「げんしけん」二代目も弐、通算11巻目が発売されました。
表紙を飾るのは波戸、吉武、矢島の3人。先代の「げんしけん」が男オタクばかりで共感していたら、腐女子編(?)に突入して共感するとういうより卒業生のげんしけんメンバーのように外から「げんしけん」を見てるという立ち位置になってしまいました。
しかし、女性ばかりの「げんしけん」も面白いですね。
理解はまるで出来ないんですけど。11巻はほぼコミフェスに参加するお話。
荻上の中学の時の同級生・中島が嫌なやつ全開でも薮崎が超いい人全開だったり、スーが薮崎に懐いたり。ちょっとホロリとくる良いシーンでした。
「スー、ヤブー、好キ―」
11巻は波戸くんの乙女心全開っぷりや、斑目総受けが本人に知られたり…と見所満載でしたけど、個人的にグッときたのはスーことスザンナ・ホプキンスの変化ですよ。例えるなら、ロボットヘレナのような、少年ピーノのような、フランシーヌ人形のような…つまり人間になる的な、感情が芽生える的な。
「げんしけん」の中での一際デフォルメされ記号的に描かれているスー。
初登場時から何を考えているのか分からない系のキャラを完全に確立させていました。
それもそのはず、スーはオタク系パロ言語以外はほとんど喋りません。
のっけから「アンタバカァ?」「ヒトガゴミノヨウダァー!」と名言連発。大野さんやアンジェラが英語で吹き出しで横文字で喋る中でもまった会話に加わりません。ひたすら、「…」かオタク名言しか発しないので、この娘は何を考えているのか、本音を喋らないのか、と思うものです。
そんなスーが唯一自分の言葉でしゃべったのは、荻上の同人誌を買おうとしたらプレゼントされた時。
―Thanks
来日時ではほとんど日本が理解できなかった(と思われる)スーが「プレゼントフォーユー」と同人誌を差し出せば、照れながら「Thanks」と初めて横文字の吹き出しで英語を発しました。
何を考えてるか分からない娘が初めて自分の言葉で本音を発したのでした。そして戻ってきて、サインをねだるのに横文字で英語で喋るスー。
そのまま荻上がお気に入りになったようで懐いていました。感情を表に出さず、自分の言葉で話さないのがスーですので、たまに見せる感情や本音を発した時はグッとくるし可愛いですね。
そして2度目の来日。
2度目の来日時ではサラッと日本語マスターしていたスー。初来日時と違って、自分の言葉を喋ってるようでいてオタク名言を忘れない感じ。来日早々にコミフェスで笹原&荻上の様子が以前と違うことを感じ取るのでした。
リア充の空気を感じ取ったスー
リア充の空気を一目で感じ取ったスー。
なかなかの洞察力です。
そして、相変わらず何を考えているのか分からないスーが自分の感情を見せたわけですよ。
「あずまんが大王」の神楽ばりにシャックリを止める療法で笹原のミゾオチに一撃入れたのでした。荻上を取られたのが気に入らないという感情があっただろうに、自分のアニメや漫画の名言をパロするキャラを上手く被せて誰もスーの心の機微には気付きませんでした。
荻上と笹原が付き合ってると知って何か寂しそうに国際展示場を見上げているスーが印象的。
興味深いのは、2人が付き合ってると知ったスーは前回の来日時には荻上ベッタリだったのに、ちょっと距離を取ったのか大野さんに引っ付いた事ですよ。
荻上&笹原から距離を取ったスー
今まで荻上さんの後ろを背後霊のように付きまとっていたスーが距離を取ったのでした。
まるで空気を読めないのがスーのスーたる由縁だったのに、この娘なんて空気を読んでいるんでしょうか。荻上さんから離れて笹原との間の邪魔をしません。
1日目(?)2日目(?)のコミフェスが終わった後に荻上さんの家に泊まる事になったスー(服装的には2日目っぽい、コミフェス最終日→新年が同じ服でパンツだし。
ってか、この頃って冬は2日開催だったかも)。
笹原との仲を認めていない(?)し、ちょっと距離を取っていたスーですがその距離が0になったスー的に名シーン連発だったのが荻上さんの家でのお泊りですよ。
荻上がシャワー浴びている間に、荻上さんに笹原からメールが来ていたようで「サッキ、メール来テタヨ」と教えて上げたスー。
荻上&笹原のメールのやり取りを(読んだかどうかは不明)目の当たりにしてスーが溜息付いたのは外せません。
スーの溜息
なんすか、この「もう仕方ないな」的な溜息の付き方は!
メールが来てるのを見て、荻上を笹原に取られちゃってムカついて寂しくなったけど、まあ荻上が幸せならいっか的な、認めてやるか的な溜息である。
そして「げんしけん」でも屈指の名シーンである
スーの髪を荻上がドライヤーで乾かして上げる際でのやり取りが胸熱すぎるってものですよ!
