『響~小説家になる方法~』(柳本光晴)10巻読了!
ついに響は日本を動かしてしまったか…。語弊のある言い方たが間違ってはいない。
波瀾の表彰式! 響vs.加賀美文科大臣!
デビュー小説『お伽の庭』が、芥川賞と直木賞をW受賞するという快挙を成し遂げた鮎喰響。驚異的な現役JKに世間は熱狂するが、本人は特に気にすることもなく日常を過ごしていた。そんな中、文芸部は花代子の発案で全国高校文芸コンクールに参加することに!
そして響は最高の賞である文部科学大臣賞を受賞してしまう。特に気にする風もない響だったが、授賞式には表彰状を渡すために文部科学大臣の加賀美が現れる。総裁選の最中、自らの野望に燃える加賀美は、響の正体を芥川・直木賞を受賞した「響」と見抜き、利用しようと画策するが……
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『響~小説家になる方法~』10巻
この漫画基本的に響の小説が凄く、読めば誰もが脳天を撃ち抜かれたように感動して響にひれ伏します。ある意味「俺TUEEEEE」を極ていると言える。15歳で芥川賞と直木賞を同時受賞して「どんだけだよ!」って天才っぷりを見せつけてくれます。
響も天才となんとかは紙一重を地でいっており控えめに言って頭がどうかしてます。完全にやべー奴なのに、逆にその言動が痛快でもあるのが面白いところ。
「あなた読んでないでしょ。」
81話
全国高校文芸コンクールで文部科学大臣賞を取った響。
その授賞式でまたやらかしてしまいます。10巻は文部科学大臣・加賀美をぶん殴ったことや、ついに芥川賞&直木賞の作者「響」だと世間にバレるなど見所満載でした。
その中で引っかかったのは加賀美がコンクールへ送った小説「11月誰そ彼」を読んでないときっぱり言い切った点でしょう。なんで分かったし…。「あなた読んでないでしょ?」と疑問形でもなく読んでないだろと断言する響。
実際に加賀美は小説自体は読んでおらず秘書が用意した「11月誰そ彼」あらすじと感想例に目を通しただけでした。響へ感想を述べた言葉は以下の通り。
黄昏時…隣に佇む人からつらつらと思い出話を聞く。言ってしまえばそれだけの話なのに、ここまで人の心を打つ文章があるんですね。比喩が上手いのか、テンポがいいからなのか、本当に読んでる間気持ちがよかった。読みながら、このまま永遠に文章をなぞっていたい気分でした。
これで読んでないとズバリ言い切れる材料があるのかと。ただ一点、「お伽の庭」を読んだ時と同じ読後感と言われた時に、面白くなさそうな顔をしてた(ように見える)。
あ、こいつ読んでねーな的な顔
ま、加賀美は読んでなくても「あらすじと感想例」には目を通していたので、まったくの見当違いってこともないはずなんでしょうけど。それでも響にとっては加賀美は読んでないと断言できる材料だったのが響の小説家としての矜持かねぇ。
実際「お伽の庭」を読んだ加賀美の感想
83話
何から触れていいのか…二人目の老人の話が一番染みたよ、たまらなかった。生まれた土地で生きて、町が変わって、電球が切れたみたいにある日死ぬ。あのじいさんは生まれた役割を果たしたんだろう、あんな幸せな人生はない。
女の子が死ぬ話なんかもな。俺はもう…美しさしか感じなかった。病院で一人衰弱して、死後の夕暮れの赤に包まれてのが綺麗で綺麗で。
どさくさに『女の子が死ぬ話 (AA)』をクロスオーバーさせるスタイル。
基本的に響の書いた小説は何がどう凄いのか読者にはピンと来ないし、小説を読んだ人がオーバーリアクションするのが『響~小説家になる方法~』です。ある意味、料理漫画に近いかもしれません。響きの料理を食った(小説を読んだ)人のリアクションで「うおおおお!」とさせる。
「11月誰そ彼」については『女の子が死ぬ話』的なんだと想像できます。だからこそ綺麗だとか美しかったとか生まれた役割と追及して「あんな幸せな人生はない」と加賀美が述べたのは、柳本光晴先生の昔の作品を自身で評価したようでもある。瀬戸遥は幸せな人生だったのだ。
『女の子が死ぬ話』の瀬戸遥さん
幸せな人生だったのだろう。
ちょっと泣いてしまった。
同時に、「お伽の庭」と「11月誰そ彼」の違いというか、響が聞きたかった感想もなんとなーく分かった(ような気がした)。
「お伽の庭」と「11月誰そ彼」は正反対
5話
・生き方の正解を感じたの
