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『YAWARA!』現在の柔道ルールでも猪熊柔は無敗なのかを検証する!

柔道漫画の金字塔『YAWARA!』の猪熊柔ちゃんは試合を無敗で最強女子でしたが、当時と今では柔道のルールが大分違う。

 

今のルールで柔ちゃんは無敗でいられるかの検証の続きです。

VSセーヌ大学(バルタル)

ジジイの愛情と勘違いした短大卒業前の団体戦試合。勝てば「鶴亀トラベル就職OK!負けたら西海大じゃぞ!」の甘言にまんまと騙された団体戦は勝ち抜き戦でなく点取り試合であったでござるの巻き。

 

それでも柔ちゃん以外で死に物狂いで+2勝して勝ち切った三葉女子短大は素晴らしいメンバーが揃ってた。柔ちゃんの試合は先鋒の「VSバルタン」を瞬殺でした。

第5回全日本選手権

1回戦「VS鹿視」 秒殺一本背負い勝利
2回戦以降カット オール一本勝ち
準決勝「本阿弥さやか」 数十秒で一本背負い勝利
決勝戦「伊東富士子」 秒殺一本背負い勝利

 

最強ライバル(自称)のさやか嬢との試合が準決勝で、決勝戦は親友富士子さん(藤堂由貴を倒して勝ち上がる)ってドキドキワクワクする試合。でもやっぱ柔ちゃんが最強なのよね!

 

19巻9話

 

「本阿弥さやか戦」「伊東富士子戦」も危なげなく圧勝。現行ルールとか関係無しに格の違いを見せてました。

第13回全日本女子柔道体重別選手権(48キロ)

決勝戦「VS大林和恵」 一本背負いで勝利

 

決勝以外カット。決勝も圧勝。

福岡国際

決勝戦「VSブリジッス(イギリス)」 一本背負いで勝利

 

決勝戦でイギリスのブリッジシを投げ飛ばして優勝してました。

第6回全日本選手権

1回戦~準決勝 決勝含めオール一本勝ち
決勝戦「VS藤堂由貴」 秒殺一本背負いで勝利

 

さやか嬢も富士子さんも参加してない全日本選手権決勝で藤堂由貴と3戦目をして「電光石火」で勝利。おそらく秒殺でしょう。オール一本勝ちで連覇しました。

第14回全日本女子体重別選手権(48キロ)

一回戦「VS岡村」 不戦敗

 

不戦敗。

柔ちゃんはエントリーするも大会に姿を現さず。さやか嬢が優勝。

全日本女子体重別選手権(VS本阿弥さやか)

バルセロナ五輪代表を決めるトーナメントである。

1回戦「VS大垣典子」 秒殺一本背負いで勝利
2回戦「VS?」 秒殺一本背負いで勝利
3回戦「VS斎藤」 秒殺(12秒)一本背負いで勝利
準決勝「VS?」 秒殺一本背負いで勝利
決勝戦「本阿弥さやか」 作中屈指の名試合で辛勝

 

モブキャラなのに柔ちゃんと三度も試合した大垣典子はこの漫画のレジェンドかもしれない。最後の試合秒殺負けでも、3度も相まみえた者として我らの歴史に刻もう。そして決勝まで楽勝。

 

決勝戦の相手は本阿弥さやかである。公式戦3度目の試合であり、ここまで不戦勝含めて全て秒殺で差し歯ポロリがお約束だった自称ライバルがガチのマジで超強敵となって立ちはだかる。

 

24巻10話

 

ハデ好きで目立ちたがりのお嬢様が寝技に活路を見出して地味な寝技で蟻地獄に嵌める。

 

ジョディやテレシコワは最初から柔ちゃんと互角以上の強者だったのに対し、さやか嬢は秒殺負けが当たり前の遥か格下だったのに「打倒!猪熊柔!」を旗印に死に物狂いで努力を続け、最後の試合ではまったく手が届かなった柔ちゃんの背中を捉え、あと一歩まで追い詰めたのは感動的ですらある。

 

