『ダンジョン飯』(九井諒子)9巻を読了。
カナリア隊の投入によってどんどん盛り上がってまいりました。
"王となれライオス"
迷宮の深層部で重傷を負ったライオスの前に
ついに伝説の翼獅子が現れ告げる。
狂乱の魔術師を倒し、黄金城の新たな主になる運命をーー!一方、カブルーとカナリア隊隊長・ミスルンは、
迷宮の底で、魔物を食べながらのサバイバル生活を送っていた。
ミスルンが語る、迷宮の本当の姿とは?
そして、彼の壮絶な過去とは……!?
9巻も内容が濃くて面白かったです。
感情を180度かえるような流れが最の高!
『ダンジョン飯』9巻
マルシルの夢
57話「兜煮」ではマルシルとライオスの出会いが描かれておりました。
そこで気になったのは、サラッと言い放った夢についてなり。
マルシルがダンジョンに潜るには目的があるそうなんですよね。
57話
(古代魔術の)この力の出処さえ突き止めれば私の夢もきっと叶う…
はじめて潜ったダンジョンで、死亡&蘇生を目の当たりにして大喜びだったマルシルである。「私の夢」が叶うと述べておりました。マルシルの夢ってなんじゃろ。既に古代魔術の研究をして使っているだけに意味深だ。
この辺は42話に秘密がありそう。
42話
みんなと私と一緒に走ることを諦めてあいつ(死の比喩)に飲み込まれていく!パパも!ピピも!ファリンも!みんなみんな。だから私は魔術をたくさん勉強したのに
パパのお葬式の時ママが言ってた。私はみんなと走る速さが違うんだって。私はこれからもたくさんの人を見送らないといけないって
(夢の中で死にそうなライオスに)あなたも私についてきてくれないの?
マルシルは長生きでけっこうな人を見送ったことが伺える。
そんでもって、カナリアの登場で他のエルフと比べられるのもミソよね。
マルシルは純血エルフ(尖った耳)に比べると耳が丸みかかってる。
おそらく父親が人間(トールマン)で母親がエルフのハーフの可能性が高い。
というわけで、マルシルの夢は誰かを生き返らせたいのではないかと。使った(研究してた)古代魔術も蘇生だったし…(27話)。生き返らせたいのは父親やペットのピピなのか別の誰かなのかなぁ。
また、エルフの寿命は「×5」になるそうな。20歳ぐらいに見えるので約100歳前後と予想してるけど、結局マルシルは年齢答えんかったのが私気になります!ハーフだとしたら50歳とかなのだろうか。
ラブコメいける説
個人的に9巻で一番ツボだったのはサキュバス編です。
というのもサキュバスは対象の「魅力的な姿」「好みの姿」に変身して精気を吸い取るという設定でライオスの前に現れたのがマルシルだったのである。
60話
「自分でも知り得ない真相意識を読まれる」とはチルチャック談である。
つまりそういうことなのでしょうか。『ダンジョン飯』はじまったな!
マルシルがライオスに照れてる(あくまでも淑女として)のはけっこうあったけど、逆はまったくなかったからね。
こりゃラブがコメるのは絶望的と思いきや、「好みの姿に変身」「自分で気づかない真相意識」でマルシルの姿となりゃ思わずニッコリです。はい。
『ダンジョン飯』にラブコメ要素はありまぁす!
ただ、マルシルの趣味は悪かったです。
ラスボスはライオス?
9巻の60~62話の流れはすごい読み応えというか価値観を180度変えてしまう絶妙なものでした。60話「有翼の獅子」はひとつのハッピーエンドを提示してくれたんですよ。
60話
有翼の獅子めっちゃイイやつやん!狂乱の魔術師の捉えれているのを助けて、この国(ダンジョン)の主にライオスがなれば綺麗なエンディングやんか!
そんな風に考えてた時期が僕にもありました…。
もしもライオスが新ダンジョンのマスターになったらの夢があまりにも理想的な世界で幸福がギュギュッと詰まってて、ライオスと同じく「この世界の続きを」見てみたいと思ったもん。それが逆張りで、有翼の獅子(悪魔)は実はとんでもないってのがエルフ側の解釈である。
ダンジョンの悪魔(このダンジョンでは有翼の獅子)は、こうやって人の欲望に付け込み迷宮の主にして願いを叶えてあげる。で、迷宮の主の欲望を食ってヤバイ存在に成長していく。ライオスを次の迷宮の主にして、有翼の獅子はその「欲求」を食うつもりや…。欲を食うと世界を滅ぼすような悪魔になり得る。
どうも狂乱の魔術師を倒して「めでたしめでたし」では無さそうやね。有翼の獅子が見せたちょっと良い話をまったく別の意味にしてしまう流れが読んでてゾクゾクしちゃうね。
読み返すとよく出来てるなぁというのが分かる
すべては翼獅子の意のままに?
