4巻からノンストップで一気に面白くなる。
ただの教師&生徒ものだと思ってしまってすみませんでした。
めちゃくちゃ面白ぇよこの漫画。
「やめられない、止まらない」のかっぱえびせん状態です。
続きが読みたいという衝動にかられる。圧巻。
4巻から一気に物語が動く。
戦争です
戦争がはじまった。
ヴァイセン王国がホルべック王国に戦争を吹っかけられてしまう。
同盟関係にあるバーゼルランドも援軍を送るハメに。
まあ、この軍事同盟を結ぶ流れも半分騙されたようなもので、その辺りの政治上の駆け引きが緊迫感あってリアリティと説得力あります。
バーゼルランドは士官学校の生徒を義勇連隊として出兵するわけですが、10代の若者がいきなり自分の親と同じくらいの年齢のおっさんを率いることに。
何かで読んだんだけど軍事養成所ってのは教官にボッボボコにされて毎日しごかれるんだけど、卒業すると同時にその教官は階級下となって敬語を使い敬礼して送り出し立派な将校になるとかなんとか。そんな感じの心情でしょう。
兵隊を率いる
この辺りの子供達の葛藤が素晴らしいの一言。
暴動編で人を殺すことは経験してたけど、戦争はまた全然違う。
あと、貴族出身と平民出身で戦争におけるモチベーションが全然違うのも興味深いところであります。だがしかーし!授業で講釈してたように、貴族が先陣をきる古き良き時代はもう終わりなのである。
時は近代兵器へと変革していく時代。
紅い彗星シャアは「性能の違いが戦力の決定的差でないということを教えてやる!」と言っていたけど、その言葉が虚しく響くぐらいに、性能の差がそのままモロに戦力の差になるのが悲しいところ。悲しいけどこれが近代の現実なのよね。
ザクじゃどう逆立ちしてもガンダムに勝てない事を明確に論理的に残酷なまでに描くのが「軍靴のバルツァー」である。
性能の差ってのは1巻でもじっくり描かれていた。
1巻で語られた性能の差
マスケット銃、日本における火縄銃。戦術は整列歩兵による密集陣形の一斉射撃。
ひたすら撃つ、撃つ、撃つ!敵の陣形が崩れたら銃剣突撃。
こんなのもう遺産の戦術である、と。連射可能なライフルを導入すべきだ、と。
それを1巻では50人(マスケット銃)対5人(ライフル)で見事に証明してみせていた。技術の利である。私はミリオタじゃないんで分からないんだけど、かなり説得力を持って説明されるから、ほうほうそうなのかと納得するしかない。
もうこれでもかと兵器は性能&戦術がものをいうと説明するわけ。
で、4巻から始まるホルべック王国との戦争の面白いところは今まで散々説明した技術の利を敵が勇猛突進で否定しちゃうところ。
ホルベック王国、1に突撃、2に突撃、3、4も突撃、5に突撃
ライフル銃の性能?なにそれ食えんの?と言わんばかりの見事な突撃一辺倒である。
こういう今までのウンチクを覆すところも読んでて唸らされます。
でも悲しいけどこれ戦争なのよね。1巻で武器の性能を説明してる中、相手が着剣突撃をしようとして焦ってたのに繋がるわけです。
というかどう見てもホルべック王国がデンマークである。
デンマーク王国です。デーン人です。ヴァイキングの末裔です。
しかも2回目の戦争のようだ。
ドイツとデンマークというとこれは第二次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争なのでしょうか。
どこまで史実に合わせてるか知らんけど。
この辺りの歴史が詳しくないのが悔やまれる。
おそらく世界史好きならニヤリとできるネタが散りばめられているのだろう。
んで、この戦争編が面白かった最大の理由は撤退戦だったからでしょうね。
皇国の守護者」でも描かれてたけど、撤退作戦というのは戦争の中でも一際緊張感と絶望感があるよね。緊迫感が半端ない。面白すぎるってなる。もうこなると命の優先順位が明確に描かれるわけ。
また、描かれる戦争の残酷さも凄い。