冷静に考えればサラブレッドな血統で幼少期から柔道叩き込まれた柔ちゃんに比べ、高校から柔道はじめて数年で追いついた(寝技のみなら遥かに凌駕)さやか嬢はこの漫画で一番の天才だったかもしれない。

 

現行ルールで見てみよう。

まずは序盤の抑え込みである。

 

24巻9話

 

最初の抑え込みは現行ルールだと10秒で「技あり」20秒で「一本」。15秒経過までは描写されてるので「技あり」奪取。20秒経過したかは不明。もし20秒経過してたなら勝利であった。

 

続く締め。

 

24巻9話

 

これも今の寝技攻防はなかなか「待て」がかからない判断基準だと、そのまま締め落とされてた可能背が高い。その後の腕十字も完全に決まってはいないので、寝技では圧倒するも結局敗北。

 

最初の抑え込みが何秒だったか次第で勝ってたかもしれないって感じ。この試合もベストバウトで途中で腕十字取り右腕負傷させたのにそこを狙わないさやか嬢に矜持が感じられた(『Happy!』の竜ヶ崎蝶子とは大違いだ)。

 

VS本阿弥さやかは現在ルールだと抑え込みが20秒経過なら負けてたが判断付かず。

バルセロナ五輪(48キロ級)

1回戦「VSゴンザレス(キューバ)」 秒殺一本背負いで勝利
2回戦「VS?(ハンガリー?)」 秒殺一本背負いで勝利
3回戦「VSクラウス(ドイツ)」 秒殺一本背負いで勝利
準決勝「VS李(中国)」 一本背負いで勝利
決勝「VSマルソー(フランス)」 激戦を繰り広げ一本

 

フルシチョワが1回戦で無名のマルソーに敗れる大波乱ではじまった48キロトーナメント。決勝ではそのマルソーが相手。実はさやか嬢と同じく父・猪熊虎滋郎の弟子でした。

 

柔ちゃんの「この人…強い…」も飛び出す強者で激戦を繰り広げる。

 

試合は専売特許の一本背負いを食らって「技あり」を取られる。その後は攻めまくるが3つとも「有効」止まりでマルソーの「技あり」ポイントが大きく立ちはだかる…という試合展開。

 

27巻6話

 

がしかし!現行ルールなら「有効」が「技あり」なので2つ取った時点で合わせ「一本」になります。

 

VSマルソーは現在ルールだと「有効」2つ取った時点で柔ちゃんの勝利。

バルセロナ五輪(無差別級)

1回戦「VS玉(韓国)」 一本背負いで勝利
2回戦「VS?(ベルギー)」 一本背負いで勝利
3回戦「VSマルチネス(キューバ)」 一本背負いで勝利
準決勝「VSテレシコワ(FUN)」 死闘を繰り広げた
決勝「VSジョディ・ロックウェル(カナダ)」 死闘を繰り広げた

 

バルセロナ五輪無差別級は因縁のテレシコワと準決勝で当たり、ジョディとは決勝戦で当たる。どちらも屈指の名試合を繰り広げました。

VSテレシコワ

ソ連崩壊で引退寸前だったのにおしること不屈の闘士で4年前以上の強者になってたテレシコワ。はじめこそ悪役っぽかったのに良いキャラになったものです。

 

 

先にポイント取ったのは柔ちゃん。「有効」を取ったのもつかの間、即座に「有効」を取り返されてしまう。両者一歩も譲らずポイントこそ無いが凄まじい攻防を続ける。

 

息を付かせぬやり合いの均衡が崩れたのはテレシコワが裏投げで「技あり」奪取。すぐに柔ちゃんも「技あり」返し、最後は「一本背負いVS裏投げ」の真っ向勝負。どちらもポイントアウトオブ眼中で一本だけを狙った死闘でした。

 

現在のルールに当てはめると、序盤2人が「有効」取り合ったのが「技あり」。そして次にポイント取ったのがテレシコワで「技あり」を奪取。今ならこの時点で「技あり」2つで柔ちゃんの敗退です。

 

