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『ゴールデンカムイ』69話 もっと強く君を抱きしめたならもう他に探すものはない

 


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『ゴール段カムイ』第69話 脱出
 

これはひどい…(褒め言葉)

 

今週の『ゴールデンカムイ』(69話)はヤンジャンで巻頭カラーでした。

最近の『ゴールデンカムイ』の人気はうなぎ登りでヤンジャンの新たな看板作品になってきてるね。今回は巻頭カラーに相応しい神回だったと言わざるをえない。圧倒的に面白かったです。震えが止まらないよ…。

神の面白さ

いやはやそれにしても。ここまで壮大な構想と緻密な計算のもとに全身全霊で描かれたクソストーリーはなかなかお目にかかれないでしょう。芸術的といっていい。一つの極みを見た気がします。

 

まず登場人物が酷い
仲沢達弥と親分・若山輝一郎の2人のおっさん。
名前の通り、モデルは俳優の仲代達矢さんと若山富三郎さんですかね。とってもダンディーなおっさん2人でした(過去形)。

 

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親分と仲沢

 

最初こそかっこ良かったんでよ。特に親分は決まってましたね。

ダンディズム溢れて素敵なおっさんだった。それが仲沢が「親分が浮気するからだ!」とか言い出し、実は濃厚なホモである事が分かり展開は遥か斜め上に突き進みます。

 

『ゴールデンカムイ』は歴史漫画としてもグルメ漫画としてもサスペンス漫画としてもギャグ漫画としても異常な魅力があるけど、キモはキャラクターメイキングの上手さ破天荒なストーリーでしょう。それがマッチすると神展開になる。

 

そして69話「脱出」で神は舞い降りたのです。神、いわゆるゴッドが!
しかも過去最上。キャラ作りと何が起こるか分からんシナリオが頭おかしい方向に見事に突き抜けすぎたのです。天才かよ!


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姫~ッ!!(お目々キラキラ)

 

仲沢(と杉元一行)がヒグマに襲われている時に颯爽と登場する親分。今まで目線だけ人を殺せるヤバイ目つきだったのがお目々キラキラ輝かせて仲沢を「姫~ッ!!」と叫び出します。

 

訳が分かりません。
だけど、ただ一つ分かることがあります。愛だったんだよ!親分と仲沢の死線をかいくぐりながらの再会はとても綺麗でした。車で迎えにきた親分と抱きつく仲沢のワンシーンは愛が溢れていました。そうか「愛」はここにあったんだ。


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愛だったんだよ

 

「恋愛」「慈愛」「博愛」「友愛」「親愛」…愛と名の付く感情がギュッギュッと詰まっていました。ただただ「よかったなぁ」と呟いてしまします。しかし、「愛」ゆえに再びピンチになってしまいます。

 

仲沢が親分の長ドスを落としてしまい拾おうとすれば車から落下。ヒグマに襲われてしまう。親分は何の躊躇もなく車から降りてヒグマに立ち向かうのでした。大死闘の末にクマを斃した親分。同時に力尽きます。仲沢も瀕死です。尽きかけの2人の命。

 

美しい純愛が確かにありました。

 

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仲沢
「ざまあみろ親分…もう私に隠れて浮気できないね」
「私と一緒に死んじゃうもんね…これで私は親分の最後のひとだからね」

親分
「バカ野郎ッ…」(幸せそうに)

 

愛だったんだよ!

 

あぁ…純愛だったんだなって。これが世界で一番ピュアなラブストリーってやつですよ。辺見編も産みたて卵のようにピュアっピュアっだったけど、今回のエピソードも間違いなく純粋な愛をテーマにしてましたね。

 

2人が死えるまでが感動的でした。
致命傷を負って、だんだん弱っていって、最後に2人は真実に愛を確かめ合うように手を握り合って息絶える。無情で残酷に、それでいながらとても優しく、単調に単純に簡易に、それでも斬新で克明に、静かに綺麗に、命尽きる様子が描かれているのでした。

 

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真実の愛を抱き息絶える2人

 

 

ふつくしい…。

 

雲がハートになってるのもいいね。まるで天が2人の真実の愛を祝福しているようです。ヒグマに殺されるなんて凄惨とも言えるんですけど、見事に美しく2人の満足感と至福感が表現されていました。とっても清らかで輝いていましたね。感動的なラストでした。

 

こんなの泣くわ。涙腺が崩壊するわ。ズルイよ。
仲沢は親分が好きすぎるからこそ、長ドスをわざわざ拾いに行ったし、親分は仲沢が好きすぎるからこそ助けに行っちゃうし。深い愛ゆえに両者は死んでしまった。切ない。お涙頂戴展開だけど愛と人情の深さ故なので、温かさが溢れるぐらい伝わってきて不覚にも涙を流してしまった。感動した。

 

 

…などと言いつつ、ホモの汚らしいおっさん2人が真顔で純愛してるシーンは変な笑いが込み上げてきたのも事実だ。率直に感想を言おう。アホである。

 

 

笑うべきなのか涙を流すべきなのか…。
こんな時、どういう顔をすればいいのか分からいの。

 

 

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笑えばいいと思うよ!

 

 

読者が感動していいのか笑っていいのか複雑な感情を抱く中で最後の1ページがトドメだった。シュールに「皮剥いでくる」って。これはズルイ。銭形警部風に言えば「杉元はとんでもないものを崩壊させました!読者の腹筋です!」だよ。

 

こんなん笑うわ!
煽り文句「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう。」が反則ならば、次回予告の「次回、そろそろお腹がすいてきた。」もジワジワくる。漫画の中身から煽り文も予告も非の打ち所の無い完璧な腹筋崩壊仕様です。バカじゃないの?

 

いやぁ…。もう本当にね『ゴールデンカムイ』はここまで来たかって戦慄の思いです。魂からシャウトしたい。最低だった!でも同時に最高だった!最低の内容なのに最高の内容だった。なんだこの矛盾。

 

 

最低と断じるに些かの躊躇も持たぬわ!
同時に、最高と断じるに些かの躊躇も待たぬ!

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