11巻は「恐怖それ町」だ!という帯の通り、いわゆる推理モノが盛りだくさん。
確かに「外天楼」でミステリー漫画もグンバツに面白く描ける事を証明した石黒先生ではある。
つってもさ、「それ町」は「それ町」なんですよ。
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たまにミステリーやるから際立つんであって、ミステリーばかりだと逆にどうなの?と思ったり思わなかったり。
といっても、本格的なミステリーでもなくあくまで「それ町」という日常漫画の中のミステリーなので安心だ。いつも通りの面白い「それでも町は廻っている」である。
ん、通常通り
相変わらずまったく嬉しくもないパンツである。
僕は漫画で描かれるパンツが大好きなんですけど、歩鳥のパンツほど有り難みも嬉しさも感じないパンツは珍しいですね。とはいえ「それ町」でも、エビちゃんのパンツは最高だったし、紺先輩のパンチラを超待ってるんですけどね。歩鳥のパンツだけは僕の心のパンツレーザーに引っかからない。
また、11巻の後書きで石黒先生は以下のようなコメントをしてました。
長く読んで下さっている読者さんの中には薄々お気付きの方もいらっしゃると思いますが、この漫画は時系列がバラバラです。エビちゃんとデートしてるタケルを気安く小突いてた筈の紺先輩が、タケルを前にアガっちゃったり、歩鳥の髪が長くなったり短くなったりするのはそのです。「それ町」は歩鳥の高校3年間のどこかを描いてます。
33話の紺先輩、82話の紺先輩
歩鳥の弟を「おい、タケル!」と呼び捨てにして「デートか?」「OiOiオ~イやってくれるね」と気安く小突いていた紺先輩(33話)と比べると、11巻82話の紺先輩はタケルにどう対応したものかと困惑しております。
紺先輩と歩鳥が知り合ったのが1年の冬(1巻11話)であり、そこから宝探しや(29話、2年夏)や、台風でお泊り(41話、2年秋)をタケルと一緒に過ごして小突いて軽口叩けるぐらいの仲になったので、82話は歩鳥2年(紺先輩3年)の春であろうと推測できるのです。
ふむ。
以前から公然と「それ町」の時系列はバラバラでシャッフルされているのは明らかでしたが、こうして石黒先生のコメントで正式に語られるとまた違った感情を抱きますね。
「ワンピース」のロジャーが、この世の全てを置いてきたから探せと言っているようなものである。「それ町」は時系列バラバラだから探せ!作中でヒントは全て描かれている!と言われたように思える。
ならば、探そう!
11巻の時系列は以下の通りだ!
82話「最後の謎」(2年春)
83話「闇に棲む声」(1年春休み&5月)
84話「夕闇の町」(2年夏)
85話「紺先輩は謎だ!」(2年夏休み)
86話「非行少年非行少女群像劇」(1年夏休み)
87話「陰謀は霧の中」(2年秋)
88話「ミラクルスーパーラッキー指輪」(2年秋)
89話「現代版まだの紐」(2年冬)
※歩鳥の学年
これ1つずつ根拠でものべようか。
82話は前述の通り。
83話「闇に棲む声」はタッツンと針原さんを「高校でできた友達」と静姉ちゃんに報告する事から、中学卒業後の春休みに缶蹴りして幽霊の噂が1年5月に広がった事が分かる。
タッツンと針原さんを「高校でできた友達」
このように作中に歩鳥が何年の何時の出来事かはなんとなく分かる。
83話「闇に棲む声」は時系列の根拠の他に、サラッと大事なラーニングポイントを迎えている。いや、別に大事じゃないんですけど、高校生活を送る歩鳥にとっては大切な格言を静姉ちゃんに教わっているのである。
探偵訓
「探偵訓」である。
一つ、人を見た目で判断する奴は探偵失格であります。
この教訓は1年の5月に静姉ちゃんに教わったのか。
知ってる人はピピーンと来ることでしょう。これは歩鳥の心の中に刻まれている「心の家訓」である。後の歩鳥の探偵としての教訓に多大なる影響を与えたのである。1年の春に教わったのを「心の家訓」としていつまでも胸にしまい続けるのであった。
歩鳥の心の家訓
「人を見た目で判断する奴は探偵失格であります!」
この「心の家訓」は1年の5月に静姉ちゃんに教えて貰った受け売りだったんですね。これは胸熱ですよ。
さらにディープに追求して紐解けば、歩鳥に教えた静姉ちゃんの「人を見かけで判断するな」は祖父からの受け売りであります。
客を見かけで判断するな
