名作確定やんけ…。
『可愛いだけじゃない式守さん』が見事に完結しました。くぅー!感無量である。もはや10巻超えたらグタグタになるのがデフォのラブコメというジャンルで最期までダレることなく失速することなく面白かった。むしろ途中からがこの漫画の真髄で期待以上の傑作となった。
途中でニヤニヤして悶絶すること多数。ガチ泣きしちゃうこと無数。青春の煌めきってものをこれでもかと濃厚に摂取できました。史上稀にみる大傑作です(断言)。
※マガポケなら基本無料で読めます。
インスタント漫画だったはずが…
5話
『可愛いだけじゃない式守さん』はタイトル通り高校1年時の初期はショートラブコメでした。
「ぼくの彼女はとても可愛い」ではじまり、式守さんのイケメンっぷりを披露して、式守さんは可愛いだけじゃなく格好良いというギャップがウリ。
ツイッター発のショートラブコメとしてクオリティ高く何度もニヤニヤしたもの。こういうバズりやすいショート漫画ってインスタントラーメンのようにお手軽なのが良いところ。読み終わった後は「可愛かった」とか「尊かった」という感想を胸に抱くのみです。
23話
はぁ~尊い…(ラブコメっぷりに)。
ただ数ページでお手軽に摂取できるインスタントラブコメって数巻で飽きると言うか慣れるんですよね。しかし、『可愛いだけじゃない式守さん』の凄いところは、途中から青春群像劇に舵を切ってインスタントラブコメから骨太の青春漫画に進化を遂げたことでしょう。
公式の「尊さ1000%ショートラブコメ」という謳い文句も途中からフェイクだよ。「尊さ10000%の骨太長編青春群像劇」ですよ。
青春群像劇になってからが本番
48話
はぁ~尊い…(友情っぷりに)。
和泉と式守さんがイチャコラするだけでなく2年生に進級して文化祭や体育祭あたりから、2人の友達の「猫崎」「八満」「犬束」「狼谷」を主役に据え、彼ら・彼女たちの視点で物語が展開する群像劇に変化していきます。
和泉に横恋慕してた狼谷さんと、式守さんのフレンズのひとり猫崎さんの友情は普通に泣いてしまった。恋をしたことで成長した狼谷さんと、ずっと彼女を気にかけてた猫崎さんが打ち解けたのは言語化するのが不可能な巨大感情がある。単行本のオマケの横断歩道はあざやかな感動を生む。
青春偶像劇になってなってからの面白さはうなぎ登り。
もちろん初期のインスタントラブコメも面白かったけどね。
2年の体育祭はこの漫画屈指の名エピソードでしょう。表情筋が死んでる八満さんの視点で描かれたわけですけど、やる気無かったのがどんどん勝ちにいくようになり、手に汗握るリレーは下手なスポーツ漫画よりも燃えました。
56話
はぁ~尊い…(青春っぷりに)。
ネタキャラでギャグキャラだった表情筋無しの八満さんの笑顔が胸に熱いものをこみ上げらせる。無表情ヒロインの境地を見たね。途中の「がんばれ…がんばれ…」も表情含めて胸熱すぎた。
各キャラを深掘りするようになり、そこで描かれる紆余曲折やトラブルの数々がすごく良く描かれてる。どのエピソードも極上で、ガチのマジで感動する。
いつのまにやら各キャラに感情移入している自分に気付く。主人公変えて色んなキャラの視点で描かれる青春偶像劇は数あれど、青春ラブコメで本気で何度も泣いたのは数少ない。
読者をそこまで引っ張る筆力は凄いとしかいいようがない。はじめはインスタント漫画だったのに…(驚愕)。
広がって繋がる人間関係
「くっ…〝くまむし〟か…!?」
「ム…ムキムキチョモランマさん…?」(136話)
( ;∀;)カンドーシタ!
