「湯神くんには友達がいない」が地味に面白い。
そもそもまったくチェックしてなかった漫画なんですけど、ちょっと前にサンデー本誌に出張版として読み切り掲載されてはじめて読んでみたら、まあ笑っちゃうじゃないの。そんなわけで単行本に手を出してみた次第です。
1巻の裏表紙の紹介は以下の通り。
転校生・綿貫ちひろの隣の席の湯上くんは、ちょっと…というか、凄く変わってます。そんな湯上くんは、いつだって一人を満喫しています。ところが、周囲の人間は湯上くんに振り回されて…新感覚お一人様コメディー開幕です。
転校生の綿貫さんは転校の多い娘だったが、今回は長く滞在するという事で友達を作ろうとするんだけどなかなか上手くいきません。というのも隣の席の湯上くんと絡むうちに、クラスから警戒されてしまう…という。でも、湯上をダシにして友達をゲットするのでした。というのが1巻。
この湯上くんというのがタイトル通り「湯神くんには友達がいない」である。
と言っても、別に友達欲しくて隣人部設立させてハーレムを作ることもない。
唯我独尊で己を貫くし、友達が欲しいとも微塵も思っていないのであった。
湯神くんには友達がいない
湯神くん
「俺はウジウジと過去の人間関係に脳の容量を使うつもりはない!」
「何故なら俺は、友達とかそういうものを必要としない人間だからだ!」
言い切ったー!
これは「ぼっち系」であっていわゆる「ぼっち系」じゃないぞ。
最近流行ってるじゃないですか「ぼっち系」の作品。
あの手の作品って「ぼっちタイム」をどうやり過ごすかがメインで面白いじゃん。
教室でぼっち、昼飯でぼっち、グループ組む相手いねぇ…とかね。
それをどう乗り切るか見せ所で笑えるんだけど、「湯神くんには友達がいない」の湯上くんは全然別の「ぼっち系」だった。
他者など気にも留めない
「集団という名の闇と戦うぼっち系」ではない。
開き直るし、本当に心底友達なんて必要としていない。
我が道をひたすら走るだけなのだ。
というか、会話すればいちいちイラッてくる嫌な奴街道まっしぐらですよ。
真のぼっち勇者ってのは湯神くんのことではないだろうか。「湯神くんには友達がいない」ではなく「湯神くんには友達がいらない」が正解。
「湯神くんには友達がいない」は「ぼっち系」というちょり「観察系」だろう。綿貫さんが湯神くんという変人をウォッチングする事がメイン。基本は、隣の席の湯神くんの謎の言動に笑ってしまうというものである。
隣の変人ウォッチング
シャーペンを忘れてボールペンでテストを受ける湯神くんである。綿貫さんがシャーペン貸すと言っても断りボールペンで間違わずに書けば事で逆に集中力が増す、日常に負荷をかける事で自らを高めると言い出すのであった。まあ、これがツボにハマって笑うっつーの。
雰囲気としては「となりの関くん」に近い感じ。
変人湯神くんの言動がいちいち笑いを誘ってくれます。凡人では考えられないような言動をし、その様子が面白い。ネタによっては思わず「ぷっ」と吹き出しちゃう。
メディアファクトリー (2011-04-23)
さらに2巻では、湯神くんラブレターを貰ってしまいさあ大変である。おっと、ここでラブがコメる展開にでもなるのかと思いきや、湯神くんも周りの人も斜め上に行動していちいち笑わせてくれます。しかも、野球の試合は無駄に熱い。
あと、女の子は可愛い(これ重要)。
綿貫さんもラブレターを出した藤沢さんもベラボウに可愛い。湯神くんに振り回される様子が実にいいね。
女の子は可愛い
しかし「湯神くんには友達がいない」を読むと目からウロコが落ちるというか考え方の違いにガツーンてくるよ。
友達がいない、むしろ必要としないで己を貫く湯神くんは「…よし!今日も完璧な一日だった」と言うんですけど、これは心に響きました。座右の銘にしたいぐらいです。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」にしても、「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」にしてもそうなんだけど、いわゆる「ぼっち系」作品は集団という名の闇と戦うんですよ。
ぼっちタイムの過ごし方が笑えるんだけど、根底にあるのは「自分も友達欲しい」「リア充羨ましい」です。対して湯神くんは、そんなこと微塵も考えないからね。昼食のぼっち飯も誇らしく食ってやがるよ。
昼食
堂々としてるだろ。これぼっち飯なんだぜ…?
考え方の違いってやつかな。湯神くんは友達いないし、それを羨ましいとも思わない。喋る相手いないからって寝たふりもしないし、独りな事を恥ずかしがってどっかで時間も潰さない。他者の目など気にもとめない。威風堂々と教室で「お一人様物語」を堪能する。
これでいいのか?
これでいいのだ。
本人が幸せだし、友達など必要としないから。考え方の違いだね。集団に属する学校のカースト制度なんて知らんがな。自分が幸せで楽しいって思うことが一番大事だよね?(何故か疑問形)
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