これまでの翼獅子は狂乱の魔術師に捉えられているという前提すら間違っている可能性が出てきた。愛嬌あっていい獅子さんだと思ったのにひっくり返されたわ。
46話
翼獅子はこの国の守り神。狂乱の魔術師によって迷宮の底に囚われていますが夢を介して未来を予言することで、今なお我々を導いてくれています。祖父が地上へ旅立ったのも予言がきっかけでした。
「翼持つ剣をたずさえた者、狂乱の魔術師を打倒し」
「この国の新しい王になるであろう」
ライオスが夢で見た有翼の獅子は、以前にヤアドたちが「夢を介して未来を予言」と同じようなものかな。
ここでライオスが次の王になるって予言もされてたが、すべては翼獅子の手のひらの上にしか見えんでござる。
デルガル王が地上に行ったのも翼獅子の仕業やんか。これ裏を返せば別に千年も囚われてる国の人を救うためでも狂乱の魔術師を止めるためでもなく、次のエサ(欲望)のためじゃんと思ったり思わなかったり。
狂乱の魔術師に囚われているって話すら怪しい。ミスルンのあれこれを踏まえると、もうシスルは食うので次はライオスの欲望育てようとしてるように見えるぞい。シスルもミスルンと同じ感じなら被害者と言えなくもない…。
カナリア隊
61話
カナリア隊の多くが耳欠けだったのは古代魔術に関わった罪人の印としてでした。
これは予想通りかな。看守は貴族のボンボンらしい。
チームは看守1人に対して罪人2人の3人体制が複数といった感じ。この島へやってきたカナリア隊もミスルン隊長とパッタドルさんが看守の役目の模様。そして1人だけ「格」がいまいちだったパッタドルさんは箱入りの貴族である。
悪魔が人の欲望を食い続けると世界が滅ぶかのような描写であり(古代人はこれで滅んだ)、実はカナリア隊を派遣してる西方のエルフは世界を救っていることにもなる。悪役っぽく登場したら、こっちが正義の味方じゃったか。
ミスルンの過去でちょいちょい気になった点2つある。
ミスルンの耳半分
61話
ミスルンが両耳半分なのはなんだろう。
61話の救出された描写を見ると耳が健在のようにも見えるし半分無くなってるようにも見える。
この時になくなったなら悪魔に食われたんでしょうけど、他の肉体はあるし欲望という目に見えないもの食うので耳だけ半分になるのもねぇ。救出された時に耳健在なら、ミスルンは欲求がないので自分で耳を切るわけないので誰かが切ったのだろうか。
元カナリア副長
また、ミスルンを救出したのはカブルーの育ての親ですね…。
ミスルンはこのエルフの部下かなにかなのかな。てか、唯一食い残された「悪魔への復讐心」だけ残ってるのを見て生かすってのも凄いな。まあカナリア隊としてはこれほど有用な戦士はいないので、ええんやろうけど。
55話
で、このエルフは名前もまだ出てないけど、これだけ過去の回想などで登場するのは意味深だ。結構重要人物なのだろうか。15年前で「当時の副長」らしいので、今は違う立場?
今のところ個人では最強っぽいことが伺える。というのも、9巻を踏まえるとカブルーの故郷ウタヤが滅んだのは悪魔が欲望を食って外に出てきたからと考えられるよね。それを制圧した…ってのはめちゃくちゃ強くないか。彼女は本編に登場するのだろうか。私気になります!
そんなこんなで9巻も面白かったです。
ミスルン隊長は「悪魔への復讐心」だけ欲求があるので、無気力人間の彼が有翼の獅子に出会ったらどう変貌するのか楽しみです。
コメント
ふたりには訊いてないから!
の時もかわいい
8巻のカブルーの疑問
・なぜ黒魔術は秘匿されるのか →抑止にならないから
・なぜ魔力の薄い地上でウタヤはああなったのか →食い尽くされ悪魔が出てきた?
・どうして普通の人間が迷宮の主に? →人間の複雑な欲望を悪魔が好んだから
これらの疑問はすべては解決された、のかな?
迷宮の育ち方自体は8巻で明らかにされていているけど
これを知った上でカブルーは質問している気がする。
9巻で被害者でもあると明かされた隊長がイラストで「…」とコメントしてるのも今となってはちょっと気になる。
深読みしすぎだろうけど
平和維持って大義名分の行為の中に、エルフ達の過去の失敗の隠蔽or利益確保
なんかが混じってる気もする。
10巻はとりあえず徹夜のバッタドルが失敗しそう。
狂乱ちゃんが獅子(悪魔)召喚し王国維持(と王様復活)を願う
獅子に命じ迷宮を作り(+獅子を閉じ込めて)獅子が地上に出られにくくする
だが召喚した時点で心の侵食は確定事項だった
とかかな
まー悪魔にとっての食事にあたるならしゃーないともいえる
マルシルが使った黒魔法は悪魔召喚にあたらないのかね
翼獅子にとってはシスルの力が予想外だったんじゃないかな。
これまでと同じように食べようとしたけどシスルの欲が濃すぎるのと魔術師としての力がありすぎて抑え込まれてしまったと。
だからライアスたちの力を借りてシスルを弱らせて食おうとしてるとも取れる。
7巻で遭遇したヤアド達は翼獅子が見せた幻でとっくにみんな死んでそう
ライオスたちの視点とは別にシスルがヤアドに接触してる場面があるので幻はないな。
どうもあの翼獅子は隊長のヤギとは毛色が違う気がするんだけどなあ。
いくらなんでも1000年の時は長すぎると思うし。まだまだ事情がありそう。
カナリア隊にしても仮に隊長の話に嘘がなかったとしても、彼ら個人は古代文明の頃から生きてるわけではあるまいから、有してる情報が正しいとは限らないし。
隊長が主になったのが40年程前。20年前のウタヤ戦には隊長が戦線復帰してたのなら
長くても20年で心のほとんどを食い尽くされることになる。
欲望の大きさ、複雑さに違いがあるとはいえ
1000年経ってもシスルは気力を失ってないようにも見えるね。
獅子が久しく食事していないと言っていた。
もし、獅子の食事もヤギのように心だとしたら
現在シスルは獅子に願い事は一切していないのかもね。
獅子の言うように「民と魔物に愛着があり守りたい」だけならシスルと願いはそう変わらない気がする。でも対立してるっぽい。
これは獅子にはライオスに隠している思惑があるか、
単にシスルがまともに会話できない状態だから見限っただけなのか。
普段は兄さん呼びなのが興奮すると兄ちゃん呼びになるファリンアホの子かわいい
食が主題のこの漫画において、食べる行為に善悪がないことも重要な観念かと思われます
その視点で言うと有翼の獅子の欲を喰らうことも単純な悪として断罪される展開になるかは気になるところ
この漫画の悪魔と人間の関係を見て、人間と家畜の関係を連想した。
高級食肉用の牛とか「ストレスのない環境で良質なエサを与えたほうが美味くなる」ということで下手に野生で生きるよりかなり幸せそうに育てられているように見えたり、乳牛とかは自ら乳を搾られに放牧されてるのが帰ってくるとか見た。逆にひどい飼育をされている場合もあるらしい。
人間に比較的利益のあるやり方で人間を食う存在は「国の守り神」と言われた翼獅子みたいに神とか天使とかいわれて、ミスルンを食った山羊みたいに利益無いやり方する存在は悪魔みたいに言われてたりとか妄想した。
複雑な話だと思って見るから面白く無いのでは
あのRPGに出てくるのを食うのかよwそういう生態なのかよwみたいな面白さは最初から変わってないような
ごめん、↓の2020年6月1日 5:26 PM に対しての返信
レッドドラゴン倒した辺りからちゃんと読んでないけど、案の定でがっかり
単純な話の面白さが良かったんだけどな
あと女子率高いな
エルフが全員女だと思ってらっしゃる?
