『ゴールデンカムイ』第299話:許し
『ゴールデンカムイ』で一番のお気に入りキャラを上げるとすれば鶴見篤四郎である。鶴見中尉ほど巨大感情を持ってて、自分の中でもどうすればいいのか分からない(?)人はいませんよ。まるで恋愛漫画や百合漫画のすれ違いで闇をふくらませるヒロインのようなものです。
そして299話「許し」の鶴見中尉はやり場のない巨大感情がスパークしてて最高にエモかったわけです。これは高度な愛憎物語だ(錯覚)。
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鶴見中尉の巨大感情
長谷川幸一時代
鶴見中尉の巨大感情の原点は177~179話で描かれた長谷川幸一時代にある。日本のスパイとして仮名「長谷川幸一」としてロシアに潜り込み、妻子と暮らし長谷川写真館を開いていました。
ある日、ウイルクとキロランケとソフィアの3人が訪れたのがすべてのはじまりである。彼らが訪ねた目的は写真ではなく、日本語を教えて欲しいと。
銃撃戦の末に妻子死亡
そしてロシアの秘密警察に囲まれてた長谷川写真館。実は「ウイルク・キロランケ・ソフィア」はロシアの皇帝暗殺のパルチザンだったのですが、目的は彼ら3人でなく日本のスパイ…鶴見(長谷川幸一)でした。
銃撃戦の末に鶴見(長谷川)の妻・フィーネと娘・オルガは亡くなってしまいます。当初はソフィアが誤って撃ち殺してしまったように見えましたし、本人も自分が長谷川さんの妻子を殺してしまったと自責の念を抱いてました。
鶴見は妻子の死体から指を持っていき、今でも指の骨を持ち続けてました(232話)。少なくともスパイで潜り込んだ先なのに、妻も娘も愛してたというのは間違いない。270話で以下のように述べている。
- 私がただの在留邦人ではないと気付いていたと思う。それでも離れなかったのは私の愛だけは信じてくれていたからだ
- 二人の骨も今日まで捨てられなかった。諜報活動を命じられた軍人として失格だ
- 「家族を愛してしまったがゆえに弱くなった」と考えればウイルクを理解できなくもないが…(270話)
妻子を亡くした際のすっげー冷たい目が印象的でしたわ。で、撃ち殺したのはソフィアと思いきや娘の頭から見つかった拳銃の弾で、随分前から犯人を知ってた鶴見中尉である。
妻・フィーネと娘・オルガを殺したのはウイルクであると。
そんなわけで鶴見中尉の中では少なからずウイルクを自分の手でぶち殺したいという思いはあったと推測される。しかし、それは叶わずキロランケと尾形に射殺されました。
行き場の亡くなった妻子の仇であるが、ウイルクには娘のアシㇼパさんがいる。これが巨大不明感情をよりこじらせるのである。自分の妻と娘殺しといて、仇の娘が元気に生活してるわけですからね。そりゃ複雑である。
「キミのことは許した」
優しい長谷川さんの顔がチラついて引き金を引けなかったソフィアと一切の躊躇も容赦もなく引き金を引いた鶴見の対照的な銃撃。あの3人の最後の生き残りのソフィアを手にかける。色々とくるものがあります。
ソフィア本人に鶴見(長谷川)の妻子を殺した犯人ではないって教えてるけど、彼女は未だに罪悪感を持ってる。いわく「私達さえ来なければ…」と謝罪するのである。それについて長谷川さんの表情で描写されての「キミを許すよ」で射殺はすごいとしか言いようがない。
これも読み方ひとつで解釈が分かれる(ような気がする)。
まず、長谷川幸一としてソフィアを許したけど、鶴見中尉としては邪魔者を排除するために撃ち殺したという解釈。もう一方で、鶴見中尉は今際の際にものすごく優しくなるのも特徴である。死ぬ者に救いを与えてあげるというか。
死に際に安らぎを与える事に定評のある鶴見中尉である。激情型で残忍でサイコパス身すらあるのに人の死に際には救いをあげるめっちゃ優しくなるのも彼の魅力なのである。それを踏まえるとソフィアにも救いをあげたと解釈できる。
死にゆく人に救いを与えてあげる根底も妻フィーネの影響が大きい(ような気がする)。妻の死に際、長谷川でなく鶴見篤四郎と本名を教えた事を「決して裏切りの告白ではない」と勘のいい妻ならわかってくれると述べてましたからね。なにか奥さんの救いになった(?)のかな。それがあるから今際の際に救いを上げるマンになった説。知らんけど。
また、死体でしか対面できなかったウイルクに対して鶴見は表情一切描かれてなかったのも気になるところです。
んで、ソフィアを許したってのは間違いない本心でしょう。トドメを刺した後も鶴見の表情で「キミのことは許した」と呟いてますしおすし。同時に、ソフィアは許しても絶対許さない者もいると言えるわけで…。
もう長谷川さんの妻子を知ってる人は本人だけになったか…。
絶対に許さないマン
真に括目すべきはソフィアに向けた3発撃った銃弾でしょう。
全部写真のウイルクに命中してるのである。
これはソフィアは許したけど、ウイルクは絶対に許さない主張してるかのようである。「キミのことは許した(でもウイルクは絶許)」というね。
ここで鶴見中尉の巨大感情がこじるのは仇のウイルクがすでに故人なことだよね。でも、ウイルクには娘のアシㇼパさんがいるわけで。
はじめてアシㇼパさんとちゃんと出会った211話。ヤンジャン掲載時と単行本でかなりの描き直しをしております。
ヤンジャン掲載時はアシㇼパさんを見てウイルクを思い出し「…なるほど」「たしかに同じ目だ」と意味深につぶやくだけだったのですが、単行本では「…なるほど」と述べるのみで含みを持たせた表情。そして抑えきれない脳汁が溢れるのであった。
鶴見中尉は感情が高ぶると脳汁がドピュドピュする体質である。アシㇼパさんに出会って、ウイルクと同じ目をしてて脳汁が留まらないぐらい感情がMAXになったことが伺える。
ここで気になるのは鶴見中尉はアシㇼパさんをどうしたのか?でしょう。少なくともアシㇼパさんを見かけた凄まじい勢いで脳汁を垂れ流してる。思うところがあるのだろう。でも、アシㇼパさん本人は別に何もしてないだけに、巨大感情の行き場が気になるところです。まる。
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