その男が初登場したのは192話「覚醒の証」で闘病生活を送っているシーンでした。
真田に「苦労かける」と声をかけた男の名前は幸村精市。
常勝立海の部長です。真田も幸村に対して「全国大会3連覇…お前抜きでも行ける」と宣言したものの、蓋を開けてみたら関東大会敗退と情けない結果でした。
真面目に語ると、幸村のソング「真実(AA)」を聞くと、幸村が実力はあるのに病気でテニスが出来ない事への葛藤のような歌詞だったわけで、これは心にジーンときますよ。嘘です。
その後、立海の柳生によって幸村の状況が説明されました。
「ウチの部長の幸村…手術成功しました。今は必死にリハビリしています」とのこと。
皇帝・真田を押しのけて立海の部長に抜擢された男が復活。無事に手術に成功して、必死にリハビリに励んでいるようです。ちなみに全国大会まで残り9日…。かってんぐぁー!!
全国大会開会式にも幸村の姿は見えません。
去年の優勝旗の返還も副部長である皇帝・真田が行っていました。
テニプリ完結
優勝旗返還
やはり、あと9日しかない状況で必死にリハビリしても間に合わなかったようです。
まあ当たり前ですが。六角中と比嘉中が戦っている最中、立海メンバーは沖縄武術の話題で盛り上がっていました。その中にも幸村の姿を発見する事は出来ません。
青学中と比嘉中の試合で、青学勝利が決まり大将戦の時、立海は六里ヶ丘(愛知)にストレートで勝利し、相手などアウトオブ眼中。
話題はまたまた比嘉中。大将の殺し屋の話をしていました。
組み合わせ的に、立海が比嘉中と戦うのは決勝まで進まないと有りえないのに、お前らどれだけ比嘉中が好きなんだよ、と。そこへ声をかける男が。
幸村
立海部長の幸村です。手術に成功しリハビリを必死で行っているとのことでしたが、10日足らずで間に合ったのでしょうか。ベンチで立海メンバーの支持をしています。
そういえば、越前が始めて無我の極地に達した試合を覚えていますか。赤也との草試合対決だったのですが、以下のような会話がありました。
赤也「おい、越前リョーマ。そろそろパワーアングル外したらどーだ?」
越前「アンタも両腕のパワーリスト取ったら?」
赤也
「え、いいの(はぁと)取ると監督がウルさいからなぁ」
立海の監督って何処へ行ってしまったのでしょうか。
大阪の副部長みたいなヤツも忽然と消えてしまいましたが、立海の監督など登場もせずに消えてしまいました。立海の監督、そんなの関係ねぇー。
青学中VS四天宝寺中の試合が繰り広げられている一方で、立海は名古屋星徳と準決勝。相手は全員外人部隊です。この試合を勝利して、決勝の青学戦を向かえることになりました。作者・許斐剛先生は決勝戦までの流れを聞かれ以下のように語っていました。
Q「決勝までの流れは、最初から考えてあったのですか?」
許斐「ある程度は考えていました。全国の学校をトーナメント表に配置して。で、最後が名古屋星徳か立海かっていうところは、その時の雰囲気とかでどっちが勝つかを決めようとね。」
その時の雰囲気次第では、幸村は試合をする事なく消えてしまうところでした。許斐先生…恐ろしい人です。
そして迎えた決勝戦。2-2で大将戦まで回りました。越前は今まで戦った相手をサックリと瞬殺して記憶を取り戻したようです。その面子に真田と跡部までいるから驚きです。越前リョーマ強すぎます。
一方の幸村は、越前と互角に1球勝負した遠山金太郎を相手に、ジャージを羽織ったまま勝っていました。汗一つかいていません。
幸村精市強ぇぇぇぇぇぇぇ!!
金太郎が幸村に惨敗し、放心状態になってしまいました。そこへ四天宝寺の面子が駆け寄り、白石は言い出します。
「…聞いた事あるぞ。アイツと試合した相手は全て、五感を奪われた様に、イップスに陥ってしまう。付いた、あだ名が―『神の子』幸村精市」
さて、どこから突っ込んだらいいものか。
まず相手の五感を奪ってイップスにさせる事と、神の子という仇名が付くことがまったく繋がりません。幸村のほうが木手なんかよりもよっぽど殺し屋という表記がピッタリだと思うのですが。自分なら魔王の子とでも付けます。
そして白石の発言も謎です。幸村と試合した相手が全てイップスになるというのに、「…聞いた事あるぞ」とか言ってます。始めて全国大会で幸村が現れた時、野次馬ですら「昨年の試合見たけど強いなんてモンじゃないぜ…」とコメントしてたのに。
昨年ベスト4に残ったくせに、白石は噂話程度でしか幸村の実力を知らなかったんでしょうか。
…しまった。これは「テニスの王子様(AA)」でした。
何を真面目に読み直しているのでしょうか。
ついに、越前リョーマと幸村精市の決戦。主人公らしく桁違いの実力の越前と、ラスボスらしく桁違いの実力の幸村。頂上決戦開幕!
