た目」だった。2人揃って親子にも似た目ですよ。
いや、2人は親子だったのだ。
いままで「のぶめさん」と平仮名だったのが「信女さん」と漢字表記で呼ぶし。
本当の娘になったんだ。
(´;ω;`)ブワッ
素晴らしい目だった。濁った、腐った、淀んだ、死んだ目でない。死んだ目の2人が最期に見たのは親と子だよ。光ですよ。太陽のような存在ですよ。僕等も死んだ目してるけど、佐々木にとっての信女、信女にとっての佐々木のようなかけがいのない存在がいるよ!光が、太陽が!
『ニセコイ』の小野寺さんである。
この黒く濁った死んだ目を浄化してくれる存在ですよ!
【今週の小野寺さん】
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