『…やっぱり何考えてるのか分かんね…』(心の声)
「…でも、大野先輩が反対すんのもしょーがねょなァ…」
「しょせん、オタクなんて…うわヤベ、言葉出てこねえ!」
「ちょっと前の私ならいくらでもオタクの悪口並べられたのに!」
『オタクとの距離なんて、もうメチャクチャだ。笹原さんのせいだ』(心の声)
「…こーゆー劣等感はスーにはきっと分かんねよ」
「スーは自分がオタクで恥ずかしいって思った事無いっしょ?」
振り向きそうになる(?)
オタクの劣等感云々で振り向きそうになったスー。
視線を初めて荻上に向けて反応を示しました。本音を言わない、何を考えてるか分からない、年齢不詳のミステリアスのスーもオタクの劣等感とか恥ずかしいと思った事があったのでしょうか。真意不明ですけど、スーの心をグッと掴んだ荻上の独り言。
そして荻上の語りは続きます。
「だからもう分かんねまま日本来て、それでいいと思うけどね」
「スーの好きなように行動してさ、その方がみんな楽しいだろし」
スーと荻上
「私もきっと楽しい」
スーは好きなように行動すればみんなも荻上も楽しいですってよ!
スーは思わず荻上に抱きつき、以後は本当にスーの好きなように行動するのでした。
つまり荻上の後ろを再び背後霊のように引っ付くようになるのである。
笹原&荻上に遠慮して距離を取ってたスーがまたまた荻上に引っ付くようになったのです。
コミフェス最終日もその後の成田山でも荻上に引っ付くスーの可愛さはただごとではありませんでした!
また荻上に引っ付くようになったスー
なんかスー的にも荻上&笹原を認めたかのような感じの胸が熱くなるワンシーン。
下卑たる笑いと2人をチャカすスーが良い感じですよ!
あまり感情を表に出さずに、本音を言わないスー。
特に先代「げんしけん」では、被保護者的な側面があったのがスー。
荻上さんにしても大野さんにしてもスーは子供っぽい、保護する対象として扱っていました。
で、11巻でのスーの変化ですよ。
新入生と一緒にどこかに遊ぶに行く描写に加えて、荻上さんに対等な関係でアドバイスするシーンは何か成長したなと思わずにはいられません。
荻上にアドバイス送るスー
「波戸ハ、現視研以外デハ、イツモ、ヒトリ」
「男友達ハ、本当ニ、斑目シカイナイ」
「ダカラ、今ハ少トモ、現視研女子ハ」
「波戸ノ同類ダト、強ク意識サセナケレバナラナイ」
今まで何を考えてるの分からない系のキャラとして確立してきたスーの視点に立ったりしてスーが何か主役に、現役の「げんしけん」のメンバーになってるんだってばよ!
しかも、笹原には「あずまんが大王」のパロでぶん殴ったりした、作ってるキャラでなく本気で怒ったり自らの意志で本気で殴ったりしたもんだ。
なんかスーがグッと身近になるってものですよ。
スーは先代「げんしけん」では感情を出さないキャラで、「げんしけん」特有の漫画表現である汗をほとんどかかないキャラでもありました。それが11巻では…
感情をあらわにしたスー
マジで怒ったり、汗をかくスー。
先代「げんしけん」に比べると、めちゃんこ人間臭さくなったのですよ。
被保護者というより、対等に付き合う仲間を見つけたみたいな。
成長というか、仮面を被ってたのを脱ぎ捨てたとうか。今までと違って、本音でしゃべるし感情を出すのですよ。中島に対する台詞など純度100%のスーの本音ですよ!すっごくスーが可愛らしいわけである。
そうえば、未だに「げんしけん」を卒業出来ていない斑目に対しては適格なアドバイスを送っていた(?)のも印象的です。
斑目にアドバイス送る
「チャント、失恋シナクテモ前ニ進ム方法ハアルヨ」
「新シイ恋ヲスレバイイ」
この後はホモホモしい同人誌を見せたわけですけど11巻では斑目に新しい恋の予感を感じさせるものが来るのである。アンジェラが斑目を好きだったとか言い出してアプローチをかけまくるわけですが、それを面白くないと思う波戸くんと、本気で怒るスー。
スーまじで怒ってます
アンジェラに蹴りを食らわせて本気で怒っていたスー。
朽木くんと斑目のホモホモしい関係にも本気で怒って殴り倒したスー。
今までの感情を露わにしないスーとは一変して人間らしい、味わい深いキャラになったものです。そして「新しい恋をすればいい」と言っておいて、アンジェラ&朽木をぶっ倒したわけですが、2人が斑目の相方として役不足だったのか、荻上を取られて笹原ぶん殴った時のようにお気に入りの斑目が取られそうになって気に食わなかったのか、斑目との仲間意識によるものなのか、それとも…。
しかし、感情豊かに人間臭さが増したスーの可愛さはただごとではないですね。
スーの可愛さは僕の心の琴線を鷲掴みにするレベル。
スー可愛いよ、スー。
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