『火ノ丸相撲』第151番 鬼丸国綱と草薙剣、尽力
ふひぃー。
最近の『火ノ丸相撲』の熱量は何なんだっつーの!
ただごとでない熱さです。盛り上がりが半端ないな!魂が震えまくりで脳汁出るレベル。団体戦決勝戦!大将戦!二度目の「潮火ノ丸VS久世草介」の一戦は、ジャンプ史に漫画史に残る、これぞ伝説と語り継ぎたい対決と言っていいでしょう。読んでいてブルッと来ましたね。「うおおおおおお!」と叫んでしまう。
有馬記念で「マキバオーVSカスケード」四度目の最終決戦を実況したアナウンサー風に言えばこうです。この世紀の一戦を目に焼き付けろ!!
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「潮火ノ丸VS久世草介」の対決がなぜここまで震えて燃え上がるのかといえば、2人の限界を超えても尚戦う試合そのものはもちろんですが、2人の背景と今までのストーリーラインがこの対決に試合に収束していることに尽きるでしょう。
世紀の一戦「潮火ノ丸VS久世草介」
鬼丸国綱対草薙剣
相対しただけで、2人が歩んできた努力と根性と友情が土俵で燃えたぎっていた。
この2人が相対しただけで心の芯から燃えるのは、それまで描かれた積み重ねでしょう。
プロレス用語で「ブック」と「アングル」って言葉があります。「ブック」とは試合そのものをどう展開させるかであり、「アングル」とは試合以外でのストーリーを指します。個人的にスポーツものもバトル漫画も、この「アングル」、どうその対決へ至るかの物語が極めて盛り上がりで重大です。
「潮火ノ丸VS久世草介」の対決には、この「アングル」って観点で見ると素晴らしいの一言でしょう。しかもストレートを投げずにど真ん中の真っ直ぐっていうね(何じゃそりゃ)。キーワードは「ヒーロー」と「神」なり。
「神に愛されなかった」火ノ丸
ワシは相撲の神に愛されなかった…
久世の様な血統も体もねぇ
…でも、それがどうした
『火ノ丸相撲』は、小さな体の火ノ丸が巨体の強敵を真っ向勝負でバッタバタと投げ飛ばす爽快感満点の王道少年漫画といえる。「柔よく剛を制する」でなく「小よく大を制する(物理)」である。サイズ的に「ワシは相撲の神に愛されなかった」です。
一見すれば、ジャンプとして王道少年漫画としても、正しく「主人公」っぽいのでありますが、本当にジャンプ的にヒーロー的に主人公だったのかというと違うんですわ。だって、ジャンプの主人公(ヒーロー)で象徴的なのは「血統」ですからね。
火ノ丸は、一般家庭で生まれ、相撲の神様に愛されなかった男ですから。本来のヒーロー像として見るならば相撲の神に愛された者のほうが主人公ですよ。とはいえアンチヒーローってわけでもないのが面白いところであります。
「神の化身」の久世
相撲の神に選ばれた神の化身だ
久世は父親が大横綱で、血統的にも、父親の意志を継ぐって意味でも、「神」ってワード的にも、むしろ火ノ丸よりもジャンプ的に王道少年漫画的に主人公っぽいんです。なんたって「神に選ばれた神の化身」ですしおすし。
そう、久世こそジャンプ的にヒーローだったのである。
私はインターハイが始まる前、この漫画のラスボスは天王寺さんになると思っていたものです。それまでナンバーワンの最強って描かれ方していたし。火ノ丸がずっと目標にしていたしね。
しかし、インハイ個人戦準決勝で天王寺さんは久世に敗れ去ったのである。
天王寺さんが敗けた!?
いわく、天王寺さんは確かに「神に愛された男」だったけど、久世は「神そのもの」だったと。神の化身として土俵に君臨する者であると。神に愛されようと神そのものには勝てないという熱いナレーションでした。
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当時は、「まじかよ…。これまでラスボスのように描いた最強王者に土付けちゃうのかよ!」「天王寺さん中ボスに降格かよ」ってビックリ仰天しました。しかし、それはあくまで、火ノ丸がジャンプのヒーロー(王道主人公)って視点で見るとです。
これ久世がヒーローって視点で見ると、この結果と過程にシックリきてしまいます。父親の意志を受け継いだ横綱の息子が成長し、最強ライバルの学生王者を倒した物語となる。王道を歩むヒーローじゃん!これが最終決戦だったのです。
実際、久世は正義っぽいオーラ出てて、天王寺さんはドス黒い悪っぽいオーラ出てたしね。ヒーローとその最大の好敵手って位置にいたのは、宿命の2人だったのは、久世と天王寺さんだったのであります。
ここまで来たぞ
ここまで来たぞ久世草介!!!
ヒーローとして真っ直ぐ突き進んだ久世や最強王者の天王寺さんに比べると、火ノ丸は極端にいえば、ただのいちライバルの視点で描かれたものなのです。第三の男というか。ヒーローの王道でも、そのライバルの覇道でもない。
例えるなら、幾たびの激戦をしたマキバオーとカスケードに挑んだアマゴワクチンの視点で描かれた『みどりのマキバオー』みたいな。心臓病を抱えて翼くんや日向くんと名勝負を演じた三杉くんの視点で描かれた『キャプテン翼』みたみたいな。そんなメルヘン!