濃厚なヒューマンドラマとしても一級です。
最初は和泉くんと式守さんのイチャコラする2人の世界からはじまり、2人の友人である猫崎さんと八満さんと犬束くんが加わり、2年文化祭から狼谷さん、修学旅行から猿荻くん、3年に進級して新1年の隼瀬リサちゃん…と世界と人間関係が広がっていく。
そして増えて広がった世界観は繋がっていく。猫崎さんと同じバレー部だった狼谷さんは、式守さんと八満さんと知り合い仲良くなったり。リサちゃんを思い出す式守さん。
八満さん(ムキムキチョモランマ)とリサちゃん(くまむし)がネットゲームで知り合いだったエピソードは特にグッときます。ただネトゲの知り合いだったでなく、ドラマ仕立ててで泣かせにくる。
なんつーか、この漫画は名作エロゲ・パルフェの言葉を借りれば「お前の周りの世界は…お前が考えるよりも…ちょっとだけ優しいんだよ」に集約されてる。本当に優しい世界でいいやつばかりだ。
男友達すら最高か
142話
泣かすなよ…親友…。
私はラブコメにおける男友達ってのがいまいち乗れないし好きじゃない。むしろいらないとすら思ってる派です。
初代ときメモの早乙女好雄の連絡先を勝手に教えてくれる(個人情報ェ)ぐらいの存在ならいいんですけど、ときメモ2の匠や純一郎のように恋愛にしゃしゃり出てくると「うへー」となってしまう。
仮にスポット当たったり友情エピソードやられても冷めた目で見てしまうんですけど、今作の犬束秀はめちゃくちゃ良いキャラだった。感情移入すらしたぐらい。最終巻のオマケでしか恋愛模様が描かれなかったし、親友の良いヤツで輝きまくってた。
ラブコメ漫画の男同士の友情がこんなにも尊いとは…。この漫画は心象描写がベラボウに上手いんだよなぁ。
犬束の心象描写を自転車でひたすらたったひとりで走り続ける事からはじまり、途中下車して歩くようになってからの、和泉と並走描写は芸術的ですらあった。心象描写だけでなく2人でリアルにサイクリングしたのだろう。
ファイナルアオハル
163話
3年時のイベントは文化祭、体育祭、クリスマス、初詣、みんなで海に出かける…というものを駆け足で過ぎていく。1年間を短く描く。しかし、短いながらもギュギュっと濃縮した濃厚な密度のアオハルがありました。
どれも単行本で後10冊分は描けそうな出来事を駆け抜けていく。もったいないと思うと同時に大満足の最後の高校生活となってる。特に台詞もなくみんなで笑いあってるシーンが頻繁に挟まれ、ファイナルアオハルをこれ以上ないぐらい表現してました。
キャラ達が全く喋ってないのに、その表情や仕草や雰囲気が生き生きとしすぎてる。仲間だもんげ!これまでの紆余曲折でみんな仲良しになったからこそ醸し出されるサイレント描写コマの数々が芸術の域でした。
成長してる
なにより『可愛いだけじゃない式守さん』最大のキモは成長することです。各キャラみんなどんどん成長していく。
美味しいの作れるようになってみせるから待ってて(13話)
例えば式守さんなら最初は料理がド下手だった。むしろ完璧超人だっただけに、料理が出来ないってのは萌えポイントにもなりますが、その後、和泉の母と料理教室に通ったりとしっかり頑張った。
そして本当に料理が上手になったのでした。
言ったじゃないですか。「待ってて」って(82話)
式守さんが料理下手が上手に成長したのを筆頭に本当に各キャラの成長が分かりやすく描写されてます。
ラブコメはしばしば同じところをグルグル回る「山の手線」と揶揄されますが、『可愛いだけじゃない式守さん』はまったくそんなことない。エピソードが進むたびにしっかりキャラが成長していく。セーブ機能がちゃんとある。
だからこそ終盤のフレンズの成長っぷりにも、メイン2人の成長っぷりにも万感の思いなのです。カタルシが半端ない。
伏線と回収
下の名前
175話
和泉くんと式守さんは下の名前が不明であった。お互い「和泉さん」「式守さん」と苗字で呼び合う。
なのに脇役は作中や単行本のオマケやフルネームが直ぐに判明していく。なぜかメイン2人だけ苗字しか分からない。
和泉くんは親から「ゆう」と呼ばれ、式守さんは猫崎さんから「みっちょん」、和泉母から「みーちゃん」と呼ばれました。
2人ともフルネームのプロフが単行本に掲載されないし、作中でも苗字かあだ名でしか呼ばれない。和泉くんは「ゆう」だけか「ゆう○○」、式守さんは「み」が付くしか分からない。
故に2人が下の名前をはじめて呼んだのはフルネームが判明するのと「イコール」なのです。そのカタルシスと破壊力はとても言葉にできません。
はじめて名前を呼ばれました
悶絶。
「みっちょん」「みーちゃん」と呼ばれた式守さんの名前は本当に綺麗な名前だった。これまで溜めに溜めた名前判明イベントをここで出したと唸る。
逆にお返しとばかりに和泉くんの舌の名前を呼ぶ(=フルネーム判明)は、式守さん史上で最高の可愛さと格好良さを叩き出す表情と台詞だった。
そうか…余はこの瞬間の為にこの漫画を読んできたんだな…と悟るレベル。はじめて名前を呼び合うイベントが「これまで」の物語があったからこそ。
修学旅行の続き
「和泉さん何か言ってませんでした?」
「―うん。またいつか言うよ」(100話)
記念すべき100話。修学旅行の帰りの新幹線で2人はファーストキスをしたラブコメとして最強インパクトのイベントをしました。あれはまじ神ってたよ。
そこでキスする直前に和泉は式守さんに何か言ってました。作中では残念ながらトンネルに入った音で掻き消えて、式守さんにも読者にも何を述べたか不明でした。
和泉くんは「またいつか言うよ」と。この「またいつか」はいつだろう?作中でしっかり明言されて答え合わせしたわけじゃないけど、やっぱ2人のはじめての名前呼びのところでしょう。
これからもずっとぼくと一緒にいてください
初期から「そばにいてください」「一緒にいてください」と式守さんから守るって意味合いで言われてた和泉くんだからこそ、逆にね。ほぼ実質プロポーズのような言葉。これをファーストキスの時に言って聞こえなかったと知ったので、引き延ばし、ここぞで言ったと思う。
最初から「好き」「好き」言いまくるラブラブカップルですが、恋愛初手でもある名前呼びと一緒居てってのを最高のドラマで達成した物語だったと総括できる。最終巻オマケで成長した2人の守護られるだけでなく守護り合うや「一緒に~」でずっと一緒のくだりは感無量ですよ!
まったく!最高の青春物語でラブコメだったぜ!
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語源化→言語化?