スポンサードリンク

『コレクターズ』(西UKO)が素晴らしすぎた件


コレクターズ 2 (楽園コミックス)コレクターズ 1

喧嘩するほど仲が良いとはよく言ったもので、『コレクターズ』(西UKO)のカップルはしょっちゅう喧嘩します。女同士のカップルで百合作品(?)であります。百合作品というと女の子同士のカップルが思い浮かべがちだけど、『コレクターズ』は社会人同士のカップルの話。

「楽園」本誌&web増刊で大好評のオトナな女子ふたりの社会人ガールズラブ、待望のコミックス。GL読者のみならず4コマ漫画の新境地を拓く最先端の洗練された作品です。

<試し読みできます>

『コレクターズ』(白泉社enet直リン)

タイトルの『コレクターズ』とはコレクター2人。

本が好きで部屋中を本でいっぱいににする仁藤忍と、洋服好きでクローゼットを埋める岡崎貴子の趣味も価値観も違うコレクターな2人。

とにかく綺麗なんですよね。絵柄も2人の関係も雰囲気も「キレイ」というのが率直な感想。何気ないやり取りも恋人同士の関係もかっこよく洗練されている。クールでスタイリッシュな百合作品って感じかな。からっと乾いているんだけど染みわたる読後感があります。全2巻でよくまとまっていました。

スポンサードリンク

仁藤忍と岡崎貴子は理想的なカップル

1

コレクターズ

忍と貴子はしょっちゅう喧嘩します。やれ本買い過ぎだとか服買い過ぎだって理由で。趣味も性格も違うのでぶつかりまくり。まあ、本気で喧嘩できるって事は互いに素を出して正面から向き合って言いたい事を言い合える関係でもあるので良い事でもありますけどね。

いつも喧嘩する2人だけど根底は似た者同士でもあります。1話ラストでは喧嘩したものの2人でまったく同じ事思ってましたからね。

あんな風に部屋中「本・服」だらけって

あいつ引っ越しする気絶対ないよね…

一緒に暮らそうよ(結婚しようよ)っていつになったら言ってくれるのかなあ…

『コレクターズ』の面白いところは言いたい事をどうどうとぶつけ合える関係の忍と貴子なのに肝心な一番伝えたいこと(伝えて欲しいこと)が言えない事でしょう。内面もさらけ出して正面から何でも自分から言い合うくせに「一緒に暮らそうよ」だけは相手から言って欲しいって両者が思っています。

これが最後にめっちゃ効いてて一本取られた心境です。はい。

2人の関係と友人が良い味出してる

2

2人の友人が良いスパイス

忍と貴子の共通の友人が良い味出しているんです。既に結婚してる友人と男をとっかひっかえしている友人もいて呆れつつも温かくメインの2人を見守っています。バラエティに富んだ友人の中にいる女性同士のカップルというのが良い。

というのも社会人の同性同士のカップルですが、それが当たり前という風に受け入れられているから。女性同士のカップルだからこそといった暗いところなどは特に描かれず、かといってお花畑のような女同士でかわいいかわいい的なのが至高ってファンタジーでもない。どちらかといえばリアル路線なんだけど、女性同士でもそういうカップルもいるよねって感じの世界観。

2巻「16.5話」では事情を知らない男(忍に片想い?)が「…もったいねー」「でも女でしょ」とちょい悪態付きつつも2人を認めている様子が実に良いです。あんまり男性が登場しない作品ですが、忍の先輩と後輩は串カツ食べる時のキャベツぐらいの良い。

ライトなのにディープ

3

似た者同士の2人です

2人の関係は付き合ってるし肉体的な関係もあるけど、普段は仲の良い親友のような感じなんですよね。カラッと乾いてるし、よう喧嘩して言い合うし。まわりも含めて同性同士だから重いって印象もない。すっきり軽やかにライトなんですよ。

だ・け・ど!ディープでもある。2人がお互いを思うモノローグなんて詩的でもあり深く深くつながってんだなぁって分かります。ライトでもありディープでもある絶妙な温度なんです。軽やかで重すぎず甘すぎることもなく苦すぎることもなく、まさに「この温度!」「この味わい」って丁度良さがある。

例えるなら、伝統の日本料理ですよ。あっさり味かと思いきや味わって食べるとダシが効いててとても深みがあるみたいな。軽すぎる関係でもなくかといって重すぎる関係でもなく。甘すぎることなくかといって苦すぎることもなく。ぱさぱさしてるようでしっとりしてるっていうか。見事なフィット具合。

あー!味と温度と空気が絶妙すぎる。

この丁度良さこそ『コレクターズ』の醍醐味よ。

2人は強く焦がれている

4

この2人は良い

喧嘩してイチャイチャして。第三者が2人を優しく見守って。とても幸福感が味わえる。なにより特筆すべきはモノローグの良さでしょう。日常の中でお互いが強く焦がれる心情が綴られます。4コマ形式の中で1話のラストで忍か貴子が吐露する一文の心情で締めくくられることが多く、これがとても心地良い。心の中では繋がってることが分かります。

そんな2人ですが2巻では山場がけっこうあります。特に心の琴線に触れたのが特別編の「La fin de girlhood」と25~26話と続く最終話。「La fin de girlhood」は忍がロングからショートに髪型を変えた過去のイベントが描かれて、より2人の絆が理解でき掘り下げてくれます。

何よりも25話から最終話までの流れよ。終盤の一大イベントは素直に感動しました。落として上げて日常系百合作品の物語をドラマチックにこれでもかと盛り上げてくれました。

そして1話の伏線と、通常回で2人が吐露する詩的な一文の心情が、全て最終回で大スパークしていましたね。ラストを読んだ後の心が浄化されるような清々しさはちょっと言葉にできませんね。コレクターズな2人が本や服よりも大切なものがある完成度高い作品でした。満腹満足。まる。

となりのロボット

となりのロボット

posted with amazlet at 16.12.25
秋田書店 (2015-02-27)
スポンサーリンク
スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする