「てるみな」1巻が発売されました。
これはkashmir先生の新境地だろうか。
一読して意味不明、二読でモヤモヤ引っ掛かる、三読で癖になってしまう…そんな感じ。
※「マンガPark」なら白泉社系作品無料で読めます。
万人にお勧めできるような内容では決してなく確実に人を選ぶんですけど僕はドップリはまりました。どんな漫画かとあえて言えば幻想鉄道漫画…なのかな?
てるみな
ある日、少女テルが朝起きると猫耳が生えていました。
ねこみみが生えていた
これは天狗の仕業かもしれないとお婆ちゃんに聞き、高尾山にお参りしに行くというのが1話である。
1話を読んで猫耳の呪いでもかかった少女が天狗にお参りして猫耳を直す為のちょっとした冒険なのかなと思ったものです。
ところが2話では猫耳そのまま温泉に行く途中ではぐれる話。
3話は妹の臨海学校に付きそい…4話、5話と読む内に気付いたのです(遅っ)。
これは鉄道漫画である、と。それも単行本の各話の後で路線の解説があるので、連載で読んだ時よりもより一層の理解度がある。何よりこの漫画の本当の魅力に気付く。
あ、これ現実の路線を元ネタにしてたんだ。
あまり電車に詳しくない私は、不条理ワールドで奇妙で不思議な雰囲気を楽しんでいました。
でも現実の路線を元ネタを知ると、また違った魅力に気付く。
例えば1話は「京央電鉄京央線(新宿~高尾山)」を元ネタにしたものだ。
僕は乗車した事が一度もないんだけど、解説を読んで読み返せば、あ、そういう事なのかなという一定の理解が出来る。
例えばこのシーンだ。
けいおうせんはいえがちかいので、みんかをけずりながらはしる
解説では以下のように記述されている。
今では市下でも有数の人口を抱える区域となっている。特に、帝都電鉄との乗換駅である火薬庫駅から東急電鉄との乗換駅である下高井戸駅付近にかけてはひときわ住宅が密集しており、列車が、民家の軒先をかすめるようにというのを通り越して削りながら走っていくのが京央の日常だ。
この解説読んで本編読むと、また違った赴きがありますね。
僕の生活ではほとんど活用しない京央線ですけど、ググったら本当に民家の軒先をかすめるように通る電車のようだ。
普段使う人は共感を呼ぶ事だろう。電車がトンネルを通る描写など、あー分かるという気になる。風が強くて思わず窓閉めるとことか共感しまくる。
摩訶不思議な世界感なんだけど、きちんと現実世界が元にある上での異形の東京の電車を描いている。あー、これ分かるという場面が多々ある。
あー、これ分かるわ
平行して違う列車同士が運行すると、隣の電車より速いと「勝ったな」という気になるし、遅いと「負けたな」という気になるじゃないですか。
そういうアレが漫画的に大げさに描かれるんですけど、電車に詳しくない私ですら凄く共感する場面が多々ある。電車好きならもっと共感できるのではないかと思うわけですよ。
基本、テルが1人で電車に乗って冒険というか発見する1話完結である。まあ、たまに妹・ミナが同行する事もありますけど。異形の東京の世界の不思議で奇妙な電車ワールドなんですけど、やっぱ王道は外さない。
何が王道って、読了後にその電車に乗りたいって気にさせてくれますもん。これ電車を扱う漫画の鉄則。1巻に収録されているのは「京央電鉄京央線」「東武鉄道伊勢埼・日光線」「鯨急電鉄本線」「東京市電(都電荒川線)」「西部鉄道(西武鉄道)」「南部鉄道」である。漫画本編を読んで、解説を読んで、もう一度漫画本編を読むと新しい発見や面白さがある。
あいにく、西東京の路線など私はほとんど活用した事がないのが悔やまれる。それでも、この電車に乗ってみたいという気にさせてくれるのはなかなかどうして。時代は昭和なのだろうか。まあ異形の東京なんですけど。何より、ノスタルジーに浸る。
あ、こういうの懐かしい
そも主人公のテルが女子小学生だ。
女子小学生ペロペロと思うと同時に電車の乗り方一つも懐かしさがある。
子供の頃って、後ろ向いて窓の外を夢中で見てたじゃん。
親に注意されて靴を脱ぎなさいとか言われたりさ、電車で食う菓子の美味さとか…そういうの思い出しちゃったんだ。あの頃の僕らは全力で外の景色を見ていた。描かれる風景も、昔懐かしい感じがあるし。
どうもリアルに満員電車ばかりだと忘れがちだけど、電車から眺める風景って最高に赴きあるって事を思いださせてくれる。懐かしいって思う。
僕も小学生の時は電車の冒険大好きだったなぁ、と。
初めて1人で遠出した時とか、今の子供のようにスマフォとかアイフォンで路線検索して地図出すとかなかったもんね。あの頃は時刻表と手書きの地図を頼りに冒険したものだ。電車の窓から見た景色や街並みは異世界でワクワクしたんだ。
窓から眺めた風景にワクテカしたんだ
テルはよく窓から風景眺めて嬉しそうにする。
その気持ち分かります、分かりますよー!
あの頃の僕も電車の窓から眺める風景に全力でしたからね。
今や、窓から見える風景など気にも留めずに漫画読むかスマフォいじるような大人になっちゃったけど、「てるみな」読んで、ちょっと電車乗る時に、外の風景眺めてみようかなと思いましたもん。
奇妙で不思議、そして懐かしい。
異形の東京を元ネタにし、漫画的な大げさな表現でその地の魅力や味を伝えてくれる。そうだ、電車に乗ろうという気にさせてくれる鉄道漫画の王道であり変化球である。グッドだ。
総括すると、2話のおとうさんにご飯食べさせるセーラー服少女に劣情を抱くという事である。
食べさせる
無駄にエロい。
※「マンガPark」なら白泉社系作品無料で読めます。
コメント
[…] 「てるみな」あの頃の僕らは全力で少年だった […]