冨樫先生…きみが休載しちゃったら、ジャンプががらんとしちゃったよ。
でも…すぐに慣れると思う。だから心配するなよ…。でも年内には帰ってきてね!
暗黒大陸編の序章とも言えるカキンの「王位継承戦」が予想以上に長編になりそうです。しかも良いところで休載は辛いのですが、冨樫先生の「年内にもう1回復活します」(40号巻末)ってコメントを信じて待ちましょう。
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それにしても「王位継承戦」は、誰が王になるのかなどミクロな視点も面白いのですが、それ以上にクラピカがどうなるのかってのが注目ポイントです。オイト王妃とワブル王子の護衛をしながら、最大の目的は第4王子ツェリードニヒが持つ最後の「クルタ族の緋の眼」を手に入れることなり。
で、同胞の「緋の眼」を手に入れたらクラピカはどうすんじゃろ?
クラピカの目的
344話より
こいつ(ツェリードニヒ)が、残りの目を持っている最後の獣…!
その中に…パイロ…オレの旅がようやく始まりそうだよ
だけど、何処へ行く…?
迎える人も帰る場所も、オレには何一つ無いのに
クラピカがプロのハンターになった目的は2つありました。「幻影旅団への復讐」と「同胞の緋の眼を集める」である。前者はヨークシン編でパクノダたちとやり取りし、クラピカの中では重要では無くなっている様子が伺えます。残った目的の同胞の緋の眼集めは、ほとんど集めており残りはツェリードニヒが持つもののみです。
もうすぐクラピカがプロハンターになった目的は終わるのである。
同時に「パイロ…オレの旅がようやく始まりそうだよ」と述べてるのが興味深いですね。終わるのでなく始まるのである。これは「クラピカ追憶編」でパイロと別れる時に交わした約束を指しているのでしょう。
パイロ「楽しかった?ってボクが聞くから、心の底からウンって答えられるようなそんな旅にして来てね」
クラピカ「ああ、約束する」
(クラピカ追憶編後半)
しかしパイロから「楽しかった?」と聞かれることなくクルタ族の村は壊滅してしまいました。クラピカは未だに楽しかったと答える旅が始まってないのである。まだ楽しい旅のスタートもしていない比喩である。ゆえに「オレの旅(楽しかったと答える旅)がようやく始まりそう」と述べたのでしょう。
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そしてクラピカは気づいている。仮に同胞の緋の目を集め終わってとしてもはじまらないことに!ようやくパイロと約束した楽しかったと頷く旅がスタート出来るようになったとしても行き先など無いと。「何処へ行く…?」である。
もはやクラピカは楽しかったと言える旅など始まらない無いと悟っているのであった。しかし、しかしである。『ハンター×ハンター』という作品は初期から変わらない芯があります。それは「過程」です!当初の目標と変わったとしても、そこに至る過程こそハンターですよ!