過去の回想に出てくる亀井堂店主である亀井堂静の爺ちゃんが孫に言っていた「客を見かけで判断するな」である。26話「少女探偵誕生」で始まる名言が元となって、「人を見かけで判断するな」が現在の歩鳥にも受け継がれている。今尚、歩鳥の心の教訓になっていると思うと胸が熱くなるな。受け継がれる格言である。
84話「夕闇の町」ではタッツンを「タッツン」と呼び、真田がソバのトラウマ(2年秋)の前なので2年夏休み前と分かる。でさ、夏休み中にユキコがニンテンドーDS(みたいなの)を無くすのであった。ゲームを独り占めしたいという心情からお盆に田舎帰って爺ちゃんにソフト買って貰った後であろう。
んで…。
ユキコゲーム機失くす
ユキコがニンテンドーDS失くしやがった。ソフト(ワニクエスト9)ごと。
83話はお盆で田舎帰って爺ちゃんにソフト買って貰った後の夏休みの出来事である。こうして嵐山家からニンテンドーDSが消えたのであった。
ニンテンドーDSを再び発見したのは2日後、62話「踊る大捜査網」である。62話では一昨日なくしたDSをタケルがドングリを使って捜査するというエピソードでありました。
62話「踊る大捜査網」
84話「夕闇の町」は一読するとよ謎の現象が起こっただけにみえて、62話「踊る大宇捜査網」に繋がる発端エピソードでもあるのである。このように、読み返すと「お!」という発見が随所にあるのが「それ町」の魅力であります。
85話「紺先輩は謎だ!」は2-A組で補習受けてる、86話「非行少年非行少女群像劇」はタッツンが歩鳥を「嵐山さん」と呼ぶので1年夏と分かる。
87話「陰謀は霧の中」は、半袖や薄着でタッツンに「歩鳥」と呼び捨て、「私、夏にうなぎ食べに連れてってもらって以来、うなぎブーム来たかも」と述べてる。
39話を指しているのであろう。2年秋の出来事だと分かる。ついでに、嵐山家の庭の物干しが折れてるので41話の台風直撃のすぐ後であろう。
夏にうなぎ食べに連れてってもらって
それ以上に、87話「陰謀は霧の中」を読めば、39話「夢現小説」の解答である事も分かる。
「夢現小説」は何段にもわたる夢オチの連続で、結局39話「夢現小説」の歩鳥のエピソードは何が夢で何が現実だったのか不明でありました。
家で寝てて全て見た夢だったように見え、その中で現実に起こったものがあったのが分かる。
39話「夢現小説」
何が現実で何が夢だったのかは分からなくなったけど、少なくとも静姉ちゃんにうなぎを食いに連れて行って貰った事は現実の出来事だったようである。
「フハッ、うんまコレ、うんめっ」とうなぎの味に驚く歩鳥であった。そして静姉ちゃんに「ウナギと穴子のすり替えトリック」と話を振っていたけど、穴子どころじゃないすり替えトリックが起こっていたなんて。
88話「ミラクルスーパーラッキー指輪」(2年秋)
紺先輩の指輪を部屋で発見するという話。
紺先輩の指輪発見
これ読んで41話「大嵐の夜に」を読むと伏線というか小ネタというか、石黒先生すげぇってなる。台風が来るので嵐山家に泊まりに来ていた紺先輩。寝る直前まで確かに指輪をしていた。
41話「大嵐の夜に」
影絵をする時まで指輪を付けていました。
そして寝る時に、枕元に指輪を置いているのである。
そこから歩鳥の寝相の悪さにボッコボコにされてしまうわけで、蹴り飛ばされベッドから落とされた時に指輪が部屋に転がったと分かる。
さらに突っ込むと、87話「陰謀は霧の中」の紺先輩は指輪をしていないので、88話は87話の直後である。台風が来て嵐山家の庭の物干しが折れてる短い間に、51話→87話→88話が数日ぐらいの間で連続していると分かります。
89話「現代版まだの紐」は、タケルが4年生なので2年冬。ついでに、エビちゃんに「伊勢崎さん」と言ってグーパン入れられているので、33話「実に微妙なカード」の後であろう。
そんな感じで、時系列は以上の通りである。
そして読み返せば読み返す程、また違った発見があるのが「それ町」なのである。何度も読み返してしまう。スルメを食うように、噛めば噛むほど味が出てくる。
総括すると紺先輩ペロペロ(^ω^)という事である。
紺先輩
やはり紺先輩の可愛さは只事ではない!
歩鳥の為に俳優のサインを貰おうと頑張る姿、サインを「アラシヤマクンへ」と書かれて喜ぶ顔、歩鳥にプレゼントするときの笑顔。最高に可愛い!紺先輩はどんだけ歩鳥の事が好きなんだよ!
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