水島新司先生がお亡くなりになられました。心よりご冥福をお祈りいたします。
私は世代ど真ん中じゃないんだけど『ドカベン』『キャプテン』は親父が持ってんたで子供の頃に読んで育ったのでショックです。『プロ野球編』は世代なのでドカベンは思い入れが深いです。
さて、野球漫画の大傑作『ドカベン』は説明不要の名作ですが、当時と今ではシステムが違うところがあります。
題して『ドカベン』神奈川県の強豪校たちは今のシステムで春の甲子園に出場できるか説!
今のシステムで神奈川強豪校は春甲子園に出れるか?
現在のシステム
甲子園を見てると大阪代表がめちゃくちゃ強いですよね。大阪を代表する2強といえば「大阪桐蔭」と「履正社」です。夏大会はどっちか1校しか出て来ないけど、春大会だと両方出てくる。
これは「県大会上位」→「近畿大会上位」→「春の甲子園」だから。
『ドカベン』連載時とはシステムが違います。
ドカベンの舞台は神奈川なので現行システムだと関東大会出場は県から2校(開催地は3校)で関東大会から4.5枠が春甲子園にいける(0.5は東京と比較して主催者がベスト8から決める)。
「神奈川県大会上位2校」→「関東大会ベスト4」→「春の甲子園出場」
- 神奈川県大会上位2校は関東大会出場
- 関東大会でベスト4に入れば春甲子園出場
このシステムで作中の神奈川強豪校は春の甲子園に出れるか?
神奈川の明訓以外の強豪校
神奈川県は大激戦区で明訓の他に4校の超強豪がいます。それが「白新」「東海」「横浜学院」「東郷学園」です(謎の強運の吉良高校もあるが実力は雑魚なので割愛)。
白新高校
名前 | 不知火守 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手 |
不知火は作中最強の投手である。1年から白新のエースで4番のワンマンチームといった感じ。対明訓とは5度戦いすべて死闘を演じている「7-6」「9-5」「1-0」「5-2」「1-0」。延長戦に突入するのがデフォの超強豪。
東海高校
名前 | 雲竜大五郎 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手&右翼手 |
名前 | 雪村花虎 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手&右翼手 |
2枚看板の投手体制。東海は雲竜のワンマンチームに見せかけて雪村も相当な強キャラ。雪村は里中からも渚からもホームラン打ってる強打者でもある。明訓とは5度対戦して「1-0」「1-0」「10-8」「2-1」「10-5(雲竜不在)」と紙一重。雲竜は途中で各界入りして3年時は不在。
横浜学院
名前 | 土門剛介 |
年齢 | 山田の1個上 |
ポジション | 投手 |
名前 | 谷津吾朗 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 捕手 |
投手土門と捕手谷津のバッテリーが特徴。土門は不知火と並ぶ作中最強投手です。谷津の成長は著しく1つ上の土門引退後も東郷や明訓と名勝負して強豪の地位を守る。明訓とは3度対戦して「5-2」「4-2」「8-7(土門卒業後)」。
東郷学園
名前 | 小林真司 |
年齢 | 山田と同じ年(2年途中で転校) |
ポジション | 投手 |
アメリカにいたが2年途中で帰国&転校。エースで4番。山田とは中学時代に事故で失明寸前にされ山田が野球を一時辞める原因になった。さらに東郷学園中は里中の出身校で中学時代は小林の補欠。監督は元明訓監督の徳川。ラスボスに相応しい因縁であったが…。
この4校が神奈川ナンバー2を争う強豪校です。
いずれも一度も甲子園に出場してません。
夏大会は今も昔も県から1校なので明訓で決まりですので他校はノーチャンス。秋大会を検証していきましょう。
1年秋県大会
21巻
1年秋の神奈川県大会は明訓が準々決勝で白新「9-5」、準決勝で東海「1-0」と勝ち進み決勝戦で横浜学院と対戦しました。アナウンサーの実況が当時のシステムを物語ってますね。
関東大会へ進むのは横浜学院か、それとも明訓か
この当時は関東大会へ行けるのは神奈川県から1校だけだったのです。
作中で明訓は横浜学院との死闘を制して見事に関東大会へ出場します。
しかし!今のシステムなら神奈川県から2校関東大会へ出場できます。つまり、山田1年秋は横浜学院も関東大会へ進めるのである。そして関東大会でベスト4に入ればストレートインで春の甲子園に出場できます。
ここでフォーカスするのは横浜学院は関東大会でベスト4まで行けるかでしょう。
横浜学院が関東大会に出たら
山田1年秋季関東大会は開催地が千葉でした。作中では千葉から2校、そして県代表が1校ずつ関東大会に出場してました。
これが今のシステムだとこうなる。
- 千葉3校…「クリーンハイスクール」「銚子黒潮」「もう1校」
- 茨木2校…「取手五」「もう1校」