VSテレシコワは現在ルールだと先に「技あり」2つ取られ柔ちゃんの敗北。

VSジョディ

29巻3話

 

JK時代に練習試合して再戦の約束をして…まったく実現せず。5年後のバルセロナ五輪無差別級決勝戦ではじめて公式戦で当たるとか王道スポーツ漫画のど真ん中な展開で燃えまくる。

 

試合も伝説と言っていい名勝負。会場のお客さんどころか『Happy!』でもセルフパロディした日本中がTV見ながら興奮の坩堝になる演出が鳥肌もの。

 

試合の流れはジョディが序盤に大きくリードして、終盤に追いついて、最後までお互い「一本」取りに行って攻め合うものでした。

 

開始5秒で対落としで「有効」を取られる。そして柔ちゃんは「有効」を取り返すものの、速攻でまた「有効」を取られてしまう。さらに「技あり」も食らうと試合前半はジョディが完全に圧倒してました。

 

29巻4話

 

これを今のルールで検証すると、開始5秒で「技あり」取られて、すぐに取り返すも即2度目の「技あり」を食らって合わせ「一本」で敗北。なんと柔ちゃん今のルールだったらジョディに秒殺負けである。

 

VSジョディは現在ルールだと秒殺で負けてた。

まとめ

そんなこんなで現行ルールに当てはめた検証の結果は以下の通り。

 

  • VS権守(巌流寺高校)…場外でも寝技継続なので負け
  • VS藤堂由貴(エキシ)…先に「技あり」2つ取られて負け
  • VSジョディ(練習試合)…「技あり」と「抑え込み10秒」で負け
  • VS本阿弥さやか(代表決定戦)…抑え込み20秒経ってた可能性あるので負けかも?
  • VSテレシコワ(バルセロナ五輪)…先に「技あり」2つ取られて負け
  • VSジョディ(バルセロナ五輪)…「技あり」2つ速攻取られ秒殺負け

 

確実に負けなのは5つ。さやか嬢戦は抑え込みの秒数が分からない。さらに東京五輪見て分かる通り今なら寝技してたら「待て」はほぼかからんので締め落としてた世界線もある。5敗は確実で、もしかしたら6敗だったかも。

 

現在のルール「技あり」と「一本」しかない事と抑え込み20秒で検証すると、ミラクルガールの猪熊柔も普通にポロポロ負けてたという結論です。

 

 

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ヤマカム

コメント

  1. 匿名 より:

    年末に凄い熱量を、昔のヤマカムさんのような情熱を感じた。アニメ版しか見ていないけど、『YAWARA!』懐かしい。

    個人的にはテレシコワが好きだった。水谷優子氏による、冷徹と激情を併せ持った演技が凄く良かった。
    アニメ版(アトランタ五輪編)では、テレシコワとの対戦がほぼ全てカットされたのが悲しかった。

  2. 匿名 より:

    令和にYAWARAの記事を読めるとは…
    ルール大分変わってますね。連載中にソ連崩壊して、テレシコワが大変な目にあったんでしたっけ。時代を感じるなぁ

  3. squake より:

    作品上の扱いとして柔は最強なので、ルールが改正されたなら、改正されたルールで勝利するとは思いますが、どう勝つのか考える楽しみは有りますね。
    それより、時代が現在になったなら、ソ連崩壊に振り回されず、テレシコワとフルシチョワが万全の状態だったらどうなるのかも興味が有ります。ついでに新型感染症も無しで。

  4. 匿名 より:

    ヤマカムさんが柔道に詳しいとは驚き。「効果」「有効」が廃止されていたとは知らなかった。『YAWARA!』の世界観なら、ルールが変わっても結局は柔が勝つでしょう。

    この作品は30年以上たっても面白い(バブル時代の社会情勢を知らないとわかりにくいが)。だが、主人公が無敗のスポーツ漫画は、どうしても好きになれない。

  5. 匿名 より:

    効果、有効が廃止されたら、技あり以上を取ってる描写じゃないとポイントにはならんやろ?
    効果、有効と技ありでは、意味が全然違う。

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