( ;∀;)感動した
あ~。これはとても意識高いっすね(身内ネタ)。
『ミッドナイトブルー』(須藤佑実)を読了。めちゃくちゃ良かった。女性向け漫画ですが男が読んでも楽しめる。ほぼ全て切ない系の話ですのでハッピーエンド至上主義の方には向いてないかもしれないけど。それでもこのドッカーンと胸を打つ感動は余韻があって素晴らしかった。
『ミッドナイトブルー:色の名称。「真夜中の青」と形容される、ほとんど黒に近い青のこと。濃紺よりも暗い紫みの青。中国明朝の磁器に用いられた釉薬から名前がついた「ミンブルー」に由来するという説もある。』 ―それは高3の夏「卒業しても2年ごとに集まって4人で火星観測をしよう」そう約束した2日後に、彼女は交通事故で死んでしまった。天文部の同級生だった僕たち3人は彼女との約束を守り、2年に1度集まっている。そこには、僕にしか見えていない彼女も来ているけれど―――…。(「ミッドナイトブルー」) 戻れない青春の日々を大事に慈しむ表題作他、ノスタルジー溢れる短編全7編を収録。新世代の叙情派ストーリーテラーが贈る傑作短編集。 ― 人生の宝箱に入れたくなる物語たちをあなたへ―
<試し読みできます>
収録されてるのは「箱の中の思い出」「夢にも見たい」「今夜会う人」「花が咲く日」「白い糸」「ある夫婦の記録」「ミッドナイトブルー」の全6編。どの作品もジンと心に染みる珠玉の短編集となっています。
『ミッドナイトブルー』はいいぞ
ミッドナイトブルー
自分は電子版で購読したのですが、『ミッドナイトブルー』は全ページが濃い青色でした。おそらく表題作に合わせたのではないかと思うんですけど、これが独特の深みを醸し出して作風に絶妙にマッチしてる。
表紙にある色の説明で「ほとんど黒に近い青」にある通り、全体的に黒に近いけど黒じゃない!青に近いけど青じゃない!って読後感になるのです。青でも黒でもないミッドナイトブルーって色が絶妙すぎる。
というのも、『ミッドナイトブルー』の収録作品でハッピーエンドと呼べるのは1つか2つぐらいしかないんですよ。切なくさせる系統の話ばかり。しかし、読了後に鬱々しい気分になるかというとこれがまったくならないのです。「良かったなー」ってカタルシスは無いのに、「悲しかったなー」って絶望的な気分にもならない。心地よさすらある。
青色って空の色だったり明るいイメージあるじゃないですか。で、黒はダークな暗いイメージじゃないですか。『ミッドナイトブルー』の収録作品はまさに黒に近い青って感じです。気持ちの良い切なさ。バランスの良い苦味と甘味のハーモニーである。
どの短編も珠玉の一品
箱の中の思い出
「箱の中の思い出」は、堅物高校教師が朝目覚めると見知らぬ美女がいて…から始まるちょっと物悲しい恋の話。この美女は先日の合コンにいた女性かと思いきや違って元生徒でした。学生時代に教師に好意を持っており、さらに秘密が…というもの。
正体が分かって「めでたしめでたし」ではなくラストがなんとも寂しさを感じるものでした。「箱の中の思い出」というタイトルがピッタリ。あー、この「胸キュン」と「胸イタ」の絶妙なブレンドが何とも言えないコクを出している。味に深みがあります。
どの話も完璧なハッピーエンドってわけじゃないけど、どこかに救いがあり満足度高し。基本的に男女が出会って恋するって話を色んな手法で楽しませてくれます。唯一の「良かったなー」って感じるハッピーENDは「白い糸」かな。私は一番のお気に入りかな。ま、「ある夫婦の記録」もハッピーエンドではあるけど。
白い糸
大学の先輩に5年振りに再会した男の話。これがとにかく素晴らしかった。不器用で未熟な恋ってのはこのことかと。大学時代から片想いしてた先輩は好意をぶつけても飄々とした性格で躱され続け、久々に再会してもやっぱり躱されてしまいます。しかし先輩の本心は…っていうと。
この先輩の「女心が分からない」ところがミソやね。『ミッドナイトブルー』収録作品は男視点のエピソードのが個人的に面白いと思う。「白い糸」もそうだけど「箱の中の思い出」「今夜会う人」「花が咲く日」「ミッドナイトブルー」は男視点で話を転がしており、ヒロインの心情をあえて見せていない。だから想像するしかない。
一番知りたいところを隠すから歯がゆい面もあるけど、見えるところと台詞でしか判断できないから「こそ」の破壊力をうまーく倍増させてる。
また飲み行こう
過去回想で大学の卒業式で、先輩に勇気を出し電話番号を聞くもデタラメな番号を教えられてしまいます。でも先輩は別れ際に頬を赤らめ「また飲み行こう」と述べるのであった。一体先輩は何を考えてんだ!
