『ひまわりさん』で知られる菅野マナミ先生の初短編集『菅野マナミ短編集 良い子さんと不良先生』を読了。
コミケで友達のサークルの店番してて、その時に暇つぶしとして読ませて頂いたんですけどすっかり読みふけってしまいました。その足で買いに走りましたね。まさに珠玉の短編集と呼ぶに相応しい一品です。
収録されているのは「良い子さんと不良先生」「彼女のひみつ」「きつねとゆりこ」「ひなたと黒猫」「まぼろし」「夏」「狐の電車」「魔法使いのカノジョ」「視線」「なのは荘」の10本。
2ページから18ページの短編。出版社をまたいでまとめられています。どの短編も惚れ惚れするほうな素敵なお話でございました。
珠玉の短編集!
表題作の「良い子さんと不良先生」は、良い子さんと呼ばれる真面目な女子生徒と普段は目立たないけど素はちょいワルで美人教師のお話。
悪い事をしようと夜、学校のプールに忍び込む良い子さんが美人と出会い、翌日、美術の先生だったと分かり仲良くなる(?)話。ほのかに漂う百合臭が最高なのです。
良い子さんと不良先生
『ひまわりさん』もそうなんですけど百合漫画という程百合百合しいわけでなく、とはいえ男は邪魔だと断言できるぐらいには女の子同士が至高だと思える。男女の恋愛要素が完全排除された中でもそこまで百合百合しくないけど「憧れ以上恋心未満」な感じ。
このジャンル?に名称があるかどうか分からんので自分は雰囲気百合漫画と言ってるんですけど、「良い子さんと不良先生」の雰囲気百合は控えめに言っても最高でしたね。ほのかな甘酸っぱさと空気感がとても良かったです。
菅野マナミ先生の描くほのぼの女子とクール女子のコンビは究極だな!
個人的に「彼女のひみつ」が非常に素晴らしかった。
満足度という点では「彼女のひみつ」が一番かな。
駅の改札口でいつも会う女子高生が目の前で落とした消しゴムに「あなたのひみつ知ってます。」と書かれており気になって電車まで追いかけます。そこで初めて会話をしてお互いが見てた事が判明。
彼女のひみつ
恋心というか憧れて頑張って知り合おうとした彼女にはニヤニヤさせてくれる。
最初は知的なおしとやかな美少女だと思ってたのにアホな子だったのもグッド。やっぱ菅野マナミ先生の描くアホな女子とクールキャラのコンビは最高だぜ。とっても良い2人だね!
そして、タイトル「彼女のひみつ」とは隠れて主人公をモデルにスケッチをしていた「本当の自分」…というものでなっかった!最後にタイトル「彼女のひみつ」の本当の意味が分かる。
そう来るか!叙述トリックかよ!見事なちゃぶ台返しです。ニヨニヨできて完成度が非常に高い短編でしたね。満足なり。
「きつねとゆりこ」はファンタジーな部活ラブコメ?かな。
幽霊が見える少年が、ある日、「百合子を助けたいんだ!協力して!」ときつねの幽霊に1人の少女を助て欲しいと頼まれる。百合子に憑かれている幽霊を祓って欲しいと。
祓う幽霊も悪霊でもなければ祓い方も見事。優しいお話。特にラストに見せた百合子の笑顔はグッときましたね。
百合子
「そんな顔しないで、笑って百合子」からの笑顔。
その間にもう一つ悲しい出来事があったのにラストに見せた私の心の琴線正射的中な笑顔はやられたね。
さらに、最後の1コマは爽やかな締め方でとても綺麗でした。ほっこりする良い話だったけど、オマケの裏話で戦慄が走ったんだけど。そんなの知りたくなかったわ!
TVアニメ『さくら荘のペットな彼女』の劇中で使用された「なのは荘」も良かった。
また、読み切り短編だけでなくたった2ページしかない「視線」も好き。たった2ページ。されど2ページ。2ページの中で恋する女の子に可愛さをギュッギュッと濃縮させていた。
視線
髪の毛、ピアス、スカート丈と校則違反の女子生徒。
いつも教師に注意される中で無言で「じっ…」と見つめてきます。
何を考えてるか分からない中で女子生徒は何かを伝えようとしていた。
実は地道にアプローチしてたっていうね。
まったく伝わって無かったけど。たった2ページながら恋してる女の子を魅力的に描くね。
ふぅ、読了後の幸福感が心地よい。
菅野マナミ先生の漫画はほのぼのほんわか優しい世界観で読むとハッピーになれるね。何より女の子の可愛さに尽きる。萌えとはまた違う(もちろん萌えるけど)可愛さ。
「可愛い!なんだこれ!可愛い!」っていつも思いますね。すごく女の子です。珠玉の短編集と呼ぶに相応しい。お勧め!
菅野マナミ短編集 良い子さんと不良先生<良い子さんと不良先生> (電撃コミックスNEXT)
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2015-12-19)
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