『宇仁田ゆみ作品集 ふかしぎ草紙』読了。
かなりバラエティに富んだ作品集です。
著者初のガールズラブ「モコ」前後編60ページはじめ2色ショート3本他、他社発表作品も多数含めた宇仁田ゆみ読み切り総決算な作品集。長短合わせ8本収録。
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『ふかしぎ草紙』
収録されてるのは全9話からなる7本のストーリー。
個人的に「ガラス向こうのあのコ」がとても良かった。
ラブコメからちょっと不思議な話やガールズラボなど多彩。
どれも面白く色んな味わいで満漢全席のような短編集ですね。
「日暮れの少年」
日暮れの少年
「彼女の習性について考察する」「メビウスさん」「日暮れの少年」は月刊flowersに掲載された読み切り。
「彼女の習性について考察する」は買い物衝動がある彼女にうんざりしてる彼氏。なんだかんだで好きだと認識し彼女もお見通し。「メビウス」は忘れ物を取りに教室へ戻ると重力が自分だけ90度ズレていて…。
「日暮れの少年」は、田舎に暮らす少女が夏休みだけに会う少年と過ごす。親の里帰りで夏休みだけいる少年と思いきや、上級生は少年が見えてない。成長するにつけて少年を認識してた子まですっかり「誰それ?」と認識されず。座敷童だったのだろうか思いきや、大人になって再開を果たすが…。
ちょっと不思議な話シリーズといったとこです。
「T*ss」
T*ss
見た目が子供っぽい20歳のナオと身長が高く大人っぽい中学生の幸花の話。掲載紙は「コミックゼロサム」。ガールズラブとまではいかず、あくまでも仲良くなる友達の範疇ですがよい塩梅の尊さがありニヨニヨしてしまいます。
特に幸花ちゃんがいいね。見た目は大人!中身は中学生!(実際に中学生ですが)身長が高いことがコンプレックスで、いつも縮こまって過ごしてましたが、ナオと知り合うことで猫背を止めるのも良い。浴衣姿はめげっさ可愛い。
夏祭りの帰りはとても清々しい。
百合とはいわないまでも、仲良く手を繋ぐ姿には読んでて自然と笑顔になります。
「ちょっかいゴコロ」
かつて扶桑社から創刊された漫画雑誌「マリカ」。7号で息を引き取ったので、こうしてコミックで収録されるのは素晴らしいことだと思います。「ちょっかいゴコロ」はちょっかいをかけてしまう男子と超美少女の恋物語。むずかゆい。
「side.A」は女性の視点で、「side.B」は男視点で描かれます。タイトル通り男女の恋愛感情の機微が頷ける。小学生の男子ってすぐ女子にしょーもないちょっかい出す。モテる男子はたいてさじ加減が絶妙。逆にモテないやつはなんか必死であると。
これは小学生に限った話でなく大学生になっても…という。モテない松田くんは美少女ミズキちゃんにちょっかいをかける様子とミズキちゃんのまんざらでもない反応がたまりません。「side.B」のただ混乱して必死に話してたモノローグもかわいらしい。
「ちょっかいかける」は、クラスの友人と大きな声で話すように見せかけて…実は隣の女子に話してる(アピールしてる)と並ぶ悲しくも勇気が出ないくせに何やってんだ行動だと思います。
「ガラス向こうのあのコ」
ガラス向こうのあのコ
最高や…!
宇仁田ゆみ先生の恋愛作品はサッパリしてるといいますか。あまりに甘すぎず、だからといって苦すぎることもなく。軽やかすぎることもなく、そうかと言って重すぎるこもなく。程よいぐらいキッチリしている印象なんですよ。
よく言えばバランスが取れてる。ただ、あんま「うおおおおお!」となることなかった印象。これが良い意味でカラッとしてたのですが、「ガラス向こうのあのコ」はもの凄く濃厚でした。うおおおおおおお!ですよ。
いつもの駅でいつもの時間で反対側の通路を通り過ぎる彼女。いつしか目が合うようになり、振り返ってもう一度見たらまた目があったり、手を振ってみたら振り返してくれるようになり…。
毎朝すれ違い様に目が合って手を振るようになった間柄。でも話したことも無く名前も何も知らない。そして、初めて帰りの駅で彼女とすれ違って…。ニヤリング&ローリングで身悶え3回転半を記録する。ラストに至るまで凄まじい破壊力を叩き出した極上の一品でした。
「モコ」
ガールズラブもの。
紅美と雪の2人がとても可愛らしかったです。
同じ学校で見ているだけだった相手と隣の席になり、段々と仲良くなるもひょんなことから自分の秘めたる想いを聞かれてしまい…。いやぁ、カッコイイ女子と女の子してる組み合わせは絵になりますね。
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そんなわけで様々な話が楽しめた『宇仁田ゆみ作品集 ふかしぎ草紙』。ごった煮のようでいて「すれ違い」ってテーマで統一されてます。個人的にお気に入りは「ガラス向こうのあのコ」。
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コメント
T*ss懐かしい
昔読んだときもかなりクオリティの高さに印象に残ってたけど
読み切りだったからタイトルも作者も忘れちゃったんだよね
よにんぐらし読んでたなあ 懐かしい名前だ
と思ったらうさぎドロップってこの方の作品だったのね