・初雪の降る山中…人ってこんなに綺麗に死ねるんだって、言葉が出なかった。
「お伽の庭」の感想を現編集の花井から「人ってこんなに綺麗に死ねるんだ」という感想を聞いて「ありがとう」と感謝した響。いわく「私の価値観、感じ方、物の見方、そういったモノを詰め込んだ」そうな。花井の感想を聞いてめっちゃ嬉しそうだったの印象的。「私は間違ってない」である。
「お伽の庭」は生き方の正解で綺麗に死ねる話だそうな。対して「11月誰そ彼」は『女の子が死ぬ話』を踏まえると生き方の正解でも綺麗に死んだわけでもないんだよなぁ。
女の子は綺麗に死んでない
「11月誰そ彼」が『女の子が死ぬ話』と同じような作品だったら、「お伽の庭」とは正反対だよなぁと。「生き方の正解」「綺麗に死ねる話」とは正反対です。綺麗に死のうとした女の子の葛藤とラストの行動は真逆すぎた。
それでも、生まれた役割を果たしたでしょう。美しく逝った。「あんな幸せな人生はない」「綺麗で綺麗で」と感想を述べた加賀美に妙な説得力あったわ。
『女の子が死ぬ話』と「お伽の庭」と「11月誰そ彼」の感想を言うキャラを踏まえると、響にとっては「お伽の庭」と「11月誰そ彼」は主張したいことがまったく正反対だったんだなぁと。
「『お伽の庭』を読んだ時と同じ読後感」に意味深な顔して、お前読んでないだろ!と、ぶん殴ったのも分かるって気がしましたね。
クールな響
感想も、あなたが感じたことがすべて。
実際に読んでから加賀美の感想を受け取った響。
クールで「私からつけ足すことも引くこともない」なんて返してるけど、「11月誰そ彼」と「お伽の庭」を同じ読後感って感想に、読んでねーだろ!という反応してたことしてたって考えると、内心めちゃくちゃ嬉しかったのではないかとすら思える。
ちゃんと「11月誰そ彼」を読んだ加賀美の感想貰ってからの響はえらい柔らかくなってましたからね。
態度を軟化させた響さん
天才キ〇ガイの響の本心は読者が想像するしかないのだが、なんのかんので加賀美がちゃんと小説読んで求めてた感想を言ってくれて喜んでいるのではないかとすら思えるね。
どんなに売れて名声高まろうと変わらない小説読むのも書くのも大好き少女キッチーですから。よくぞ「私の価値観、感じ方、物の見方、そういったモノを詰め込んだ」を理解してくれたみたいな。いや、分からないんですけどね。
加賀美は日本のトップ、総理大臣になったので、これからどこまで響無双になるか知りませんが、今後も関わってくるような気もしますな。
期待の新人
84話
はい!可愛い!
私は柳本光晴先生の本質はラブコメ作家だと思ってますから。随所にあった花代子ちゃんとタカヤ先輩のラブがコメる展開は頬をニヤニヤさせたものです。タカヤもリカ先輩も卒業かぁ…。
これで花代子&タカヤのこそばゆいやり取りも見納めか…と思うと寂しい。しかし安心して下さい!新1年生の男女が大型新人ですので、今後の『響~小説家になる方法~』文芸部のラブコメ成分は終わりません!大丈夫!
大型新人すぎる
すっごい新入生来たな!野球でいえば将来を担うドラフト1位ですよ。タカヤ卒業で花代子ちゃんのラブがコメる描写もお終いかって寂しさを補って有り余るほどのラブコメ要因投入です。期待しかない!
あと、リカ先輩の今後が一番気になる。この漫画ほど「才能」ってだけの暴力でボコボコにされる凡人ってのは無いのでしょう。世界一「天才」という暴風を描く漫画だからね。リカ先輩は凡人代表というか努力や研鑽のキャラなので成長が楽しみです。まる。
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コメント
「料理漫画」か。うまいこと言いますね。
雑誌でも読んでるし単行本も買ってるんですが、
なんでこんな俺つえぇぇ漫画(どうすごいのかが周りのリアクションだけ)なのに
面白いと思って読み続けてるんだろう?って自分で説明できなかったんですが、
料理漫画って解釈すると得心しました。
ついに自画自賛まで
響は確かに俺TUEEEEEなんですけど、あくまでも俺TUEEEEEなのは小説のみであり、エキセントリックな行動の大部分は我々でもやろうと思えば実行できるものばかりなんですよね。
主人公は己が納得できる行動しかしない、妥協や諦めるということをしない。我々はやらない(“やれない”ではない)が響はやる。そこにこの作品の魅力があるのだと思います。