今間違いなく戦争する形態が変わっていく様をまざまざと見せつけてくれるのです。
時代はまさに近代戦争へと変わろうとしている。明らかに戦時ものとして面白くなってきた。
それと軍事戦略だけ描かれてない骨太仕様なのもこの漫画の凄いところかな。
以前に、暴動が起こって沈静化させる為に出撃した時のエピソードも外せません。
「住人が暴徒と化す→治安維持の為に出撃→何人か殺す」この流れで誰が悪役になるかってのも面白い点だよね。
暴徒を放置など出来ないし軍が鎮圧に乗り出すのは当然。これを新聞は軍が一般市民を一方的に殺したと書きたてるし、バルツァーは暴徒の為に未来ある若者が亡くなったと演じる。左派と右派の政治的煽りもほうほうと思わせてくれます。
かの吉田茂元総理には有名な逸話がある。
君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。(吉田茂 昭和32年2月防衛大学第1回卒業式より)
これがまんま当てはめられちゃうわけよ。
平時においては軍なんて…という雰囲気も描かれ、家族からも「そんなに勉強してなるのは兵隊か?くだらんな」とか言われちゃったりするんだけど、いざ戦争から帰ってくれば、魔王を倒した勇者のような歓迎っぷりである。
最初は風呂敷広げすぎだと思いましたが、まあ上手にまとめていくじゃありませんか。
猛烈に続きが気になります。
6巻では外交戦争が開始されるんだけど、まあこれがまたクソ面白いのなんの。
戦争の講話や賠償問題をどうするかが描かれていくけど、謀略渦巻くわけですよ。
戦争ものだけでなく「政治劇」としても素晴らしいのなんの。
世界設定、キャラクター、ストーリー全てが僕の心の琴線を鷲掴みにしました。
絶品であると。
ただ一つ難点を上げるとしたら、ラブコメ大好き人間としては甘さが足りないかな。
だがしかーし!
なんと足りない「甘さ」も6巻では補充できる非の打ち所のない布陣となっているわけでございますよ。
ヘルムートという貴族出身の女の子がいるわけ。
なんか、王室に土地を摂取されないために男子として土地を相続してるという設定。
美少年に見せかけて実は美少女だったというヤツである。
ヘルムートは女の子だった
ヘルムートが女の子だったと判明するのはかなり初期。
で、僕はてっきりこの設定を上手く転がして、我々のような萌え豚をブヒーブヒーと鳴かせるような展開が炸裂するんだろうと期待したものです。
でも、まったくこの設定が意味もなく物語は進むわけ。
他の少年たちと同じように苦悩して成長していくわけ。
え、実は女の子でしたの設定、意味あんの?って感じに。
だ・け・ど!
6巻にしてこの実は女の子でした設定が卍解しちゃうわけ。
ヘルムートが覚醒するのである。
政治劇で盛り上がると同時に、我々養豚が喜ぶ展開が開幕!
ヘルムート
ブヒィィィィ!!
素晴らしい。
実に素晴らしいです。
今まで「実は女の子だった」設定は全てこの時のためのタメであったのだ。
なるほどね。穏やかな心を持ちながら、実は女の子だった男装少女が女の子の格好をして覚醒するというのは王道だ。だけどさ、こいつは反則的な可愛さだっつーの。どう読んでも顧問に惚れてる臭いんんですけどどどどど。はじまりまくってるな!
普通に軍事ものとしても面白いのにヘルムートがバルツァーに恋してるんじゃねと思わせてくれる展開に面白さのブーストがかかりやがるいわけですよ。
はい、最高にワクワクドキドキさせてくれる。
こいつは名作の臭いがプンプンするぜぇ!超お勧め!7巻はまだかー。
新潮社 (2011-07-08)
新潮社 (2011-12-09)
新潮社 (2012-07-09)
新潮社 (2012-12-08)
新潮社 (2013-07-09)
新潮社 (2014-02-08)
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