- 栃木2校…「大山」「もう1校」
- 群馬2校…「赤城山」「もう1校」
- 山梨2校…「甲府学院」「もう1校」
- 埼玉2校…「宮浦商」「もう1校」
- 神奈川2校…「明訓」「横浜学院」
※太字は強豪校です
この15校でトーナメントしてベスト4に入れば春の甲子園出場。
千葉県開催で千葉1位の「クリーンハイスクール」はシード。県代表の2校は反対側のブロックになります。つまり横浜学院は明訓とは決勝まで当たらない。この組み合わせでベスト4に入れるか?答えはケースバイケースです(えー!)。
『ドカベン』の関東勢は夏甲子園でお馴染みの強豪が揃ってるので横浜学院がベスト4に確実に入れるとは言い切れないのがつらいところ。
関東の強豪校
千葉のクリーンハイスクール
名前 | 影丸隼人 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手 |
名前 | ハリー・フォアマン |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 右翼手 |
千葉の強豪校です。影丸は柔道時代の山田のライバルでもあり、柔道技を駆使した豪快な背負い投げ投法が強烈。4番のフォアマンは怪力が自慢で里中から1試合3ホーマーした強打者。投打の主軸が揃ってるチームです。
作中の千葉は他に2校も超実力校(中山と青田)があるので神奈川ぐらい激戦区。
群馬の赤城山
名前 | 国定忠治 |
年齢 | 山田の1個上 |
ポジション | 投手&遊撃手 |
名前 | 木下次郎 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手&遊撃手 |
明訓や土佐丸と死闘を繰り広げる甲子園常連の強豪校。2枚看板のピッチャーが強い。国定はザ・王道エース。木下(わびすけ)は両手投げでどっちで投げるか分からない変則投手。国定は打力もすごい。投打でレベルが高いチーム。
山梨の甲府学院
名前 | 賀間剛介 |
年齢 | 山田と同じ年 |
ポジション | 投手 |
賀間がエースで4番のワンマンチームであるが、夏の甲子園で準優勝したことがある。関東勢では明訓の次に甲子園で結果を出してる。賀間の球はとにかく重い。バットをへし折り、外野に飛ばすのも一苦労な超剛球。甲子園ナンバーワン投手と呼ばれたこともある。
他の関東強豪
また、1年の秋季関東大会では作中に登場してないが、栃木県には中(あたる)二美夫の江川学院もあります。
千葉県には確かな実力校の豊臣の中山高校、3年夏(大甲子園)でクリーンハイスクールを破ってる中西球道の青田高校もある。
豊臣の中山、球道の青田を差し置いて関東大会に出てた「銚子黒潮」がどうやって千葉2位になれたかは永遠の謎である。
この辺は、現行システムの県から2~3校が関東大会出場ならば、もしかしたら1年秋季関東大会に出てたかもしれん。そうなるとさらに混沌としたトーナメントになるね。
横浜学院は関東ベスト4に入れるか?
で、主題である神奈川2位の横浜学院は関東大会でベスト4に入って春の甲子園に出れるかであるが、マジのガチで何とも言えない。
このトーナメントで明訓とは決勝まで当たらないとはいえ、神奈川2位なので初戦から他県の1位と対戦しなければなりません。2回勝つ必要がある。
運が良ければ茨木や埼玉の代表が同じ山に入れるかもしれない。この辺なら土門や谷津の横浜学院が遅れを取ることはない(きっぱり)。
問題はクジ運次第で山梨の「甲府学院」、群馬の「赤城山」、千葉の「クリーンハイスクール」に当たること。へたしたらベスト4いくまでにこの中の2校倒さなきゃいけないハードトーナメントになるかもしれない。
クジ運次第では準決勝への道は楽。
運が悪いと強豪校を倒してベスト4にならなきゃいけない。
『ドカベン』の関東勢は甲子園常連の強豪校が多いので、土門が投げ勝てるかは神のみぞ知る世界である。ただ土門は作中最強投手の一角なので勝ち抜ける可能性は高いです。
2年秋大会
・このまま勝ち進むと準決勝は白新だな
・そして決勝は東郷か
今も昔も夏の甲子園は神奈川から1校なので括目すべきは秋大会である。山田2年の秋県大会は、初戦で雲竜(痩せた)&雪村の東海との死闘を制したあとに組み合わせが出てました。
2年時明訓の秋県大会は有象無象のあとに、準決勝で白新、決勝で東郷学園が予定調和。その通りの展開でした。
神奈川最大のライバルになる東郷学園
で、この県大会決勝で当たる東郷学園がまあ因縁の相手なんですよ。小林はアメリカに野球留学しており帰国した転校生で神奈川強豪の一角としてどうどうの登場をします。
さらに、中学時代の山田と対戦してスパイク事故で失明寸前になる。山田が一時野球辞める要因でもあった。里中は同中で小林の補欠だった。元明訓監督の徳川が監督。
それはもう作中でこれでもかと盛り上げて因縁や宿命を描いたり掘り下げるのです。山田&里中だけでなく、殿馬とも岩鬼ともディステニー有り!