後に「ちょっと期待してたのかもね」「私のこと見つけてくれるって」とか言い出すから小悪魔すぎる。でも台詞は本心だったとも分かる(ような気がする)。
だからこそ「俺、先輩のこと見つけるの得意です」の反応が最高に輝くね。最初はまじでドン引きしてたけど、パチンコ屋で見つけた時に同じこと言われた反応よ。表情を絶妙に隠し「…もうそういうのやめなよ」と言いつつどんな顔して何を思ってたのか。嬉しく笑ってるようにも微妙な顔だったようにも読める。
秘すれば花なりとはよく言ったもので、先輩の気持ちを描かないからこその良さよ。シーンによっての解釈は多様なり。ラストの受け取り方も様々です。
表題作「ミッドナイトブルー」
表題作「ミッドナイトブルー」は切ないながらもカタルシスもある凄い作品だった。これぞミッドナイトブルーですよ。黒に近い青色です。暗いけど明るい。甘味と苦味の味わい。遠回りで王道な青春ラブストーリーでした。確かにどっかで見た設定ではあるが。
「火星観測の会」の仲良し4人組。交通事故で1人の少女・みのるが亡くなってしまいました。亡くなる前に火星が接近する2年に1回は卒業後も集まろうと約束しており、みのり没後も同窓会のように集まる主人公たち。好きだったのに亡くなったはずのみのるは成仏しておらず幽霊としてその集まりに来ており、主人公だけが見える…というもの。ま、誰もが思うのはそれなんてあの花でしょう。
ストーリーや設定がほとんど『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のオマージュである。あの花をさらに大人っぽく詩的に簡略し短くまとめた感じです。この作者、絶対に確信犯で『あの花』をやってると思うんだけど、ラストがとても余韻が残り鳥肌が立ったのである。
「まーだだよ」「もういいかい」「めんま見ーつけた!」…あの日消えためんまの行方を僕たちはまだ知らない。あれから生まれ変わったのだろうか。まだ彷徨ってるのだろうか。成仏したのだろうか。そこに答えのようなものを得たような感じかな。ま、細かいところは違うんだけど、まだ彼女はどこかに居るという解釈のようなものを見れた(と思う)。見ーつけた!
めんま…じゃなく、みのり見ーつけた!
「ミッドナイトブルー」は、失った者の悲しみから脱却して前に進むというよりも、恋愛話に焦点が当たっていたのがポイントかなぁっと。「お嫁さんになりたの好きだよ」も相当の威力だったけど、「もし蓮見と付き合ってたらどうなったんだろって」もなかなかの破壊力だった。
ヒロインの気持ちが見えないからこその山場でグッときましたね。青春時代の秘めた想い。これ至高なり。感無量っていえるハッピーエンドでは無いけど、それでも余韻が気持ち良い読後感がある。その手腕がグッド。
思い出
全体的に「思い出」をテーマにした作品集でした。ハッピーエンドでも切ない者悲しいエンドであろうとかけがいのないものになっています。
この短編集を総括すれば「好き」って言葉にできなかった者たちの鎮魂歌でしょう!あの日過ごした「思い出」は苦かろうが甘かろうが薫製されて味わいがあるんですよ。大切な何かを思い出す…そんな極上の短編集でした。お勧めです。まる。
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コメント
紹介ありがとうございます。試し読みしました。寒い季節に心細くなりました(´;ω;`)ウッ…