『生殖の碑』(あさりよしとお)読了。
1巻完結の絶妙なSFであり思春期のリビドーであった。
※「マンガPark」なら白泉社系作品無料で読めます。
きちんと青春したSFです。伏線回収して全10話1巻でキレイに完結してます。ハッピーエンドなのかそうじゃないのか議論できるのも良き。
『生殖の碑』レビュー
思春期のリビドー全開
第1話
ざっくり内容を言えば、可愛いメガネっ娘に迫られるお話です。
あさりよしとお先生の宝具「メガネ」「三編み」装備。
主人公の中学生男子は図書室で合法的にエロ写真(という名の保険や解剖の本)を見ることに青春をかけていた。図書委員(デコ娘)に引かれるも気にしません。
いわく「図書館は楽園だよ。視点を変えるだけで無修正のエロ本が見放題」です。
そんな彼に見たこともないメガネっ子が言うのです。
私と生殖してください
スケベ(健全とも言う)な男子中学生に訪れたでっかいドリーム!そりゃ即答ですよ。「はい!喜んで」と答えますって。
しかし、このメガネっ子ちゃん実はただの人間ではなかったのです。
地球外から来た宇宙的なクモのような怪物だったのでした…。
宇宙的なヤベー存在
ずっとここで待っていました。あなたのような人間を。生殖の相手を。そして次世代の糧となる存在を。この空間に潜み言葉を覚え文字を覚え、この肉体での生殖方法を覚え…ついにそれが果たせる。
食われる…。
2つの意味でな!
「live or die」を超える「sex or die」ですよ!
とはいえ、中学生男子には世界一重い選択でもある。
だってヤれるんだよ。
でも死んじゃう。
命とエッチのどっちが大切かだって?そんなんどっちもだよ!
これは中学生男子にとっは究極の選択だ。
そんなスタートから展開される図書室まわりの中学生たちによる青春とラブコメを甘酸っぱく苦みもあって描いた青春SF物語なり。
SFとしても物語としてもGOOD
アイデアひとつで短編小説を書くことを「アイデアストーリー」とSF小説業界ではいいます。
「あんなこといいな出来たらいいな」の精神がSF用語でアイデアと呼ぶなら、『生殖の碑』も間違いなく「アイデア・ストーリー漫画」といっていい。
だって、宇宙からやってきた謎だらけの美少女に生殖を迫られるんだよ。
そんでもってシナリオもちゃんと作られています。グッとくる。
ただの宇宙人ってヤツではなく、このメガネっ子の姿は遠い記憶の中にあったりなかったり。なにか幼い日の記憶が少しだけある。あれはいつのメモリーだろうか。いや、この宇宙人ちゃん自身は肉体も曖昧な知的生命体なのだが…ね…。
「今、真上」
あくまで個人の意見なんですけど、あさりよしとお先生の最高傑作の一つは『なつのロケット』だと思うんですよ。小学生がロケットを宇宙へ飛ばす話で、「今、真上」は清々しい感動だったんですよ。ボロボロ涙流したんですよ。
で、『生殖の碑』的な(あくまで自分がそう思っただけです)今真上はビター味がしたんだよなぁ。
図書委員の子可愛い
はい!可愛い!
なんだかんだで、図書委員のデコ娘が大正義でしたわ。
宇宙人ちゃんとのアレコレのやり取りが彼女にも聞こえており、いわゆる言葉の妙や行動による「誤解」「勘違い」を駆使していつの間にかフラグが満了気を迎えてました。
そりゃ、頬も自然と緩むっちゅーの!
あー!青春だー!
図書委員のデコ娘がぐう可愛いかったのもツボです。はい。
そんなわけで、1巻完結でSFとしての面白味とストーリーにおける伏線の回収も見事でした。誰かと「あーだ」「こーだ」と言いたくなる読後感もええね。「すこし・ふしぎ」な思春期のSFアイデア・ストーリー漫画なり。
(ここから核心的なネタバレ有りなので隠すよ)
ちゃんと伏線と回収もあるけどモヤる(褒め言葉)。
1巻完結なので是非読んでみてください。あさりよしとお先生の性癖と図書室の思い出から膨らませた快作やで!
追記
この漫画のタイトルの元ネタの映画「聖職の碑」はマジでヤベー映画なのでお暇ならどうぞ。
>コメントより
タイトルは映画が元ネタだったのですね。
※「マンガPark」なら白泉社系作品無料で読めます。
コメント
この漫画のタイトルの元ネタの映画「聖職の碑」はマジでヤベー映画なのでお暇ならどうぞ。
カールビンソンの時から、映画のタイトル(と内容)が元ネタの話は結構ありましたっけ。
なかにはこんなドマニアックな映画も、なんてのも。
いやまあ、カールビンソン自体、映画と特撮ネタだらけなんですけども。
まんがサイエンス超好き
またやってくれないかなぁ