『天野めぐみはスキだらけ!』190話:メリークリスマス
ラブコメとはサバンナにおけるオアシスのようなものである。日々、学校や会社で摩耗する僕らの心を優しく潤してくれる。彷徨える動物達の水飲み場であります。社会的意義は大きいでしょう。
しかしながら、ラブコメというのは構造上の理由で「くっ付いたらそこで試合終了」でもある。物語としてストーリーとしてまったく話が進まず山手線をぐるぐる回ってることに等しい。可愛いヒロインとのニヤニヤが永続的に見られるんだからいいだろって考え方も確かにあるだろう。気持ちは分かる。でも果たして本当にそれでいいのだろうか?
絶対に途中で飽きてしまうのだ。
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『天野めぐみはスキだらけ』は話を進める
もはや飽きていた
うわっ…水で貼り付いて脱げない~
これはどんなラブコメにも言えるんだけど10数巻を超えると、最初は「うおおおおお!」「可愛い!」「ぺろぺろ」ってテンションMAXだったのが慣れてしまうのか、「うむ」以外の感想が出なくなってしまうのです。
サンデーのラブコメ『天野めぐみはスキだらけ』でも同じ。連載始まったばかりの頃は、天野めぐみのムチムチでちょっとえっちぃ描写の数々にハートをときめかせていたのですが、食傷気味になってしまう。だって何も進んでないんだもん。
この辺のピークはコミック10数巻ぐらいがメドかなぁ。『天野めぐみはスキだらけ』は今度17巻ですか。流石にもうお腹いっぱいなんだなぁと。この手の人気あるからって、ひたすら引き伸ばしてストーリーが進まない状況はラブコメの様式美でもあります。
天野めぐみはめちゃんこニヤニヤできたからね。
天野めぐみはグルグル回る
ニヤニヤ
いいね!
どう見ても両思いの2人がニヤリングイベントをするのは…。
ただ、やっぱりもうお腹いっぱい味わってるという印象は否めません。素晴らしいラブコメだったのは間違いないが17巻ともなると、読者だって「いい加減にお前ら結婚しろよ!」と思ってしまうのです。
この状況を「ドラクエ6」で例えるなら、ヘルハーブ温泉の気持ちよさに負けて、ただひたすらお湯の流れに身を任せてグルグル回り続けるだけの自堕落した生活を送っている絶望の町の人々と一緒である。いくら気持ちよくたって、その気持ちよさにずっと浸かり続けていては読者も漫画もダメになってしまう。
ここで言う「話を進める」というのは、ちょっとラブがコメって何かをすることではない。もう二度と元の関係…この漫画でいえば「なぁなぁの仲良し幼なじみ」でなくなるってことです。ここまで散々ラッキースケベとイチャイチャして心を通じあわせて来たわけですからね。
実質、ほぼ告白までしたのに次に会ったらただのクラスメイトに戻ってたなんて、そんなセーブ機能がぶっ壊れたラブコメなんてノーサンキューだからね。
セーブ機能が備わっていなかった例
ほとんど告白同然の「初恋の相手が一条くんで良かった」まで言ったのに、次にあったらただのクラスメイトに戻っていたセーブ機能が無かった悲しきヒロインだっているのだ。
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必要なのはセーブ機能です。
もう二度と元の関係に戻れないって話の進め方です。
ラブコメとしてグルグル回るからの脱却です。
これがラブコメのストーリーが進展するってやつでしょう。ここまで同じところをグルグル山手線を何周もしてきた天野めぐみであるが、めちゃんこ劇的にストーリーが進行するのです。
これはもう戻れないだろ
え…
クリスマスイブで…天野めぐみがキスをした。
明確に、確実に好意を行動に示した。
これはもう次に会ったら「これまでの2人」ではいられないでしょ!絶対!
これまで『天野めぐみはスキだらけ』はちょっとエッチでニヤニヤできて乾いた心を癒やしてくれて面白かったことは間違いない。しかし、ニヤニヤできたけど、お話そのものは何も進んでいなかったからね。
今回のほっぺとはいえキスした事で、もはや「これまでの仲良し幼なじみ」の関係でいる事は無理でしょう。明らかに好意を行動に出してるわけですからね。もう今までの2人に戻るのは絶対無理。ラブコメの話を進めるとはこういうことである。
ど、どうなっちゃんだ!
この2人!?
まさか、次に会ったら取り繕って誤魔化して有耶無耶にするなんて事は流石になかろう(やるかもしれんが、マジでやったらギャグだろう)。もう二度と元の場所に戻ってこれない、言い訳不要で関係の変化をやってしまったわけです。
ヤムチャの言葉を借りるなら、「ここらで恋愛お遊びはいい加減にしろってところを見せてやりたい!」ですよ。カイドウの言葉を借りるなら、ここまでのまー君とめぐみなど所詮「恋愛ごっこ」してたですよ。
はじまるんだよ!
誰も見たことのねぇ新しい時代が!
メリークリスマス、まーくん
メリークリスマス、…まー君
やってくれましたね(褒め言葉)。
これはもう劇的に物語が進んだとしか言いようがありません。クリスマスイブに頬にキスした。今までの「友達以上恋人未満」な仲良し幼なじみではいられない、確かなる一撃をぶっ放したのである。2人の関係はドラマティックに変わらざるを得ないでしょう。
ここから山手線をもう一周なんてことは不可能です。
幸福で平和でニヤニヤできるけど、実は物語がまったく一歩も進んでないって状況も好きだけど、やっぱこういう劇的な変化がめちゃくちゃ面白いね。ラブコメのストーリーが進んでる感がある。
まさかここから外国では挨拶だよみたいなふざけた展開はないと思うので、次から何が起こるか分からない手に汗握るラブコメストーリーになることでしょう。どう見ても両思いなくせに、付かず離れずの恋愛ゴッコの時代は終わったのだ。同時に物語を畳にきてるのかもしれんが…。
『天野めぐみはスキだらけ』はじまったな!
コメント
ごとよめのコメント欄は盛り上がっているのに