この決戦を許斐先生も以下のようにコメント。
今後の展開ですけど、リョーマ対幸村の試合は、テニプリ史上最大の闘いになります。
最終決戦!王子様VS魔王の子がいよいよスタート。足を負傷していた真田を立たせたままにして決して座らせなかった幸村と、記憶を失くして復活した越前。
序盤から熱い闘いの開幕ですが、越前のCOOLドライブをいとも簡単に返した幸村。ポイントを取られても、越前は笑っています。ひょっとして短い打ち合いで幸村の弱点でも発見したのかも。不適に言い出します。
「上着(ジャージ)肩から落ちてるよ」
…え。
この男は一体全体、何を言い出すのでしょうか。幸村も即効で「ボウヤ、これは上着を落とすゲームじゃないよ」と優しく突っ込み。越前は「あっそ。じゃあ、そのゲームは俺の勝ち!」。会話が成立していません…
試合は越前が無我の境地を使い、ビッグバンを繰り出せば「力はあるけど打球が単純すぎる…」、円卓ショットを繰り出せば「ボールは分身などしない…常に1つだよ」、神隠しを繰り出せば「ボールは決して消えたりなどしない」と冷静に対処。
先生…この台詞凄く菊丸に言ってあげて欲しいです。
出す技が全て冷静な突っ込みと一緒に返ってきました。越前は皇帝真田の必殺技・風林火山の「雷」を繰り出しました。幸村は冷静に真田の方を見る余裕っぷり。
風林火山の雷まで…見せたんだ
風林火山を見せた事よりも、真田が座っている事のほうが驚きです。
1試合目で足を負傷して直君臨し、試合後も幸村が1人でベンチを独占しており座らせて貰えませんでした。ようやく座れた真田を尻目に、越前は超必殺を繰り出しました。
「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐!!」
ハゲの百八式よりも危険な技が飛び出しました。
みんな伏せやーっ!!
ドォォン
なんぞこれ。
会場から衝撃波が出ています。
ついにテニプリで死人が出てしまったかも。
これが許斐先生のおっしゃっていた「テニプリ史上最大の闘い」の正体でしょうか。
話がそれて恐縮なのですが、テニプリ史上最大の闘いだったのは、タカさんVS石田銀です。この闘いについて、許斐先生は次のように振り返っていました。
最初は1球で勝負を付けて1週で終わる予定でした。タカさんが最初の1球に全てを賭けて、うおーっ!ドカーンバギーン!で終わり。タカさんが劣勢と言われているところを、敵の体が温まってないうちに1球でへし折り勝ち。(中略)
で、描いていったら観客席まで吹っ飛んで…(笑)
さすが許斐先生。
我々凡人の考え付かない素晴らしい予定だったようです。
しかし、実際にはタカさんと銀の試合は想像を絶するものとなりました。
人間がテニスの試合で宙を舞う姿は、ただただ圧巻でした。予定通りにいかず、その場のノリで描いてしまういきあたりばったり感が許斐先生の最大の魅力です。
話が剃れましたが、百八式より危険な超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐を放った越前。会場から「ドォォン」と衝撃波が出てきて魔王の子・幸村もただごとでは無いはず。
準決勝の赤也みたいに金網に埋め込まれる以上のインパクトがありそうです。
ワクワクしてページを捲ると…。
これで、もう終わりかい?
