『ぼく勉』問185.「[x]=薄氷の女王編⑧」
先日、マンガ好きな方たちとリモート飲み会したんですよ。まあ出るわ出るわ。何がって『ぼくたちは勉強ができない』の話題ですよ。誰もが「あーでもない」「こーでもない」と文句のようなものだったり。お前ら『ぼく勉』大好きだなと思った次第です。
まあ、この手のヒロインわんさか系ラブコメは誰が勝つかのレースが醍醐味でありますからね。今のマルチエンド方式はダビスタで例えれば、後続馬が全部予後不良になってどう走っても1位が確定してるレースなのにちんたら走ってる姿を見てるようなものです。
何を見てるんだろうと疑問になるのは分かる。分かるが、怠慢先生こと桐須真冬はグッとくるものがありました。見事なストーリーラインだった。
『ぼく勉』の怠慢ルート
見事な「真冬」流れ
133話
俺は好きですよ、真冬
今回の桐須先生編の何が見事って、本編(共通ルート)133話の「俺は好きですよ、真冬」を踏襲したことに尽きるよね。
この時は、季節の「真冬」が好きって成幸の言葉を自分が告白されたと勘違いしちゃってたわけです。この失敗(?)を踏まえて、今回の「俺は好きですよ、真冬」は最初から季節の方を指してると分かってた桐須先生である。
その時の、ちょっと物憂げな表情よ。一瞬!だけど閃光のように5年前を逡巡した感じがあり、あえてそこに乗っかっていった流れが絶妙すぎてエモエモすぎた。
一世一代のイベント告白もさることながら、流れで自然とやる告白もすこ。この両取りだったよなぁと。流れで季節の「真冬」が好きと言い、5年前と同じ季節が好きって指してるの理解した上で、自分が告白されたテイで突き進む桐須先生。
あまりにも綺麗な物語だったといえる。いわゆる伏線と回収が芸術的でもある。
「間違い」でいい
133話
桐須先生の重要ワードには「間違い」というものがある。自分の半生は間違ってたのだろうかとか、新任教師時の日野さんへの接し方は間違ってたのではないかとか…。
成幸の父親(桐須先生の恩師)からは「間違いだったかどうかなんて本当に終わっちまうまでわかんねーもんさ」という言葉が木霊していたわけです。
これまで描かれた桐須先生の心の声の情景が相まって、今回のラストのモノローグは胸が熱くなる。正解のみを良しとしてた桐須先生が「間違いでいい」ってね。彼女のロジックからしたら元生徒となんて正解でなく間違い。
だ・け・ど!
間違いでもええんやでというね。
「[x]=薄氷の女王編」なんて仰々しいタイトルでわざわざ「=」を含めてるのに、間違いでも間違えてもいっかという執着にたどり着く手管に1000000点です。「=」なんて絶対の解答を否定してるようなモノローグは芸術的ですらあった。
間違いかもしれない。でもそでいいんです。熱すぎるぜ。
見事な流れだからこそ…のモニョ
仕方ない
あまりにも綺麗で完璧な物語である。
だからこそ、ものすごくダメージを受けてしまうのです。
なぜなら、私は強固な「うるかちゃん派」だからなり。うるかちゃんルートこそ完璧な物語の帰結だったし、他のルートは個人の意見だけどパンチが弱かった。
中学生時代、高校1年時のメモリーが強烈しぎてな。なんつーの。例え文化祭で手を握った相手がうるかちゃんでなくても絶対にうるかちゃんと結ばれるなって絶対的なディスティニーあったわけ。
故に、うるかちゃんルートが正ルートなのです。後はオイタみたいなものです。ダメージ受けなかったんです。したら、ここに来て強烈な運命力を見せつけてきた桐須先生編ですよ。「あれ?これ桐須先生と文化祭で手を繋がなくても結ばれる説得力あるぞ」と思ってしまうぐらいの。
桐須先生編を読むと「うるかちゃんとのディスティニー何だったんだよ!」となる。他の子は所詮パラレルワールドだろって上から読んでたワイの頭にガツンと一発食らったわけです。
うるかちゃんENDに勝るとも劣らない正史っぷりだった。だからこそ!過激派うるかちゃん信者として桐須先生ルートを否定する(えー?)。
桐須先生の年齢
ここで刮目すべきは桐須先生の年齢でしょう。
彼女の年齢は作中でボカされており、正確なところは分からないように描いてきた。
とはいえ、ある程度は絞れるのです。
101話
101話では新任教師として3年生の副担任になる桐須先生が描かれいました。今の冷酷な気怠けな感じと一切違うやる気に満ちていた彼女。
高校教師になるには「1種免許」というものが必要です。短大(2年間)でも教師になれるものの「2種免許」しか短大ではとれません。短大卒だと義務教育(小学生・中学生)の教師にしかなれないわけです。高校生の教師になるってことは4年制の大学を出て無くていけない。
ということで、101話の新任時代で最低でも23歳の年となるわけです。
今のようなロングな髪型でもなくショート~ミディアムぐらいの長さでした。
で、日野さん3年生時の新任時代で間違えてしまったと心を殺して冷酷な教師になると誓ったのです。
また、あしゅみー先輩在籍時も教師であったこと、文乃さんとりずりん1年生時に「初代教育係」として冷酷モードで接してたことが明かされてます。最低でも3年は教師してます。
つまり、「4年制大学卒業+3年の教師生活」があるので、少なく見積もっても共通ルートの本編(成幸高3時)では25歳以上であることは確定的明らかなのです。
18歳と25歳になる年度で、2人の年齢差は最小単位で7つ離れてたわけですね。
ネクタイの矛盾
さらにだ。
成幸や桐須先生の母校である「一ノ瀬学園」は学年によってネクタイの色が違います。
119話
その制服とネクタイの色…一ノ瀬(ウチ)の3年生でしょう?