ハンターが描くもの
(コミック6巻)
コミック6巻のおまけページで冨樫先生は『ハンター×ハンター』の誕生秘話を、自分が色んなものを集めるのが好きで「それぞれ集め方にもいろんな手段があって面白い」「欲しかったものをゲットする瞬間の快感」と述べていました。だからハンター漫画を描こうと思ったそうな。
『ハンター×ハンター』は目的でなく達成するまでの過程こそが本物の宝なのである。欲しかったものを見つけるまで(手に入れるまで)がハンターの醍醐味(だと思う)。「本当にほしいもの」は後から気付くというか付いてくるというか。
例えばゴンの目的は父親・ジンを見つけることだったじゃないですか。実際333~334話でジンを見つけたわけですが(というか偶然会うというか)。やっとの事で見つけたわけでもなければ、1話からの目標達成したのにドラマチックの欠片もなく、すごくあっさりしてるんですよね。
第一声が「見つけた」とか「会えた」とかでなく「カイトが女の子になっちゃったんだ!」ですからね。あー、ゴンの中で「ジンを見つけた」という結果よりもそこに至るまでの方が大事なことだったんだなって。「過程」の大事さはジンも解いてました。
大切なものは欲しいものより先に来た
おまけだった(338話)
ジンは15歳の時、調べる事が実質不可能だったある王墓に興味を持ちました。金も名誉いらずただただ「真実」が知りたかったそうな。同じ王墓に興味があるネットで知り合った者達と紆余曲折の末に、念願の王墓へ踏み入れた時に気付いたのでした。
オレが一番嬉しかったのは、ずっと願ってた王墓の「真実」を目の当たりした事じゃなく、いっしょに中へ入った連中と顔を見合わせて握手した瞬間だった。そいつらは今も無償で役員をしながらオレに生きた情報をくれる。この連中と比べたら王墓の「真実」はただのおまけさ。大切なものはほしいものより先に来た(338話)
王墓の真実なんてただのおまけだったんだと気付くのである。「大切なものは欲しいものより先に来た」という事がジンが出した結論でした。目的があったけど、実はその過程のほうが本物の「宝」だったと。「同じ目的持った仲間>王墓の真実」だったと気付いたのである。
これは、そのまんまゴンにも当てはまりますね。「ジンを探す」という目的があったけど、実際にジンに出会った結果よりもそれまでの方がゴンにとっての大切だったのである。「大切なものは欲しいものより先に来た」ですよ。
キルアもそう。「友達欲しかった→とっくに友達だった」によろしく。今後の暗黒大陸の目的「厄災(リスク)」を攻略し「希望(リターン)」を持ちかえれだってキルアはとっく達成しちゃってるし。大切なものは欲しいものより先に!
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敵キャラであるメルエムにも当てはまるね。全生物の頂点に立つことが目的だったけど、その間の余興で本当に大切なもの「コムギとの軍議」が先に来てしまっていた。全生物の王になることなどどうでも良かったと気付いたのである。
大切なものは欲しいものより先に来る!これこそが『ハンター×ハンター』の醍醐味でキモであると個人的に思うわけですよ!
クラピカは気付けるのだろうか
ワブル王子とクラピカ(369話)
「大切なものは欲しいものより先に来る!」という言葉はクラピカにもまんま当てはまるでしょうね(多分)。338話のジンの台詞はこの漫画の全てを物語っていると思います。
オレはいつも現在オレが必要としてるものを追ってる。実はその先にある「本当に欲しいもの」なんてどうでもいいくらいにな。
クラピカは最初の目的であった「幻影旅団への復讐」「同胞の緋の眼を集める」の過程で、ゴン、レオリオ、キルア、センリツ、(バショウも?)、オイト王妃、ワブル王子、(ビルも?)…と出会っています。還る場所も迎える人もいるのです。
仮にこのままツェリードニヒの持つ同胞の目をGETしたとして気付けるのだろうか。そこまでの紆余曲折の方が実は本当に欲しかったものであったと…。大切なものは欲しいものより先にあったことに!本当に欲しいものなんてどうでもいいんですよ!緋の眼を集めたからって何だってんだ!
大切なものは欲しいものより先に来る!
お前は既に持っている!のです。クラピカは同胞の目を集め終わって、そこからようやくパイロと約束した楽しいと聞かれ肯定できる旅が始まると思ってるが否でしょう。本人そんな旅無いと思ってもいるが…。しかし!もうとっくに始まっていたんです。そこはスタートでなくゴールであると。
探し物は何ですか?見つけにくい物ですか?