…ん。
幸村が「これで、もう終わりかい?」と平然と見下し、越前は放心状態。あれ、1ページ前に超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐を放って、会場から「ドォォン」と衝撃波が出ていましたが、次のページでは越前が放心状態。
この1ページの間に一体何があったんでしょうか。
これが「さよなら絶望先生(AA)」であったオンエアされないバトルですね。
わかります。
このまま敗北かと思われた越前ですが、「やっぱ楽しいなぁ…テニスは」と言い出し、左腕にオーラが集中。百錬自得の極みを出して立ち上がりました。
しかし幸村は余裕で百錬自得の極みの説明をして、「他が疎かになる為、手塚の様にゾーンを完璧に出来てこその技。倍返しさせなければ…、さして脅威ではない」と平然と返してしまいました。
ようやく座れた真田いわく10年に1度の逸材集いし群雄割拠の世代と闘って、一気にパワーアップした越前は、この世代が作り出した悲しき産物なのだとか。真田…本当に中3か。そこへ、「羨ましいでヤンス…」と呟く新キャラが登場。
裏山しい太
新キャラの名前は裏山しい太(うらやましいた)。物語りも終盤で最終決戦を迎えたところで、適当な名前の新キャラの登場。許斐先生…何がしたいのですか。
試合の方は越前がオーラを両足に移動させ、今度は右手…とオーラを移動させる展開。「ハンター×ハンター」でもあったような気がしますが、これで形成逆転。さらに才気煥発の極みを出して絶対予告。
しかし、越前は5球で決めると意気込んでみたものの、結果は大ホームラン。さらに鼻血出ている事に気付いていません。金太郎も「き…来たでぇアレや…アイツのテニス怖いわぁ…」と恐怖に陥っています。
幸村のテニス
「いよいよ…幸村のテニスが始まった」と真田が言い出しました。
今まで幸村は自分のテニスをしていなかったのか。
佇まいはまさに魔王の子ともいうべきです。これは固有結界ですか。この世界ではお前が相手でも容赦せんと。
やっぱ楽しいなぁ…テニプリは。
幸村のテニスが始まりました。
ここまででも、あまりに強さ過ぎた感がありましたが、今までのテニスなんて遊びのようなものです。まさにラスボスと言うに相応しい強さ。許斐先生の気分次第では、永遠の闇になっていたかもしれなかったのですが。
Q「決勝までの流れは、最初から考えてあったのですか?」
許斐「ある程度は考えていました。全国の学校をトーナメント表に配置して。で、最後が名古屋星徳か立海かっていうところは、その時の雰囲気とかでどっちが勝つかを決めようとね。」
本当に許斐先生が、気分的に立海を決勝に残して嬉しいです。テニプリの世界では、マジで試合しないで消えるキャラがいますので。
四天宝寺中の副キャプテンみたいなやつなど7コマ程度しか出ませんでしたが、見事に消えてしまいました。挙句の果てにはなかったことにされてしまいました。
なかった事にされた副部長ですが、許斐先生は氷帝が全国に出場し復活した事について語った時に、気になる事を言っておられました。
(氷帝復活について)それなりにキタキターッ!ていう感じが欲しかったんです。で、そうなると、せっかく全国に来たんだから、やっぱり青学と闘って欲しい。あっさりと九州の獅子学中とかに負けちゃったら、なんだったのって事になっちゃう(笑)。で、獅子学中が負けることになって、実はそこにいるはずだった千歳を四天宝寺に移したんです、そしたら四天宝寺が1人多くなっちゃった(笑)。
四天宝寺中の副部長が消えてしまった事は、跡部様の復活が原因だったようです。まさか、跡部様の影響力は人一人をなかった事にしてしまうほどとは。やっぱり…テニプリって楽しいなぁ。
さて、貴方は何座ですか?自分は8月23日生まれなので乙女座でした。聖闘士星矢とその身分制度というものがありました。「聖闘士星矢(AA)」最強の黄金聖闘士は誰なのかという議論は今もあります。個人的に推したいのは乙女座のシャカです。
神に最も近い男で青銅聖闘士の4人をまるで寄せ付けない強さ、そしてハーデス編での活躍はご存知の通り。
「ω(オーム)」と手をついて手の中に小宇宙が燃焼して放たれる天魔降伏、この技でメイン4人の青銅聖闘士を葬りました。また6つの世界に飛ばす六道輪廻も凄い技です。そして最も恐ろしい技は、シャカ最大の奥義という天舞宝輪。
天舞宝輪とは、宇宙の真理で完璧に定められた調和の世界で、攻防一体の戦陣。シャカがこの技を繰り出す時、目を開けるのです。まず触覚を失い、嗅覚、味覚、視覚、聴覚と五感を次々と破壊する技です。
天舞宝輪
…幸村のテニスの正体は天舞宝輪だったのです。
なるほど、神の子という通り名のくせに、魔王の子のほうがシックリ来て、どこが神なのかまったく不明でしたが。固有結界を出して五感を奪っていくテニス…神に最も近い男からきて神の子というわけだったんですね。
こうして神に最も近い男と闘う越前ですが、案の定手も足も出ません。触覚、嗅覚、味覚、視覚、聴覚を失ってはテニスなんて出来るはずありません。
普通なら視覚が失われたら終わりですが、テニプリの世界では見えなかったから勝てたと言い出す不二先輩までいますので、五感を全てを奪った幸村は間違ってはいません。
しかしヌルイ…。
シャカは一輝に対して第六感まで奪いながら、第七感セブンセンシズに目覚め究極の小宇宙を爆発させて不覚を取っています。つまりやるからには、五感を奪う程度ではなく、肉体を消滅させせるぐらいやらないと何が起こるか分りません。
案の定、越前に変化が起こってしまいました。
天衣無縫の極み
天衣無縫の極みが出てきてしまいました。
スーパーサイヤ人…と突っ込んだ読者が全国にどれほどいるかは分りませんが、実力は圧倒的。幸村は「天衣無縫の極みか、見極めてやろう」と息巻きますがボールは何時の間にか後ろに…。
越前「ねぇ…審判の人、コールまだ?」
審判「えっ?あ…いや見えなかったもので…」
なんぞこれ。
ボールも見えないし、越前のスイングすら見えない。気付いたら点が取られている…。読者も審判も幸村も確認できるのは、越前がトスを上げるところのみ。
幸村が身構えたと思ったら、ボールは幸村の後ろに…。
時間が飛んでいます。
これをどうしろと…?