天王寺さんに勝利し決勝で久世と相対した火ノ丸が発した、「ここまで来たぞ久世草介!」って台詞の重みが半端ない。だって有り得ぬ道筋だったかんね。
ワクチンがカスケードを倒してマキバオーと頂上決戦するようなものですよ。三杉くんが日向くんに勝って翼くんと決勝で巡り合うようなもなんですよ。ニセコイでいえばマリーの九州編がなく小野寺さん差し置いて千棘と最終決戦したようなものです(←この例えはどうだろう)。
そんな普通では有り得ぬ道を超えて来たのが潮火ノ丸なのです。
俯瞰的に見れば、少年漫画のテンプレを超えた奇跡を目の当たりにしている。
相撲の神様
相撲の神様?んなもんワシがぶん投げてやるわ!(3話)
スポーツ漫画の王道って観点で見れば火ノ丸は悲しいが第三の男的なポジションです。とはいえ、主人公として魅力満載だったし、正しくスポーツ少年漫画でした。そのストーリーラインが上手すぎる。
「ヒーローの久世」と「最強の天王寺」って、主役とライバルがいて、火ノ丸は蚊帳の外かといえばそうじゃない。そこに割り込む形でもない。きっちりこの2人と絡んで宿命の対戦としたアングルこそ「神」ってワード。
最近の火ノ丸、「神に愛された男」の天王寺、「神の化身」の久世ときて、今さらながら決勝の久世戦は初期からの「神を投げ飛ばす」が効きまくって、そういうアングルねと燃える pic.twitter.com/zOviV5wL8O
— 山田 (@yamakamu) 2017年6月19日
・「神に愛された」天王寺
・「神の化身」久世
・「神に愛されなかった」火ノ丸
なるほど、逸れているようでいて、宿命とか運命とかを背負ってる。初期から体が小さく、相撲の神様に愛されなかった火ノ丸は「神を投げ飛ばす」って言ってました。
インターハイ団体戦決勝の大将戦、物語的にも結びの一番で「神」そのものの久世と対決するって流れは見事すぎるストーリーの結実ですよ。まさに「世紀の一戦」と呼ぶに相応しい!
神には愛されなかったけど!
神には愛されなかったけど、おかげで
「誰よりも相撲を楽しめたんじゃ」
(´;ω;`)感動した…。
「火ノ丸VS久世」は一進一退の試合展開も熱かったけど、それ以上に私の心の琴線を鷲掴みにしたのは、火ノ丸が試合中に思った自分の体についてでしょう。
神に愛されなかった体だけど、そのおかげで「誰よりも相撲を楽しめたんは」ってよ。すごくあっさりと述べるんですが、鳥肌が立つぐらい感動的です。神に愛されなかったが、愛されなかったこそ楽しかったと。
相撲を楽しみってのは、副将戦(小関VSダニエル)のテーマでしたが、それは大将戦も続いてました。決戦前に部員に「相撲は…楽しかったか?」と問いかけたし。
火ノ丸は、この頂上決戦を楽しむだけでなく、今までの全てが楽しかったって振り返るのでした。1話から描かれた回想の亡き母の大きい体に生んであげられなくて「ごめんね…」からの、おかげで一番楽しめた「ありがとよ、かーちゃん」は胸が熱くなるね。
今までのあれこれが全て「VS草介」戦で収束している。
レイナさんヒロインとして覚醒してませんかね…
レイナさん
今まで積み重ねた物語が収束した「潮火ノ丸VS久世草介」。世紀の一戦を繰り広げる一方で、個人的に括目したいのはマネージャーのレイナでしょう。試合中を見て感動する様子と、いきなり「好き…」とか言い出しちゃって最高でしたね。
まあ、実際には「火ノ丸の相撲」が好きってオチだったけどさ。
とはいえ、もうこれはどー見てもアレですね(ニヤニヤしながら)。
おそらく『火ノ丸相撲』はもうすぐ終わるでしょう。大感動で魂から震え上がった「潮火ノ丸VS久世草介」は文句無しに名勝負「世紀の一戦」でした。同時に、レイナの行く末もどうまとめるか楽しみです。レイナと堀ちゃん…こちらも「世紀の一戦」になって欲しい。まる。
コメント
ヤマカムさん、
以前は「鮫島も読んでるの?現実の大相撲も観戦してるの?」という質門にお答えいただきありがとうございました。
今回は予想をさせていただきます、
高校相撲での、火ノ丸相撲
これが終わったら
プロフェッショナルの相撲
火ノ丸大相撲 編に突入 とかどうでしょう?
てか鮫島と火ノ丸、相撲漫画史に残る2大傑作の片割れが
終わってほしくないです。プロ編も描いてほしいです。
相撲もいいけど勉強とストーンの記事も書いてほしいですー
特にストーンの新しい女キャラは可愛いし、村の住民たちの中でどの娘がヤマカムレーダーに反応したかも気になります!
火ノ丸視点だったから、沙田とか日景はライバルたりえたけど、久世や天王寺視点だと、この2人辛いな…
逆に加納は久世や天王寺から見るとまた別の面が結構浮かび上がるのかもしれませんね。
チヒロも本来主人公サイドにいる人材ではないですね。
あー。三杉視点のキャプ翼とかすげえしっくりくる。そーなのかー。
確かに代表的なジャンプヒーローは血筋なり前世なり、生い立ち重視でしたよね。
「国宝」設定とか、現実の決まり手でいいのに妙な必殺技にしたりとか、余計な仕込みが逆に相撲の魅力を伝え切れていない気がする。あと、毎回ヒキがワンパターンなのはどうにかして。
今週は素晴らしい最終回でした まる
最近の火ノ丸、熱さでもラブコメでもすごない?
やまかむさんまだフォローしてんなら取り上げてほしいな