私2年ですので
本編(共通ルート)119話でタイムスリップして桐須先生が高校2年生の時に遊園地でデートしたエピソード。
『きまぐれオレンジロード』を彷彿させる、過去に会ってた憧れの人となったわけで。ここで「一ノ瀬学園」の制服とネクタイについて追求されております。学年によって色が違っていると。明言されたわけよ。
これについては作中でもめちゃくちゃ正確に描かれており、成幸の3学年下の妹・水希が高校生描写は、兄の学年とまったく同じ赤色のリボンで統一されています。
3つ下のみずきんは成幸の学年と同じ色になるわけです。
で、桐須先生が高2年時ではちょうど成幸や水希の学年が1つ上に該当する色になってるというわけですね。
これを冷静に組み立てていきましょう。
年齢と学年を考察する
一応アニメで色は分かるけど、成幸学年を基準に「A=3年」「B=2年」「C=1年」と色分けとしましょうか。成幸の学年が「A」で怠慢(高2)が「B」。これを本編の桐須先生の高校2年生時代に当てはめると…?
(最小で桐須=24歳、日野=18歳)
- 桐須(高2)=B
- 成幸(高3、18)=A
- 1学年下(高2、17)=B
- 2学年下(高1、16)=C
- 水希(本編中3、15)=A
一ノ瀬学園のネクタイの色 | |
A | 桐須先生の1つ上(成幸タイムスリップ時) |
B | 桐須先生が高2時の学年 |
C | 桐須先生の1つ下 |
A | 桐須先生の2つ下 |
B | 桐須先生の3つ下 |
C | 桐須先生の4つ下 |
A | 桐須先生の5つ下(桐須新卒時、日野3年時)(23歳) |
B | 桐須先生の6つ下(文乃&リズ1年時の教育係) |
C | 桐須先生の7つ下 |
A | 桐須先生の8つ下(成幸の学年3年生)(26歳) |
B | 桐須先生の9つ下 |
C | 桐須先生の10つ下 |
A | 桐須先生の11つ下(水希の学年)(29歳) |
お分かりいただけるだろうか。
ようするに、制服・ネクタイの色で整理すると、桐須先生と成幸の年の差は最低でも8つ離れていないとおかしい計算になる。本編(共通ルート)でいえば、最低の数字を見繕っても成幸18歳なら桐須先生は26歳、今の成幸23歳なら桐須先生は31歳という年度になります。
そうなると、桐須先生ルートであり得ない矛盾が生じてしまうのだ。
成幸11歳時
182話
唯我成幸 11歳―
ここで刮目すべきは182~184話で描かれた、成幸11歳時の過去回想である。
上記の通り桐須先生とは最小を見繕っても8つの年の差があるのです。
もちろん、下手したらもっと年が離れていても不思議じゃないわけですね。
つまり、最低で計算しても成幸11歳時…「小5年代」「小6年代」(成幸だけは主要キャラで誕生日明かされてないのでどっちでも取れる)だと?
