『不完全で不衛生でふしだら』(すのはら風香)読了。
うむ。そこはかとなく不衛生でふしだらですが、ニヤニヤできるラブコメでした。
人間の感情なんていつだって理不尽だ。だから、距離を見誤ると痛い失敗をする。そう、解ってたはずなのに――。これは、汚くも美しいボーイ・ミーツ・ガール。
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『不完全で不衛生でふしだら』
陰キャの主人公・氷住(ひずみ)がカースト上位の女子・湯上麻衣子に惚れられてしまってラブがコメる作品なり。この惚れられた理由ってのがすごい。歯です。
地下の踊り場で昼食を取っていたら、湯上さんが現れて歯に一目惚れしてしまうっていうね。すごい際どいフェチっぷり。
「歯」に惚れられる
歯見せて
いわく初接触は「親指だけで口内を犯されたようだった」とのこと。最近はフェチを題材にした作品はけっこうあるけど「歯」というのは新しい。そしてはじまるボーイミーツガール。
湯上さんから歯ブラシで歯を磨いてもらう甘酸っぱい青春の日々が…って、ちょっと待て。歯に惚れられて歯磨きされる青春ラブコメってなんだよ!羨ましい!心から思ったものです。
「歯」からはじまるボーイミーツガールって変化球ですが、トキメキイベントはしっかりツボを押さえていますので自然と頬が緩んでニヤニヤできます。最初は変態って印象だった湯上さんもめちゃくちゃ可愛い一面を見せてくれます。胸も大きい。
言葉遊びがすごい
第1話「歪みと歪み」
歯を見てると濡れちゃうとか「顔面男性器」とかドキドキ発言を連発する湯上さん。その語彙力はさすが優等生というべきか舌を巻くぐらい上手いことを言ったりします。個人的に1話のサブタイトルには関心してしまいます。
「歪みと歪み」というちょっと変な歪んでる2人を表したサブタイです。これが主人公とヒロインの名前「湯上と氷住」にも掛かっており、「ゆがみとひずむ」のダブルミーニングとなってます。
あと言い方がいちいちエッチです。歯磨きに関する言葉なのに「血…出ちゃったね…初めてじゃないのに…」「いっぱい溜まったね」とか何なんだよ(笑顔)。セリフだけ聞いてるとイケナイことをしてるみたいです。
結構張り巡らされてる伏線
まあ、若気の至りと言いますか
氷住には中学時代に何かトラウマがあったことが伺えます。1話冒頭では女の子を泣かせて「不潔」「龍ちゃんのこと好きだったのに」と言われる過去があったり。距離を見誤ったそうな。いつもマスクしてる理由を聞かれれば「若気の至り」と言いつつ、冒頭の子を思い出したり。
この辺の描写から察すると、キスしそうになった、もしくは顔を近づけて「歯」がアレだったから泣かせてしまったのかなぁ。この子、1巻ラストに登場したファイレス店員の吉備津(きびつ)さんとイコールなのかな。下の名前で「ちゃん」付けって幼なじみっぽいな…。
湯上で歪(ゆが)み、氷住で歪(ひず)みと比べると、すごくきっちり整っている印象を受ける名前ですね。この子が今後どう関わってくるのかも楽しみです。
妹も可愛い
妹ちゃん
あと、主人公の妹も可愛いです。かなりの逸材で名妹の予感がヒシヒシするぜ。最初はそんな素振りがなかったのですが、どう見てもお兄ちゃん大好きってのがスケスケスルーで素晴らしいって思いました。
兄に女の影が見え隠れして幼き日のメモリーを思い出して「お兄ちゃんのくせに」の破壊力は半端じゃありませんでした。ハートをズッキューンと撃ち抜かれたぞ。オマケの妹ちゃんもファインプレーを連発です。
ラブコメで妹が可愛いのは大宇宙の法則ですし、お兄ちゃん大好きなのも常識。その辺の機微を見事に抑えた妹ちゃんでした。妹の活躍も楽しみです。
なんだかんだで湯上さん乙女
歯に性的興奮をするってヒロインでしたが、一緒に過ごしていると恋する乙女としてのリアクションを随所に見せてくれてとても可愛いって結論なり。
歯を見て濡れるヒロイン。良いと思います!
疲れた心を癒してくれるラブコメであり、ニマニマできるオアシスになりそうです。まる。
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