探すのを止めた時、見つかる事もよくある話で…。
クラピカはパイロ(の生首?)と再会したら「楽しかった?」と聞かれることでしょう。全力で頷いて欲しいですね。落ち込んだりもしたけれど、私は楽しかったです!と。大切な人に会えたと言って欲しいものです。大切なものは同胞の目より先に来てたと。
クラピカが戻って来たら、ボクが1つだけ質問する。楽しかった?ってボクが聞くから、心の底からウンって答えられるようなそんな旅にして来てね。
HUNTER×HUNTER モノクロ版 34 (ジャンプコミックスDIGITAL)
集英社 (2017-06-26)
コメント
「楽しかった?」って訊くのはゴンの役割なんじゃないかな。
だからゴンは念能力を失って今回のエピソードに参加しないで家にいるんだと思う。
いつも楽しまさせていただいてます。
初コメントで恐縮なのですがめっちゃ納得しました。いや実際どうなるか分かりませんけど、読んでてとても気持ちよかったです、凄くスッキリしました。
ダンブルドアの
「整理された心を持つ者にとって死とは次の大いなる旅に過ぎない」
ってセリフを思い出した
たぶんクラピカは死ぬ
あの世でパイロと再会して、(人生という名の)旅は楽しかったかと聞かれて肯定するでしょう
次の旅はもちろんパイロと一緒に行こう
普段おバカ(褒め言葉)な記事書いてるくせにオチまでキレイに〆やがって。。w
めっちゃいい記事やった。
きれいなヤマカム。
なんか普通に感動しちゃった
どう終わるのかな、キメラアント編はきれいに終わったと思う
暗黒大陸編は未完が怖いなー
クラピカの漫画上での結末は、富樫氏がインタビューで答えたようにやはり「死」になってしまうと思うんですけど、そこまでの過程でどれだけの幸せというか、充実感を得て(それに気づいて)迎えられるかっていうのが焦点になりそうですね…。
ちょっと、山田さん、、泣いちゃう。。
綺麗なヤマカムwww
感動しました。
もう一回復活ってのが、読み切りかもしれない
願いは最初から叶っていたのだ、、! みたいなのいいよな
一話の時点で欲望(願い)を叶えていた仮面ライダーオーズとか思い出した
あの4人が再集結したら泣く自信がある
良い記事でした⋯
あの4人が再集結したら泣く自信がある
クラピカと団長が再び出くわしたらしたらどうなるのかな?
ジャッジメント・チェーンが外された事やそうなる事は分かっているのだから、クラピカの中でどうするかは決まっているとは思うけど。
王子を守る事、緋の目を取り戻す事、蜘蛛に復讐する事のどれか1つしかできない状況になったら、クラピカはどれを選択するんだろう?
そんな事いちいち解説しなくてもわかってます。
(正直その解説自体が腹立たしかったし、なまじ共感されてるから尚更嫌)
パリストンの「ジンを敵として信用してる」って発言に
どういう印象を受けたかで診断できるんだろうなぁ、って思った。
理屈(心理)でものいうチードルさんと
感覚(心)で生きるパリスの違いが
これでもかという程よく描かれてたから(笑)
とても泣きたくなりました。
大切なものは欲しいものより先に来る
ジーンとくる。
最終章は何があってもおそらく四人の旅になるかと思うけど、クラピカには笑っていて欲しくもあるし泣いて欲しくもある。
絶対時間の制約は除念レベルでどうこうできないとして、他に模索してくれ……
お前にはこんなに仲間も親友もいるだろ!!
感動しました。
ジンさんの名言ってどんなんやっけな?
を探している時に不意に見つけた記事でした。
ちなみに、私はスラムダンク好きなのですが、
ジンさんの名言でハマる場面無いかな?
と思って振り返るとありました。
山王工業試合中のゴリです。
試合中にも関わらず、涙するゴリ。
きっと、ゴリにとって本当に必要だったものは
全国制覇ではなくて、頼れる仲間だったんですよね。
それをゴリの心の奥にある潜在意識?が感じた結果
試合中に涙が出てきた気がします
ありがとうございますー!
追憶編を改めて読んでみてクラピカの欲しいものはすでにそばにいたのでは?と思ってこの記事にたどり着きました。パイロとクラピカの関係(「パイロじゃなきゃダメなんだ!」)はキルアとゴンの関係性そのものだったのではと思います。クラピカが旅をして見つけたかったパイロを治してくれる医者はレオリアがいます。ゴンは父親を捜し、キルアは友達を探し、レオリオは医者への道を探し、クラピカは仲間を探していたなら、本当はすでにみんな手に入ったのではないかと思います。
クラピカは過去に全てを失ったけど、ハンター試験を経て全て手に入っていたのではないかと思うんです。
クラピカに神のご加護がありますように…