- 成幸11歳(小5年度)…桐須先生19歳年度
- 成幸12歳(小6年度)…桐須先生20歳年度
どっちみちありえねぇ…。
成幸が11歳だと、桐須真冬は最低でも19歳か20歳の年度になるわけですね。
とっくに高校卒業してますよ。
故に、どう考えても成幸が11歳時(小5年度でも小6年度でも)に桐須真冬の高校時代と出会うことは100%あり得ないのです。なのに桐須先生ルートはこれが過去の実際に起きた出来事として描かれてるわけです。
この矛盾!裏を返せば、桐須真冬ルートは本編(共通ルート)とは違う、学年ズレてるパラレルワールドと解釈できるわけです。どんなにディスティニー盛っても、これはファンタジーの話。うるかちゃんルートこそ正史というわけよ。
まとめれば、桐須真冬ルートは夢の話です。
やったね!うるかちゃんルートだけ正史!うるかちゃん大勝利!
コメント
エピローグは結婚式、妊娠、出産、子育てがあると良いな
うるかルートへの執念を感じる…
単独カラーや表紙が少ない子が正史というのも・・・真のエンディングを見る為のノーマルエンドって感じ?
カラーと表紙持ち出すなら単独で描かれるより主人公とペアで描かれてるほうが正史感強いと思う
うるかルートはひぐらしでいう鬼隠し編、文乃ルートが罪滅ぼし編って感じで凄くワクワクしました(古のオタク)
個人的には少年漫画は定められたデスティニーを打破する物だと思ってるので、昔からの運命の人…みたいな子とのラブロマンスはあまり好きじゃなかったりします。(だから文乃ルートがめちゃくちゃ面白かったです)
でもこうしてヤマカムさんにうるかルートや真冬ルート突き刺さっているように、一つの題材が多面的に描かれる事で自分の嗜好に合う物語に出会えるというのは良い物ですね。
ヤマカムさんもマルチエンド発表以前よりもうるかちゃんやうるかルートへの思い入れが強くなられているように見えますし、5本の物語を並べる事で自らの中で推しの良さが更に顕著になって以前より深くその子に没入する事が出来る。
マルチエンドにはそんな効能があるように感じました。
真冬とは現状ラブラブな匂いをぷんぷんさせているので、真冬ちゃんは過去に行ったことがあるんじゃないかな
主人公だって過去に行き、真冬ちゃんとラブラブデートしてるわけだし、不思議ではない
そもそも、本編とは別ルートの話だから本編エピソードを持ってき
真冬とは現状ラブラブな匂いをぷんぷんさせているので、真冬ちゃんは過去に行ったことがあるんじゃないかな
主人公だって過去に行き、真冬ちゃんとラブラブデートしてるわけだし、不思議ではない
そもそも、本編とは別ルートの話だから本編エピソードを持ってきて説明すると矛盾が出てくるのは当然の帰結、他のルートでもあら捜しをすれば矛盾がでてくるんじゃないかな
年齢は作者のミスっぽいので、運命からは逃れられない
筒井 大志@ぼく勉19巻発売中!@Taishi_Tsutsui
はっ!先週掲載分のぼく勉で、回想成幸の年齢間違えちゃってたかもです!
ごめんなさい!
https://twitter.com/Taishi_Tsutsui/status/1330009968737624066
ところでゆらぎ荘最終巻の感想はまだですか
過去を盛るのやめてほしいわ
高校で出会った生徒と教師だからいいのに
週刊連載の漫画なんだからそんなに頑張ってアラ探しする必要ないでしょ
すごい執念wwww
さすがヤマカムさんです、おみそれしました!
結局うるかルート終わった後の「こんなんで他のルートが期待できるのか?」と言う嫌な予感が当たった感じです
特に自分のルートのはずなのに、関城の方が目立ってた理珠ルート
浅く読んでた人にはなんとなく良い話だったように見えるかも
>先輩編
本編連載中は1番どーでもいいヒロインだと思ってあまり興味無かった先輩ルートがなんか1番良かった気がする…
同感
>マルチエンド方式はダビスタで例えれば、後続馬が全部予後不良になってどう走っても1位が確定してるレースなのにちんたら走ってる姿を見てるようなもの
エロゲーマーがなに寝言を言ってるんですかね…
やはりマルチエンドは駄目じゃったかみたいな感想しか出てこない
先生長編は先生のやっていたことは決して間違いではなかったで締めたのに今更また間違いかどうかのテーマに触れられても
先生ルートの世界線は、文化祭以降昔会ったお姉さんと認識してるって状況だからむしろ本編と1番差異があるルートでは?
>今のマルチエンド方式はダビスタで例えれば、後続馬が全部予後不良になってどう走っても1位が確定してるレースなのにちんたら走ってる姿を見てるようなものです。
珍しく推しが勝ったと思ったら、マルチエンドとか言われて不満タラタラなのはわかるけど、
うるかエンドも、マルチエンドのひとつに過ぎないから
ちんたら走っている馬の一頭でしかないから
最終回記事期待してます!!