
『溺れるようにできている。』完全版を読了。
旧版は芳文社から出てたみたいですが未読なり。
完全版で初めて読んだので旧版とどこがどー違うとか比べられないけど。なんつーかどど真ん中に少女漫画だった。
私のシギサワカヤ評は男女の悲恋というか怨念というか愛憎入り混じりというか読むと精神をガリガリと削ってくるイメージでしたが(独断と偏見)。
ダメージはそれほど受けずで読み終われました。安心して下さい!胃薬はいりません!
ハートフルがっかりなシギサワカヤの恋愛漫画代表作の完全版。コミックス未収録の後日談2本+番外編5本計32ページはじめ描きおろし多数。
タイトル『溺れるようにできている』からしてヤバイ予感プンプンだったので防御をしながら臨みました。
ドロドロの人間関係で救いのないとんでもない恋愛泥沼系かと思ったものです。が、実際は残念な2人の残念な模様をニヨニヨしつつキュンキュンして笑えるけど切ない系(何だそりゃ)でした。優しいシギサワカヤ漫画かな。面白かったです。
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良い作品だったです
大学3年生の香織は8つ年上の幼なじみ圭に玉砕覚悟で告白してオーケーの返事を貰ったのが3ヶ月前。
大学生と社会人、山梨と東京の中距離恋愛、憧れの幼なじみと実際に付き合ってみてのギャップ、すれ違う様…などが丁寧に描かれている。主人公の香織が良いですね。三つ編みメガネ!

香織
良い雰囲気になるとお腹が鳴るの図である。
とても残念です。
でも、この残念さがいいね。
可愛いと思います。
モグモグ食べる姿も良し。途中でシリアスの重い雰囲気になっても、香織(と圭)の残念コメディが間に挟まりとてもありがたく感じる。胃に優しい親切設計である。串かつ食べる時に間にキャベツを挟んで胸焼けしないようなものです。
香織の残念な可愛さは男心をくすぐるね。
足裏をこちょこちょくすぐってくる。
そりゃ圭ちゃんだって思わず本音がポロリですよ。ど真ん中にツボを突っついてくる。不器用眼鏡っ子最高って心からシャウトしたい。そんな香織の恋に溺れる様子はなかなかどうしてよ。

溺れていく
タイトル『溺れるようにできている』とは恋に溺れることなのですが、ただ甘く恋に溺れちゃった何も手に付かないのって恋する乙女の生易しいものではない。だってシギサワカヤ作品だもん。普通にグサリと刺し込んでくる。
最初は憧れだった年上の幼なじみと付き合って気づく負の側面というかダメな部分。夢や憧れという理想からの現実というか。
相手を分かった気になってたけど残念!全然違いました!ってやつである。憧れが強ければ強いほど、そういうギャップに苦しむというか。溺れていく。あーこれは溺れてますわ。
「心の中で好きでいるだけなら、こんなことなかった筈なのに」
「触れた瞬間、私の中の彼が決定的にリアルな重みを帯びてしまった」
「恋って心の中だけにしかないくせに重くて足場が崩れそうで怖い」
男女の「本当に分かり合う」というのは何かというがビシビシ伝わってくる。ズバリ「虚栄」である。虚栄が愛憎入り交じって堪能できる。
間に残念なコメディ入らなかったらやばかったね。胃が。まあ、知れば知るほどすれ違っていくってもの。そりゃ誰だって自分をかっこ良く見せようとするよ。うん。で、付き合ってくうちに隠してる部分が相手に見えちゃうってもの。
すれ違ってばかりで、坂道を転がり落ちる様は、物語のピークで切ないんだけど個人的にキタキターって思っている自分もいましたね。
はい!シギサワカヤ来ました!って感じで。怖いものみたさというか。よしゃ良いのに止められない魅力がある。ダチョウ倶楽部の押すなに近いかな(全然違う)。

キタキター
で、地獄の一丁目行きかと思いきや…終盤はそーきますか。なるほど。
恋に溺れるで『溺れるようにできている』は秀逸だけど、読後は違ったね。
お互い隠していたダメな部分が段々と見えて来てしまうのだが、理想の姿が打ち壊されてしまうのですが、どうしようもない部分が突きつけられちゃうけど。それを踏まえて叫びたい。『泳ぐようにできている』って。まる。
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<シギサワカヤ作品のレビュー>



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