くぅー!感無量である!
『ダイヤのA act2』(寺嶋裕二 )34巻読了。
これが最終巻です。16年間の連載本当にお疲れ様でした。
目指すはエースの座と全国の頂点! 2年生となり、ついに甲子園デビューを果たした沢村栄純と、青道高校野球部の新たな挑戦が始まる!
青道高校vs.稲城実業高校、甲子園を懸けた最終9回。成宮と多田野の出塁で稲実はサヨナラの絶好機到来!! ノーアウト走者一塁三塁の場で、青道エース・沢村は御幸のミットをめがけて渾身の一球を投げぬく――。熱血の新・王道野球漫画、堂々完結。
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元祖1巻と最終巻
act2最終巻は元祖1巻を踏襲してていいね。同じ夏の甲子園のマウンドで投げてる沢村。元祖はスコアボードなど何も書かれてなかったけぢ、act2の34巻はスコアボードにちゃんとくっきり書かれてる。
そもそも34巻の表紙は実際に作中で描かれてるシーンに色を塗ったものとなってる。最終回「ダイヤのA」のタイトルが出たとこ元祖1巻ではボンヤリしてた夢の夏甲子園が現実になったという紆余曲折を考えると感慨深い。
- 元祖1巻の表紙…想像の夏甲子園
- act2最終巻表紙…リアルに甲子園で投げてる
また、『ダイヤのA』ってタイトル通りになったのも良い。磨けばダイヤモンドのようなエースになる沢村という意味。
同級生に降谷という怪物ピッチャーがおり、エースナンバー「1」無理じゃね?少なくとも1年時は格が2つぐらい違ってどう逆立ちしてもエースナンバー取れる気配なかった。降谷は打撃も良かったので途中で怪我して野手転向して沢村が1番貰う説までありました。
しかしそうはならず、実力でエースナンバーを取った沢村にもグッとくるものがある。
「青道高校vs稲城実業高校」の因縁決勝戦
決勝戦のは去年の決勝と同じ「青道高校vs稲城実業高校」。沢村1年夏時にあとアウト1つから魔の9回裏で夢を粉々に打ち砕いた王者稲実。あの宿命と因縁が1年超しに激しくぶつかる。
何が熱いって終盤の試合展開が去年と酷似してることです。
嫌でもデジャブやディステニーを感じちゃう。
元祖188話「天王山」
act302話「魔物」
青道が1点リードで9回裏に稲実が怒涛の追い上げを見せてくる流れ。去年と一緒やんか。追い詰められてマウンドに集まってグータッチとかさ。ニクイ演出で去年と同じような展開だけでなく、構図やコマ割りを使っている。
こんなん絶対、あの9回裏の悪夢を思い出すじゃん!
とはいえ、一方で成長も見て取れます。
昨年は負けてるのに絶対追いつく逆転するイケイケな稲実の勢いと、絶対にリードを守り切らなきゃって劣勢に見えた青道って感じでしたからね。もう同点に追いつかれたら負け確みたいな雰囲気でした。
元祖189話
2点もいらない。1点でいい。そうすれば、「延長になれば必ずウチが勝つ!!」と断言していたのが稲実監督。それぐらい層も余力もあったことが伺えた。
一方で今年は同じようなシチュエーションでも青道のチームとしての成長が見て取れます。
たとえ延長に入ったとしても俺達なら勝てる(302話)
青道の成長が凄まじいぜ!
去年は追いつかれたらヤバイよ!ヤバイよ!って感じで、稲実は延長になれば絶対勝てると豪語してた。今年は同じように押せ押せイケイケの稲実相手にも延長になってもええで?どっちみち青道が勝つから!という心の余裕が見て取れる。
もちろん、成長してるというのは内面の問題です。実際、去年の哲也時代の青道より今年のほうが強いかどうかは何とも言えません。ただ去年を糧に、一回りチームの精神力が上がってるのは間違いない。
演者が違う
ディティールは違えど似たような展開で、去年を彷彿させる構図や演出の中で分岐点は稲実の同点のランナーを刺したか刺さなかったの違いでしょう。
去年はカルロスにしてやられた。今年は成宮をアウトにした。勝敗を分けたのはここだというのは誰もが思うことでしょう。
演者が違うのも面白いところかなと。去年、バックホームしたのがノリさんでなく降谷だったらカルロスはアウトにできたか。今年は、ランナーが成宮でなくカルロスだったら降谷でもアウトにできたか。
まさに「たら」「れば」が満載でドラマなんだよねぇ。一瞬の交差のドラマが満載だし、読者の想像を掻き立てる「…だったら?」がある。去年の試合を含めてね。
勝者と敗者
試合も激熱でドラマチックだったけど、試合後のドラマが最高だった。
元祖191話「残響」
act305話「黄金メダル」
完全に一致!!
