常に私は思っているのです。力が欲しい、と。「力が欲しいか?」「力が欲しいのなら…くれてやる!」とか聞かれたら迷わずYESですよ。ジャヴァオック出て来ないかなーって常々思ってるんですよ!『それでも世界を崩すなら』は力を手に入れた…かどうか分からん女子中学生の話である。
友達がいない女子中学生・黒野書子はヒマにまかせて悪魔を呼び出す。「世界を滅茶苦茶にする力が欲しい」と願う書子に、悪魔が出した条件は「卒業までに友達が作れたら」…!!??悪魔×女子中学生のショート・コメディー!!
<1話と2話が試し読みできます>
・『それでも世界を崩すなら』(チャンピオンタップ)
魅力がぎゅっと
主人公・黒野書子は友達が1人もいない典型的な「ぼっち」である。ある日、彼女は悪魔を召喚する事に成功。悪魔から「望みはなんだ」と聞かれれば、「世界を滅茶苦茶にする力」を望むのだが…。
悪魔は「お前は全然友達がいないんだな…」と一蹴。いわく、昔から悪魔を召喚し世界を滅ぼそうとする者は友達がいないのがお決まりなんだとか。悪魔は最近そんなしょうもない奴に力を貸すのに疲れちゃった。結局、友達ができたら世界を滅茶苦茶にする力を貸してくれると約束する。書子は世界を滅ぼす為に友達を作る事を決意するのでした。
約束
世界を滅茶苦茶にした。悪魔から出された条件は1つ。「友達ができること」である。なるほどね…友達ができれば、こんなクソみたいな世界を滅ぼせるのですね。イージークエストすぎるでしょ!ベリーイージーだよ。だって、友達を作るだけだよ?うわっ!世界を滅ぼす難易度、低すぎっ…!
楽勝っしょ…?
うわっ!書子の友達作り、無理すぎっ…!
ダメだこりゃ。
近年増えたいわゆる「ぼっち系」の作品には二種類のぼっちがある。友達なんていらねぇ!とぼっちを恥じることなく、下を向いて堂々と強く逞しく生きる誇り高い孤高のぼっち。逆に、友達欲しい!と羨望するものの、キョドったりテンパったりで、まったく友達作れないダメ人間ぼっち。
「周りに合わせるのって体力と時間の無駄だと思うんですよね」と主張する書子は前者…と思いきや、完全に後者だった。無理して強がってるだけだった。てか、ダメ人間じゃねーか!挨拶されればキョドって数式の記号を言い出すのに始まり、その言動は、どう見ても完全に挙動不審者そのもの。なんつーか、書子にはシンパシーのようなものを感じてしまう。友達作る(世界滅ぼす)の無理ゲーすぎぃ!
そう、『それでも世界を崩すなら』は書子が友達を作るために紆余曲折する漫画である。これがなかなかどうして。ギャグは良いし、小ネタも良いし、悪魔との会話のキャッチボール(人間とは上手く喋れません)も良い。なんのかんのでお人好しの悪魔が良いね。
悪魔
書子を助けてあげる。いわゆる、のび太とドラえもんのような関係である。何やってもダメ人間の書子助けるわけです。友達作りに言い訳をする書子を一刀両断し、「大衆に迎合しろ。多数派になれるように精一杯努力しろ」とか「挨拶もまともにできないやつは何やっても駄目!」とか正論で書子を導いていく。なかんか良いコンビになっていく。
また面白いところは、ドラえもんのようにひみつ道具で助けてあげるわけではない。悪魔の力は基本ギャグでしか使われず、書子の友達作りに関しては不思議な力ではなく、言葉でアドバイスをするのみ。あくまで書子本人の力で色々と頑張っていく。
頑張る
朝「おはよう」と挨拶する。なんだそれだけかと思いきや、書子にとっては大きな一歩ですよ。ものすごい大発展!クララが始めて立った時以上の感動ですよ!そして少しずつ書子も成長していく。電波で痛い子の成長譚物語(?)です。まあ、その過程で何度もダメだコイツ…早くなんとかしないと!って思うのですが。
まあ、ほとんど空回りで終わるんですが徐々に成長はしている。ダメ人間を具現化した書子は、やっぱりダメ人間なんだけど、少しずつ進んでいる。読んでて保護者のような感覚を覚えるからね。この子、大丈夫かしら?(頭が)って。
ここからネタバレ風味。
そして勉強を頑張るようになり、授業中に挙手して答えるまで成長する。だがしかーし!クラスメイトに書子は授業中ウザいとか先生の媚び売ってるという陰口を叩かれるようになる。イジメの始まりである。せっかく友達作る為に頑張ったのにこの結果はヒドイ!あんまりだよー!
あんまりだよー
そこへもう1人の悪魔が現れ、世界を滅茶苦茶にする力を貸してくれると言い出す。しかも友達作りなんて条件で付きではなく無条件で!無条件で世界を崩せる!書子はどーすんの?ラストの展開は良かった。胸熱!
最初に提示された世界を滅茶苦茶にする条件「友達ができたら願いを叶える」はなるほどなーって。「友達を作れば」ではなく「友達ができたら」ってのがミソ。友達ってのは「作る」ものでなく「できる」ものなんだなぁ。まる。
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