今週号の週刊少年サンデー(9号)に久米田康治先生の読み切り『クメショート』が掲載されていました。
久米田康治読み切り『クメショート』
久米田先生仕事しすぎぃ!
楽園で『スタジオパルプ』、月刊少年マガジンで『かくしごと』と2本の連載をしているのに加えて、来月からマガジンサードでヤス先生作画『なんくる姉さん』の原作ですからね。3本連載で、サンデーに読み切りまで掲載とか仕事しすぎじゃないでしょうか。もう50歳近いのに。
煽りに「シリーズ連載熱望」とか書いてあるんですけど、これは週刊少年サンデーから久米田先生へのメッセージなのですか。直接言えよ!サンデーといえば久米田先生の出身地ですからね。まあ、サンデーを出奔してからのほうが活躍している気もしますけど、きっと気のせいですね。
『かってに改蔵』『さよなら絶望先生』『かくしごと』の久米田康治って。
『かくしごと』新連載の時も一番新しい連載なのに無かった事にされてましたが、まーた『せっかち伯爵と時間どろぼう』が無かった事になっていますね。『せかどろ』は久米田作品の中でもキングクリムゾンでも発動したかのように時間が消し去られています。まさか作品自体が時間泥棒に合ってしまうなんて(←上手いこと言ったつもり)。
良い読み切りでした
それでは早速見ていきましょう。
古巣サンデー復帰ということで、原点回帰のように一見さんにも分かりやすく解説しよう。
タワマンとも子
タイトルが「タワマンとも子」である。
柱の煽りには「お察しの方も多いと思いますが、タイトルは『団地と●お』へのオマージュです。」だとか。驚いたのは事前の予告通りの内容だった事でしょうか。予告では以下のように書かれていました。
ギャグの鬼才が描く最新読切!!
タワマンともこ 久米田康冶
タワーマンションの2階に住むともこ。下層の意地を見せてやる!団地の次はタワマンよ!!
※作者の都合により、内容は確実に変わります
前もって注意書きとして「内容は確実に変わる」と宣言しておいて、そのまんまの内容ですからね。予告通りでした。ただ、描かれてた主人公(とも子)がまるっと変わってるんだけどな!
予告の主人公
内容変えずに主人公変わってるってんだからね。
それにしても、タワマンの2階に住むとも子というネタだけで、14ページもドタバタコメディを描いてしまうのは流石ですね。タワマンの2階に住む事に恥ずかしさを覚えるとも子が、見栄を張ることから始まり、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしつつ、きちんとオチまで作るのはギャグ漫画の真髄を見ましたね。
タワマンの2階に絶望するとも子
まるで、全国のタワーマンション2階に住んでいる人にケンカを売っているかのようです。タワマンの2階に住む・とも子を「下層民」と言い放ったのに始まりディスるディスる。このようにシニカルな笑いを提供するのが久米田作品です。ブラックジョークに近いですが、ただちに健康に影響を及ぼす程の笑いではないので安心して下さい。
まあ、確かにタワーマンションは下層と最上層では倍ぐらい価格差があることもありますからね。2層階に住むメリットは1にも2にも安いことですし。ある意味では格差社会なタワーマンションの下層と上層。その辺りの日常に転がってるあるあるネタを膨らませて話しを作るのが久米田作品を楽しむポイントです。
格差社会である
「ふっ」と凹む独特の擬音も久米田作品ならだわといえます。久米田擬音とも擬音祭りとも呼ばれています。「ふっ」は基本中の基本であります。アニメ・絶望先生では、擬音を声優さんが読むことで久米田擬音の映像化に成功しました。
この影響があったかどうかは分かりませんがアニメ・カイジでも擬音「ざわ…ざわ…」は声優さんが読むことで擬音の映像化に成功したといえるので、久米田擬音がなければアニメカイジの「ざわ…ざわ…」は無かったと言っても過言ではありません(本当かよ)。
「タワマンとも子」なかなかどうしてよ。
さらに、今回は読み切りなのにもう1本ありました。さすが『クメショート』と名乗るだけあるぜ。2本立てで久米田先生の読み切りが読めるなんてね。2本目のタイトルは…。
リゾマンとも子
「リゾマンとも子」である…って、おい!
まさか、これ「◯◯マンとも子」でシリーズ化させるんじゃないだろうな。ならばライバルはジャンプ+でやってる槍マンだな。
今時のリゾマンなんて資産価値などほぼゼロな物件ばかりですけど、リゾート地の宿泊施設で景色の格差ってありますからね。それを膨らませてギャグ漫画にしたのが「リゾマンとも子」です。途中で脇道に逸れまくるのですけど、その脇道こそキモですよ。
脇道
羅列ネタです。
あえて言おう!久米田作品のキモは羅列ネタである、と。
それくらい秀逸な羅列をするんだからたまりません。
「北の家族」はちげーだろってツッコミを入れるのも様式美よ。
そんな横道にそれつつ、リゾートマンションネタをミステリー風味のギャグ漫画にしてダジャレで落とす流れは芸術的ですらあります。滞在してるリゾートマンションの秘密を解くのであった。決めポーズはコナンを意識しているのか、それとも何度もサンデーが何度も使い回す「指差してビシ」を皮肉ってるのか。
完全に一致
もうサンデーはこの指差し使い回すのいい加減にやめろっていう久米田先生からの熱いメッセージなのかもしれません。このように、久米田作品は何かする度に、これは何かを皮肉ってるんじゃないかと深読みできます。
読み切り「タワマンとも子」「リゾマンとも子」2本とも面白かったです。
うむ、いい感じで久米田節が効いており、百間さんが求める「久米田漫画」として満足できる内容でした。それでいてドタバタコメディを中心にして一見さんでもすんなり入れる内容ですね。
楽園で『スタジオパルプ』だろが月刊少年マガジンで『かくしごと』だろうがね、週刊少年サンデーで読み切り掲載させても変わらず久米田テイスト満載です。ぶっちゃけ、久米田作品の感想は一言で済むんですよ。その感想とはズバリ!
ん。通常通り。(褒めてます)
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