どう見てもラスボス的なポジションです!
本当にありがとうございました!
そして2年秋の県大会決勝でついに山田&里中の明訓とぶつかるわけです。いざ決勝!名勝負の予感!
がしかし!
ずーっと悪天候が続いた為に決勝戦は無し!!
ぶっちゃけどっちが勝っても関東大会行けるので決勝は行われませんでした。
山田2年秋大会は今と同じように関東大会への出場校が県2校となってたのです。「県から2校が関東大会出場」は現行システムと同じ。まさに『ドカベン』連載中は春甲子園システムの過渡期だったわけですね。
ちなみに作中での春甲子園主上の段階は以下の通り。
- 神奈川県から上位2校(明訓、東郷)
- 関東大会上位2+1校(明訓、下尾、日光学園)
関東大会出場できる枠はいまと同じ2校なので現行システムでも神奈川からは「明訓」「東郷学園」が出場です。
ただ関東から甲子園行けるのは今なら4.5枠ですけど、当時は3校の出場でした。括目すべきは東郷学園が現在のシステムで春甲子園に出れたかです。答えはYES!出れます!
東郷学園は関東大会準決勝で敗退
45巻
小林真司さん準決勝でまさかの敗退!!
2年秋の県大会決勝でずっと悪天候で開催されず(どっちも関東大会行けるから)、関東大会決勝で明訓と当たるはずでした。しかし、小林の東郷学園は関東準決勝で敗退してしまった。
というのもアメリカ帰りの小林の魔球「ナックル」はキャッチャーが捕れない弱点があった。後逸でサヨナラ負け(試合に負けたが勝負には勝った)で堂々と関東大会を去ったのである。
しかも3枠あった春甲子園最後の枠(準決敗者のどっちか)が明訓にコールド負け食らった日光学園を選出したのである。これには読者も「え?なんで?」である。東郷学園じゃないの?
余談であるが宿命&運命100%の小林の東郷学園は2年秋~春で明訓と対戦できず、3年夏こそ絶対ぶつかると読者が想像する中で『ドカベン』は2年春大会で終了。続編『大甲子園』で不知火の白新に負けてしまう。一度も明訓と対戦せずに終わります。小林とは何だったのか?(哲学)
あれだけ宿命と伏線を描いて山田&里中の明訓と未対戦で終わった小林の東郷学園。「えぇ!?」と読者が思うけど、これも当時のシステムだから。春のセンバツに出れる関東大会の枠は4.5枠です!
つまり、関東準決で敗退して小林の東郷学園も今のシステムならストレートで甲子園出れる!
山田2年秋の関東大会は今のシステムなら「明訓」「下尾」「日光学園」「東郷学園」は春の甲子園にストレートインです!
現在のシステムなら小林の東郷学園は2年春甲子園に出れた!
まとめ
そんなこんなで神奈川の強豪校が今のシステムで春甲子園に出れたか検証でした。
夏の甲子園は今も昔も神奈川県から1校しか出れないので明訓以外は出れない。しかし!春の甲子園は「神奈川から2校」「関東から4校」を踏まえると…?
山田1年秋の横浜学院は春の甲子園に出れた可能性が高い!
山田2年秋の東郷学園は100%春の甲子園に出れた!
という結論になります。土門と小林は春の甲子園に出てた…。不知火と雲竜は現行システムでも出れなかった。これは「たとえば」の話だけど…。僕らが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン!!
コメント
メタな考え方をするなら、横浜学院は甲子園に行ける。何故なら明訓が、甲府学院、赤城山、クリーンハイスクールの全てに当たるような組合わせになるから、横浜学院は勝ち抜いて行ける。
山田を避ければ単独で不知火というくらい評価高い不知火が
センバツだとどのくらい結果出せたのかは気になるね