『かくしごと』2巻を読了しました。
連載でも読んでいましたけど改めてコミックでまとめると「いい話」なんです。心に染みわたるような温かさが満載です。たまに以前の久米田先生よりも毒が少なくなったって人も見かけますけど、個人的には久米田先生は新境地を切り開いたって感じです。はい。
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『かくしごと』は久米田先生初のホームコメディ漫画ともいえる。
もちろん初の漫画家マンガでもありますし。なんか怖い言い方ですけど『かくしごと』と楽園の『スタジオパルプ』は久米田康治集大成って感じがします。いや分かんないけど、それぐらいに面白いってことです。
2巻に収録されているのは以下の通り。
31号「きめごと」、32号「重半失態」、33号「多重人脈担当再呼」、34号「君は別途」、35号「アシより青し」、36号「やりくりサーカス」、37号「ITしてないと」、38号「ピューとふくジャカルタ」、39号「ヘア・ギア」、40号「ノルマエ・ナマエ」、41号「千と千尋の神画数」、42号「既読のグルメ」、43号「KARUTO」、44号「それでも鉢は廻ってくる」、45号「一騎入選」、46号「転送したらウイルスだった件」、47号「無視ヒヒョー」、48号「バッドモーニング・コール」、49号「足すなろ白書」、50号「チョコアマ買い足し奇行」、51号「泊めたねっ!」、52号「密会師」
1号「黒娘のタスケ」、2.3号「だがよふかし」
コミックの目次すら放棄している全話である。
相変わらず凄い量になるな…。
『かくしごと』という作品は漫画の中で「週刊かくしごと」という雑誌が連載しているようなつくりになっており、2巻では52号までいって1号に戻っていますね。芸が細かいです。こうして書き出してみると改めて、言葉遊びとパロディっぷりが凄い。
漫画家マンガとしての面白さ
多重人脈担当再呼
かくしのモデルがどー見ても久米田先生自身なので漫画家マンガとしてのリアリティが凄い。
ご存じのように久米田先生は色んな仕事をしています。
『かくしごと』『スタジオパルプ』2つの連載に加えて、『なんくる姉さん』の原作、アニメ『有頂天家族』のキャラクター原案など。その辺りの実体験を踏まえたエピソードが「きめごと」「重半失態」「多重人脈担当再呼」「君は別途」である。今回のエピソードは『なんくる姉さん』と『有頂天家族』ですね。
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まあ、どー見ても売れっ子で引っ張りだこなんだけど、久米田先生は自分を下に下に卑下するのが芸風ですので、色んなお仕事を貰っても面白おかしく自虐しております。かくしが原作した漫画は絵が良い、キャラデザしたアニメは話が良いと。
仕事が来るのは昔お世話になった編集さんが仕事を回してくるとか。
それを「世話になった編集分散問題」というらしい。
世話になった編集分散問題
実際に久米田先生が多方面で仕事している理由を漫画家マンガでネタにしているのでめちゃくちゃリアリティあります。コミックでは「描く仕事の本当のところを書く仕事」として自身の解説付きなので、『かくしごと』のエピソードがいかにリアルなのかを補足しています。
実際に優秀なアシスタントはすぐに巣立つそうだし(アシより青し)。いまの印刷所の一番の良客はお菓子のパッケージだとか(チョコアマ買い足し奇行)。本名でデビューする苦労話なども(ヘア・ギア)など。久米田先生自身の体験あってこその裏話ともなっている。
また、コミックでは途中途中にある「描く仕事の本当のところを書く仕事」もまたクソ笑えるんですよ。『絶望先生』の紙ブログもそうですけど、久米田先生は笑えるコラムとしても半端ない才能がありますわ。このエピソードの「描く仕事の本当のところを書く仕事」も素晴らしい。
僕のまんが家としての最高到達点は2007年なんですよ。そこから下り坂で、ここ10年ずっと着地点を探す旅をしています。レガシーで食っていけるような作品も残せてませんし様々なジャンルのお仕事の声がかかるのは大変ありがたいことなのです。(中略)
過去の担当さんがたらしてくれた、くもの糸を継いで、くもの巣にしてセーフティネットにしたいのです。
冒頭の一部だけですでに笑えます。
漫画家としての実体験を面白おかしく解説しつつ、怒涛の展開で文章を回しでラストはオチまでつけるのは「お笑いコラム」として一つの完成形を見た気がします。是非コミックでチェックしてみてください。漫画も面白いけど久米田コラムも味わい尽くせます。原作者、作画家、そしてコラムニストでもある。
とても良いことも言っている
「それでも鉢は廻ってくる」「一騎入選」「転送したらウイルスだった件」「無視ヒヒョー」「バッドモーニング・コール」「足すなろ白書」では実際に月マガ9月号で特別審査員として新人漫画にコメントをたエピソード。
2016年月マガ9月号「第34回月マガ新人賞」
久米田先生とは思えない真面目なコメントの数々でした。
そこでコメント真面目だった分、漫画内で色々とはっちゃけたわけです。
業界内部の裏話もまた興味深い。
例えばプロの漫画家が「審査員」という名でコメントしてるけど、実際には選考に一切関わっておらず編集が選んだ作品に漫画家は感想言うだけとか。批評する漫画家が一番気にするのは「お前が言うな」と突っ込まれることだとか。面白いコメント付けたいけど他人の人生かかってるからふざけていい場所じゃない苦悩とか。いやもう流石です。
そんなネタの中でとても良いことも言っていたりします。
ギャグ漫画なのに為になることをやるので漫画家マンガとして侮れません。
ためになることも言う
「読者が我慢して読んでくれるのは息止めて続くまでだ」
寸評にも書きましたが、前向きなアドバイスではないけど漫画家を目指す人に一言、長くやっていて確実に言えるのは、読者は常に読むのを止めるタイミングを見計らっているという事。巻が進むにつれ、単行本が1巻の半分も売れなくなるのはそうゆう事です。だからなるべく離れるきっかけを与えないようにする事が大切です。
(「描く仕事の本当のところを書く仕事」当番やりました)
読者は途中で読むの止めるタイミングをはかっている。読者は息止めて続くまでしか読まない。読まれる努力も必要だけど、読むの止めさせない努力も必要だとか。すごい!漫画家マンガみたいじゃないですか(漫画家マンガです)。
というわけで漫画家マンガとしても最高な『かくしごと』。
ホームコメディとしても漫画家マンガとしても楽しめる。超お勧めです。はい。
(続くぞい)
コメント
せっかちの時はあれ?って思ったけど、かくしごとは本当に面白い作品だと思いました
隠し子と
そんな安直ネタなわけないか
もしも「隠し子と」が作品の大オチだとしたら、神谷浩史は久米田先生にごめんなさいしないとね。
>とはいえ、あの久米田先生なのでそんな安易な着地点でも終わらない気もする。
もっとドンデン返ししそうなんだよね。流石に誰でも「隠し子と」は思いつくし。
ハードル上げすぎィ!!
百見様たちがネタつぶししてる!
かくしごと→しごとかく→死後、とかく(=あれこれ)
可久士が亡くなった後の様々な事柄の話?
ママが死ぬ前に中目黒の16歳箱までを用意し
パパが死ぬ前に鎌倉の17歳箱から先を用意した
そして、それを隠しながら守っているのがお父さん
その存在こそが、姫が「パパ」とよぶ
人物なんじゃあ…
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