まあ演者は正反対ですが…。似たような終盤の試合内容と勝者の構図が去年を踏襲してるからこそのドラマと絵面の引き立ちがある。
だからこそ敗者へのスポットが実に良い。野球は「間」のスポーツだと言われており、『ダイヤのA』はそこがあだち充先生とは違う角度で最高の「間」の取り方の演出をします。それはモノローグです。
投げる瞬間、撃つ瞬間の一瞬を切り取ってくっそ熱い思いが溢れるモノローグをぶっ込む。勝ちたいって気持ちや負けたくなって気持ちやこれまでの努力の言葉は名言の宝庫。野球シーンの決めコマで挿入させ何度も泣かされたものです。
そして敗者の美学がベラボウに刺さるんだよなぁ。
敗者の美学がある
てっぺん獲ってこいよ。原田(192話)
熱くて泣けるスポーツ漫画の『ダイヤのA』は本当に何度も感動して号泣したけど、一番泣けたのはやぱり去年のキャプテン哲也なんですよね。
サヨナラ負け食らって泣き崩れ落ちる青道ナインに声をかえて整列しようと気丈に振る舞って、ひとりだけ泣かず、勝者である稲実キャプテンで「おめでとう」と声をかけて、自分達に勝ったんだから甲子園で「てっぺん獲ってこいよ」と。
なんて鋼のメンタルなんだ!かっこよすぎるぜ!と思ったら、衆人に見せなかっただけ。最後に緊張の糸が切れて悔し涙を見せた哲也にマジで号泣させられたもので。敗者の美学がそこにあった。
それが立場逆転で稲実の今年のキャプテン成宮に起きてるのも感慨深くなる。
俺達に勝ったんだ。てっぺん取ってこいよ。一也(act305話)
去年の哲也やんか!
昨年の青道キャプテン結城哲也とまったく同じことを述べていた。去年は哲也にこれを言われた原田は「もし…俺が逆の立場だったら…おめでとうなんて言えたか…?」と驚いてました。代は変わって、立場逆転しても同じことしてる(感動)!
稲実は成宮の代は甲子園行けなかったけど、後輩たちに「あいつらの姿を目に焼き付けとけ」「お前達は来年あっち側にいけよ」と声をかけてた。勝者と敗者は表裏一体。去年と今年を合わせてこそ、どっちの立場のドラマも補完できる。
そして去年も今年も敗れたキャプテンが気丈でカッコよかったのは、あくまでも衆人の前でだけ。
去年の青道キャプテンと今年の稲実キャプテン
勝って泣く顔があります!負けて笑う顔があります!
とは98年甲子園「PL学園VS横浜」の大死闘のアナウンサーの台詞で甲子園の申し子松坂大輔の代表的なワンシーンでもある。気丈に振る舞い人知れず号泣するキャプテンのワンシーンはヤバイぐらい泣けるよね。
成宮は去年は勝って人前で泣いてた。今年は負けて人前では一切涙を見せなかったが実は…というのもより感動的だった。
『ダイヤのA』は試合中の一瞬の決まる野球シーンにありったけのモノローグを乗せるのが上手いからこそ、試合後の勝者と敗者は深みが増し増し。歓喜と絶望が隣合わせの人間丸出しドラマがあった。
一番胸を熱くさせたのノリさん説
308話
( ;∀;)ノリさん…
沢村と降谷のドラマ。最強の難敵だった成宮のドラマ。これを過去を踏まえて最高の演出で見せていたんだけど、やっぱりリアルタイムで読んできた読者で感無量なのノリさんよね。
1つ年上には丹波、1つ下には沢村と降谷がいた青道投手陣の中で一つ力が落ちる我らがノリさんです。出てくればボコスカ打たれてレイプ目になるのがお約束。同世代に良い投手たくさんいるので、青道スカウトは何でこんな雑魚取ったんだ?と思ったものです。
そんな「登板→打たれる→レイプ目」のやられ役だったノリさんが甲子園で堂々と投げて打ち取ってる最終回は最も僕らの胸を熱くさせてくれました。リリーフで頑張ってると思ったら予選で肝心なところで炎症して登板不可とかマジで「なんだこいつ…?」状態でしたからね。
『ダイヤのA』とは谷間の雑魚投手だった川上憲史が甲子園で躍動してる姿を見る物語だったかもしれない。ノリさんが一番グッときてしました。はい。
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コメント
ヤンジャンのダイヤモンドの功罪は降谷を主人公にしたダイヤのAって感じる
単行本だと最後の文字のシーンが修正されてるのと
その後が少し追加されてましたね
東京の反対側の決勝書くとか言ってたけど需要なくてやめたのかな