よくそんな理解レベルで書き込めたなぁ
私もそう思ってる
カブルーを育てたエルフの名前は恐らく「ミルシリル」ですよ
62話のミスルンの回想の冒頭に出てくる大勢の人物の一人にいます
ですね
ヤギが悪魔の象徴なのは有名だけど、有翼の獅子もソロモン72柱の中にいてちょっと驚いた
ライオスとマルシルのフラグは本当に微粒子レベルなのがなぁ・・・。ギガヘプタヘッドマルシルに赤面してるライオス、やばすぎる。
ライオスは少なくともファリンが落ち着かないと恋愛する気がなさそう。ファリンへのフラグはシュローしかおらんし、今後シュローがファリンに男を見せるならワンチャンあるやも
ライオスがマルシルを異性として気にしているのではなくて、比較的「異性として気にしている」という感情に近いのがマルシルだっただけっぽいと言うかw
>有翼の獅子(悪魔)は実はとんでもないってのがエルフ側の解釈である。
有翼の獅子は予想していなかった――――
ライオス「翼の付け根当たりの肉は鳥に近いのか獣に近いのか……気になる」ゴクリ
有翼の獅子「!?」ゾクッ
ライオスの魔物食べたい欲求の貪欲さを――――
こうなりそう。
ずっと面白いけど8巻及び9巻でここまで面白さ爆上げするのはホントすごい、良くできてるよなあ
副長は多分陰気なミルシリルで合ってるよね
この漫画、最初は「モンスターを食う」ってだけのユルい漫画
だったけど、途中からキャラもストーリーも世界観もどんどん
骨太になってる。マジで面白い。もっと売れて欲しい。
マルシルは異界の無限エネルギーを引っ張ってくることを研究しているが黒魔術が寿命だろうがなんだろうが確定で叶えられるということは知らないらしい。
異次元の門を開くときに悪魔も招く、と言うことも知らないのかな。
ファリン蘇生のとき悪魔は来たんだろうか。
来なかったとしたら狂乱ちゃんとマルシルの黒魔術の差ってなんだろ。
9巻読んで、なんか無限の力を得ようとしてもそれは結局悪魔の罠みたいな印象もったけど、
そう言えば「(異次元の)門からは無限の力を取り出せるが」と書いてるのと、「同時にあちらの生物も招いた」と書いてることから、門から無限の力を取り出せるけど、あちらの生物が邪魔なことしてくる」ってことで、悪魔とか言われている存在がいなかったら普通に何も問題なく無限の力を得られたのかなとか思った。たぶんそんなうまい話しでは無いだろうけど
>>無限の力を得ようとしてもそれは結局悪魔の罠
あ、ファリンを蘇生した時、ドラゴンを混ぜたのが翼獅子だったのなら
悪魔の罠にはなるかも。翼獅子の封印を解かせるために誘導するって目的で。
まぁこれは翼獅子が黒幕だったらの話だけど。
もしくは、シスルが翼獅子にダンジョン作成を頼んでたし
黒魔術でも大規模なことは悪魔の力を借りないとできないとか?
あのスキュラマルシルが「腰が抜けるほど好み」って、チルみたいに裸で出てくるわけじゃないとこが業が深いなライオスw
57話でちゃんと説得力出してるとこがさすがと思いますね
チルチャックの娘が一人黒髪なので奥さんは黒髪っぽい
エルフとドワーフが超技術を持った人種で過去に大きな戦争を起こしている。
黒魔術や迷宮が成長すると強制的に介入する。
なんだか黒魔術が現代でいう核技術っぽいね。
使うと放射線的な毒?が出るみたいな。
そうとらえるとウタヤでの死者の魔物化は放射性物質化みたいな現象なのかも?
ウタヤ等で隠されるのはエルフ(とドワーフ)は今も黒魔術の実験をコッソリやっていて時々失敗&隠蔽したりしてるとかもあったり?
追記
エルフとドワーフが、冷戦状態だとしたら黒魔術という無尽蔵のエネルギー精製法をそうそう手放すかね。核を無くそうとか言ってる大国が一番核開発バンバンやってるのが現実だし。
ミスルンが「…」とコメントしたのは「裏で実験しといてよくいうわ」と思っているのかもしれない。全然わからんけど。
獅子の封印が燃料棒みたいなデザインだったらわかりやすいけどさすがにないよね。
エルフに比べてドワーフは、黒魔術とか超技術とか、迷宮とかヤバイ事に対してなにか対策しなければ!とかなにか難しい事考えているような描写が少ないと思う。
ドワーフは深く考えずになんか深いところに行きついてしまう種族みたいなことかもとか妄想した。
元々この領地はエルフ管轄のようなのでドワーフがしゃしゃり出ないのかもしれませんが
センシ(と昔の仲間)の印象が強すぎて超技術持ってるイメージが持てないw
大規模エスカレータを見るに科学技術に特化してるようにも見えるけど。
(冒険者が)ダンジョン(で)飯
ではなく
(冒険者が)ダンジョン(の)飯
だったのか
他の方もコメントしてますが、62話冒頭の「陰気のミルシリル」はカブルーの母親の隊員時代だと思われます
持ってる猫?人形が同じで、顔も似ています、救出時に一緒にいた耳欠はハルキさんぽいですね
カブルーの部屋でも人形を使役してたし、それが彼女の得意魔法なのかなと妄想が捗ります
また、自分はマルシルの夢は長寿かな?と思っています。
悪夢の対象が自分の死ではなく、周りの人が自分をおいて死ぬことっぽい?
不老不死ではないとはいえ程度によっては結構危険な夢だねぇ
食は健康!って程度なら叶いそう
ミスルンを救出したエルフ=カブルーの育ての親=陰気なミルシリルでしょうね。
髪型も同じだし。剣の達人らしいし貴族の出だし、相当な人物なようだ。