『お姉さまと巨人 お嬢さまが異世界転生』(Be-con)読了。
決して万人受けでなく人を選ぶけど傑作(になる気がする)。
めちゃくちゃおもしれぇぇぇ!!!
お嬢さまと巨人、種族も生まれも違う2人は『大切な人』を捜す――絆を結ぶ異世界転生ファンタジー、開幕。
近年はいわゆる「なろう系」ブームで異世界転生ものが流行っておりオリジナル漫画も多く面白い作品が多い。
今作『お姉さまと巨人 』もオリジナル異世界転生漫画で骨太ダークファンタジーである。1話の完成度が高いしどういう作品が分かるのでまずは1話を読んで欲しい。
姉妹制度がある学園のお嬢様が異世界で巨人を妹にする話。(1/13) pic.twitter.com/DAr9EeVhKv
— Be-con (@Sisususetiso) April 20, 2022
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ヤバイね(闇が)…。
『お姉さまと巨人 お嬢さまが異世界転生』レビュー
異世界転生者と巨人のスール
1話
異世界転生したキョウゴクヒナコは巨人族の娘エイリスの「お姉さま」になる。ヒナコ自身は転生前に『マリみて』のスール制度のように先輩と「姉妹の契り」をしていました。
そんな経緯があるからこそ姉妹となり、ヒナコは転生前の「お姉さま(ヒダカジュンコ)」を、エイリスは兄弟を探すために冒険者となるのです。ヒナコは自身を巨人族として振る舞い「最も小さな巨人」と呼ばれています。
『マリみて』のような百合成分と「なろう系」の異世界転生ファンタジーが合わさったような作品です。
これだけでも面白そうだけど、今作の魅力は「どんでん返し」「闇が詰まってる」「アンチ人間賛歌」「骨太の設定」「ふつくしい…」である。
ストーリーのどんでん返し
『お姉さまと巨人 』はどんでん返しがすごい。これはそのままストーリーの魅力になっており、「なんだってー!」「まさか?」「そうなるのか」といった驚きがある。
1巻収録の3話すべてで物事をひっくり返す仕掛けがあって驚きとスリリングで楽しめる。
1話
1話なら、転生前の「お姉さま」を異世界で探すってんだから大切な人なんだなぁって漠然と思うじゃん?しかし、亡くなった原因は「マジかよ!?」って仰天でした。
ヒナコの死因は「お姉さま」を突き飛ばして一緒に電車に轢かれたことだったのです。お姉さまに裏切られちゃったので心中してやったである。ビックリしすぎて声出ちゃいましたね。
このような「どんでん返し」が毎話あり単純にシナリオを面白くさせてる。そのほぼ全てが胸クソである(褒め言葉)。
「○○だと思った?残念△△でした!」という仕掛けがそこかしこにある。「そうだったのか…」って驚きで物語をグイグイ引っ張り読ませてくれる。単純にシナリオ展開が素晴らしい。
わいは連載血呼んでるので2巻収録のエピソードも「どっひゃー!」「そうくるの?」がありますのでずっとこの味は続くと思われ。
闇が半端ない
スカッとする王道ファンタジーでは決してない。人を選ぶ「闇の深さ」がパンパンに詰まってる。それが『お姉さまと巨人』のストーリーとキャラクターの魅力になってる。
ヒナコの転生前のお姉さまとのアレコレだけでなく、妹である巨人族のエイリスも界王様が「見ちゃおれん…」と顔を背けたくなるバックボーンがあります。
メインの2人だけでなく、状況・境遇・環境もあって闇を持った人ばかりなのです。そこがいい。もうひとつのポイント「アンチ人間賛歌」にも通じてるけど、闇が深いほどキャラの魅力になって面白さに直結してる。
アンチ人間賛歌
この漫画の登場人物はクズばっかりです(褒めてます)。
一種の清涼剤のように登場する純粋無垢な子供以外は「クズ!カス!最低!と断じるに些かの躊躇もないわ!」ですよ。
突き詰めれば「人間って本当にどうしようもない」ってアンチ人間賛歌ですよ。現実の世界も転生した世界でも無常なんですよ。
この手の「異世界転生」が受けるのって、現実世界が大変でクソみたいなのでハーレムラブコメのように逃避行のような側面がある。生まれ変わったり、全然別の世界で気持ちよく生きられるエンタメですよ。
いわゆる「なろう系」にも闇が詰まったダークファンタジー作品は数多くある。でもそれは「ざまあみろ!」「復讐」に収束してて、スカッとするじゃん。この漫画は小骨のように「胸クソ」は残り続ける。
2話なんかやばいシステムがある村で、村長はちょっとDISられるぐらい。システムそのままで村長も健在で終わる。現実でも転生しても「世界はひどい」「人間はひどい」なんですよ!
世界は美しくないし、人間はクズ。綺麗ごとで「めでたしめでたし」なご都合主義はない。そこが人を選ぶし面白いキモでもある。
骨太の設定
1話
骨太の設定や世界観もツボです。
例えばヒナコは左腕が無い隻腕となってる。でも転生前のお姉さまを突き落として一緒に電車で轢かれた時も巨人エイリスの姉になってあげると述べてるところでも左腕は健在である。でも2話で契った時は…。
ヒナコの左腕の経緯は絶対なにかある!と読者が想像・妄想できる。
ほかにも気になる描写はわんさかである。特に1話ラストに描かれた勇者はヒナコのお姉さま・ジュンコだし。どういう邂逅になるんだってドキドキワクワクが半端ない。
まだまだ明かされて無い骨太の設定が隠されており伏線となってる。だから真相は「どうなんだー?」って吸引力があり続きが気になる。
ふつくしい…
胸クソ悪くなることばかりだし、途上人物はほとんどクズだし、みんな闇が深いし…って作品ですけど救いはある。美しいのです。それがヒナタとエイリスの姉妹の絆です。
物語冒頭で語られた「姉妹の契りは家族や兄弟とは違う。血よりも濃い絆の証」を具現化してる。メイン2人の姉妹っぷりだけは素直に感動できる裏表ない。純粋にグッとくるもの。爽やかだもの。
- 世界は酷い
- 人間は酷い
- でも姉妹は美しい
そんな唯一無二な「綺麗なもの」だけはズラしてこない。
尊い!そう叫びたくなる姉妹なのです。
『お姉さまと巨人』まとめ
そんなこんなで『お姉さまと巨人』レビューでした。
人間や世界の酷さをこれでもかと描き最低(最高)な胸クソがある(褒めてる)。どんでん返し満載なシナリオ。闇の深さと骨太な設定で深みを出してる。姉妹の尊さは綺麗。色んな要素を詰め込んでしっかりエンタメとして楽しませる傑作(になるかもしれない)。おすすめです。
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