どう突っ込めと…?
どうコールしろと…?
もう誰もどうも出来ません。
無敵すぎる越前。幸村も「―いったい何が…起こってるんだ!!」と困惑。「集中力を高めろ、冷静になれ精市。絶対に返せないボールなんて無いんだ!!」と集中力を高めます。今まで冷静にボールは消えないとか分身しないと言っていたものの…。
幸村「ボ、ボールは…どこだ?」
天衣無縫の極みは時間を飛ばすことだったのか。
包帯グルグルの乾先輩は取りあえず説明を開始。
「五感を奪われる前に越前がみせた百錬のパワーを適材適所に移動させたアレの進化版みたいなものなのかもしれない」と無理矢理説明。
無我のパワーを体の必要な所に放出して増幅爆発させると、何の解説にもなっていません。というか、昔は無我ったらオーラが出て観客が度肝を抜かせれていたのに、今では無我のパワーとか普通に言ってしまっているところがツボです。そこへ南次郎が到着し説明をしてくれました。
「『天衣無縫の極み』なんてもんは最初っから無ーよ」
続けて、「天衣無縫なんてもんは誰もが持ってるもんだぜ」と意味不明な言葉。
何が何やら…幸村も困惑ですが、読者も困惑です。
南次郎の説明は続きます。
天衣無縫の極みの正体は、誰もが最初にテニスに出会った時の気持ち…、テニスを楽しむテニスだったのです。
なるほど、サッカーを楽しむ翼くんが変態サッカーの使い手になったように、テニスを楽しんだ越前も変態テニスの使い手になったんですね。わかりません。
最後に越前が出した新必殺技はサムライドライブ。
ボールが2つに割れて相手に襲い掛かります。
ボールが2つ
「ボールは分身などしない…常に1つだよ」とか「ボールは決して消えたりなどしない」と冷静に突っ込みを入れていた幸村ですが、サムライドライブには突っ込みを入れられません。現実にボールが2つに割れて襲い掛かってきているのです。
幸村は、割れたボールを2つとも打ち返しました。
しかし越前の前では無意味。サックリと割れたボールを同時に「この一点を見極めろ!!」と言いながら打ち返して決められてしまいました。
2つのボールが
2つに割れたボールが襲い掛かってくる、これノーカウントだろと突っ込んだ読者がどれほどいるか分りません。
そして審判は…。
「ゲームセット。ウォンパイ…越前リョーマ6-4!!」
越前の勝利を告げるのでした。
もう何でもありですね。
こうして全国制覇を成し遂げた青学。
これからが本当の地獄だぜ。
歌いだした
いきなり歌が始まってしまいました。
タイトルは「Dear Prince」。なんか感動的のように見える歌をバックに優勝を喜ぶ青学メンバー。もはやギャグです。って、ギャグ漫画でしたね。失礼しました。
歌詞がコマに流れるインパクトが強すぎて見落としがちですが、皇帝・真田が全国大会準優勝の盾を受け取っているところがポイントです。
関東大会では、準優勝のカップを「結構!我々が求めるのは優勝のみ。それ以外に価値はない!」と受け取る事を拒否していました。この闘いで、皇帝が敗北を受け入れた事がポイントかと。
単行本ではおまけで、手塚たちの卒業式に越前が乗り込んでテニス勝負を持ちかける小説が収録されています。いや、本当にテニプリは最高に面白かったです。
「ワンピ」や「ハンタ」ではなく、「テニプリ」がジャンプで一番最初に読む漫画だったんです。許斐先生、9年間、本当にお疲れ様でした。ちなみに42巻のコメントでは以下のようにおっしゃっていました。
皆さん!最終巻です!!本当に長い間応援して下さってありがとうございました!!皆様と共に駆け抜けた熱く、そして夢のような9年間絶対忘れません!!さて次は何をしようかな(ニヤリ)
オッケーイ!!
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