panpanya先生の最新作『動物たち』読了!
本当に味わい深いのぉ(しみじみ)。今作は「動物」に焦点を絞った作品となっています。日常で見かける動物なんて犬か猫ぐらいしかいませんけど、『動物たち』は実に様々な動物を日常のシーンで描きます。ま、中には非日常的なエピソードと動物もありますが。
収録されている作品は以下の通りです。
残念だったこと、ついていけない日の過ごし方、朝ぼらけ、引っ越し先さがし、引っ越しの日、引っ越した夜、引っ越し先のルール、引っ越しの可能性、100年後の日常「家」、「楽園」ご紹介漫画、年越しと本、猯、貉、示談の手引き、手段、正直者の傘、グラスホッパー・アドベンチャー
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全17本の短編集。『動物たち』も本当に珠玉の内容でしたわ。
基本1話完結の短編集のようでもあって、主人公のデフォルメされた女の子はどの作品でも変わらないストーリー性すらあります。これこそpanpanya作品ですよ。
動物たちにテーマが統一されてる『動物たち』も変わらぬ「味わい」があります。マジでpanpanya作品の味は中毒性すらありますわ。
動物たち
残念だったこと
個人的にpanpanya作品のキモは「日常の何気ない出来事の具現化」と「デフォルメされたキャラとは一線を画する奇妙で面白いリアルな背景」の2つだと思うんですよ。今作1話目収録の「残念だったこと」もその良さがが引き立ちまくり。
例えば朝のニュース(というかワイドショー)で支度をしている時に、占いってやるじゃないですか。特にフジと日テレで。別に占いなんて気にしないぜとは思ってるものの、自分の星座が最も悪いと言われた日にゃ、何かソワソワしてしまいますよね。ラッキーアイテムは◯◯ですなんて言われちゃそれを持とうとするのも人の常よ。
「残念だったこと」もそういった日常のあるあるを見事に漫画に落とし込んでいるエピソードです。痒いところの手が届くというか普通に生活してたら見逃すような出来事やついつい日常で行動することを漫画に見事に落とし込んでいるんです。独特の切り口で。panpanya先生はどういう者の捉え方して世界を見てるんだろうと関心してしまいます。
「引っ越し~」シリーズは特に秀逸。
引っ越すことに関する素朴なあれこれを描くんですけど、「すっげぇ分かる」って納得しちゃうイベントの数々よ。例えば「引っ越しの日」。
引っ越しの日
春から社会人となるので引っ越すことになった少女。
引っ越す日に住んでいた回りを散歩してお昼を食べることに。そこで入った定食屋。今まで駅への目印で背景の一部としか認識していませんでした。あるある!住んでても入ったことない景色としてしか認識してない店って誰でもあると思うんですよ。
そういうちょっとした事をエピソードとして描くのがpanpanya作品の面白いところ。「引っ越し」シリーズは引っ越しイベントの「あるある」が濃縮してましす。引越し先決め、引っ越すのが寂しくなる、引っ越し先の最初の夜、引越し先での戸惑い…などなど。思わず膝を打つ話ばかりです。とても良い。
そしてpanpanya作品最大の特徴は味ありまくりな背景です。
背景が最高最高アンド最高!
登場人物はデフォルメされた可愛らしい人物とは裏腹に、描かれる背景は妙にリアルでいてちょっと怖いぐらいの不気味さまであります。それが素晴らしすぎる。思わず1コマ1コマに描かれている背景をずっと見ていたくなります。
キャラと背景のギャップが半端じゃない。背景だけでもじっくり鑑賞できる素晴らしいものであるし、少し怖いぐらいの背景は可愛らしい少女が大冒険しているようでもあります。「女の子+リアルでちょい不気味な背景」の組み合わせは何とも言えない妙なクセがあります。
動物たちがむちゃくちゃかわいい
貉
今作はタイトルが『動物たち』と動物をテーマにしています。描かれる動物たちがとにかわいらしいのです。基本無表情なんだけど仕草や行動がいちいちかわいいのなんの。動物たちのかわいらしさを全面に出しているともいえる。
特に「猯(まみ)」「貉(むじな)」という日常じゃ聞かないアナグマの俗称。助けた動物に懐かれて…という話なんだけど思わずほっこりしてしまいます。「動く物」で動物ですし、人間だって動物ですから人物と同じタッチで描かれています。(哺乳類のみ)
魚類や両生類や昆虫は背景と同じくリアルに描かれており、哺乳類だけは人間と同じデフォルメされて可愛らしく描かれる。この辺りはpanpanya先生のこだわりでしょうか。というか哺乳類の動物たちは第四の人物(犬)と同じですね。
panpanya作品は基本4人の登場人物がいる
登場キャラの主な面子
panpanya作品の主要人物は基本3人です。1人は主人公の少女。学生だったり、社会人だったり、フリーターだったりと役を話によって変えてますがビジュアルは全て同じ。2人目は主人公の少女と友達の女の子。(知り合いでない場合もあるけど)そして3人目が目が1つで耳から喋る人。大人の役をしています。
この3人が役は違えどビジュアル同じメインの3人。で、もう1人登場することがあります。それが犬です(その他役で複数の場合もある)。本当に犬だったり、立って喋って人間の役割をすることもあります。メインの3人プラス犬(たち)がpanpanya作品の登場人物です。
で、今作の『動物たち』は改めて4人目の登場人物・犬(たち)を刮目するようになりましたね(小並)。人間役でもかわいいと思うようになりました。はい。新しい楽しみ方を提示してくれました。
というわけで、とても味わい深く読みました。
panpanya先生の独特な世界観は素晴らしいとしか言いようがないね。何気ない日常の視点、凄すぎる背景、かわいい動物たち。どのエピソードも面白く『動物たち』を満足してpanpan堪能しました。本当におすすめです!まる。
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コメント
記事を読んで気になったので枕魚を読んだらはまりました。
特に街中を探索する話がたまらないです。
他の作品も一通り買ってみます。