今更感が強いんですけど『アオアシ』(小林有吾)めちゃくそ面白いです。特に最近というか、アシトがAチームに上がってからの「うおおおおお!」「これどうなんだー!」って盛り上がりが半端じゃないです。熱すぎるぜ!
愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)。
粗削りながら、強烈なサッカーの才能を秘めているアシトだったが、
まっすぐすぎる性格が災いして、大きな挫折を経験することに―――そんなアシトの前に、東京にある強豪Jクラブ「東京シティ・エスペリオン」の
ユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)が現れる。アシトの無限の可能性を見抜いた福田は、
東京で開催される自チームのセレクションを受けるよう勧めて!?将来、日本のサッカーに革命を起こすことになる少年の運命は、
ここから急速に回り始める!!
※サンデーうぇぶりなら基本無料で読めます。
アオアシ
サッカー漫画で珍しくユースを題材にしてるのも特徴的。高校生の部活としてのサッカー漫画は数多くありますけど、ユースを掘り下げてじっくり描くのは珍しいかなと。J1の強豪「東京シティ・エスペリオン」のユースに所属する青井葦人の成長物語なり。
ストーリーが分かりやすい
1話
愛媛の中学部活に所属していたアシトのもとへ、「東京シティ・エスペリオン」ユース監督の福田達也からユースセレクションを受けにくるように誘われることから物語はスタートします。いわく…。
俺には野望がある。俺の作り上げたクラブで、世界を手中に収める。世界への踏み台じゃない。我がクラブこそが世界だと。バルサもマドリーも、マンチェスターも、ミランも、叩きつぶす。
世界のビッグクラブを叩き潰す宣言です。現状のシステムだとクラブワールドカップぐらしかない日本のチームガチンコできないけど。それだってヨーロッパチーム前日入りとか本気じゃない(ように見える)。今やミランとかもう完全に格落ちしてるけど。
だから世界を取るも夢物語で荒唐無稽です!でもOK!夢はでっかく持たなきゃね。かの『キャプテン翼』だって日本にプロなかった時代にデッカイこと言ってましたから。
だから、ミクロでは主人公アシト個人の成長物語として面白いと同時に、エスペリオンの大物メンバーまでが「福田の野望達成」って目的を見据えてるのがマクロで見ると面白い。アシト個人の物語でチーム全体の物語でもある。
なによりもとても勉強になる。サッカーの戦術はもちろんのこと、ユースとはどういうものなのかといった事細かなこと、指導者の立ち位置、プロ意識やユースにおける人間関係や学校生活などが「はえ~知らなかった」と唸ること満載。それらを分かりやすく描いてる。
アシトの武器「俯瞰してフィールド」を見れる視点
16話
アシトの才能「俯瞰してフィールドを見れる」が面白さのキモです。スポーツ漫画の主人公は何かしら才能を持ってる天才なものですけど、アシトの場合は初期から一貫して「俯瞰してフィールドが見れる」が提示されており、それをどう使ってのし上がっていくかが最高なんです。
まるで上空からフィールド全体を見渡してるような広い視野を持っている。むしろそれしかない。テクニックがあるとかフィジカルが強い(アシトは下手くそ)でなく、視野の広さをどう生かして試合に生かして成長していくものがミソなり。
これはテレビでカッカー観戦してる時とかサッカー漫画読んでる読者にとってめちゃくちゃ分かりやすい。
日本代表の試合とか観戦してる「逆サイド空いてるよ」「あっちにパス出せよ」と素人は思うけど、実際にフィールドでプレイしてると見えない…というのも分かりやすく作中で説明してる。思わず「そうだったのか!」と膝を打つ。
また、サッカー漫画読んでる読者だと試合を俯瞰して見るものだからね。まあ、ぶっちゃけ初期の頃の試合描写はゴチャゴチャしてますが途中からどんどん洗礼されていき、人も試合の流れも飲み込みやすくなってます。
113話
この辺は作者がサッカー漫画を描くのが上手くなったとしか言いようがないんだけど、コマの隅っこで走ってるヤツとかなんかフリーっぽいやつとかのフィールド視点描写や上空から俯瞰した描写を上手い具合に入れ、あとで意味を持たせたりする。
だから読者がゲーム見る楽しさとアシトの能力はマッチしてて、単純にサッカーの試合が面白い。流れを読める。
「考える」「言語化」する大切さ
いいぞ。言語化できてる。
サッカーとは考えるもので考えてプレイしたことを言語化させる大切さを描いてたいるのも特徴的。なぜ?どうして?「そうなったのか」をきちんと丁寧に説明します。だからあまりサッカーに詳しくなくても「成程!そういうことだったのか!」と理解できる。
基本的にストーリーは「壁が見つかる→その壁を乗り越える」の王道少年漫画そのものなのですけど、マンネリ感はまったくありません。それはアシトに立ちはだかる「壁」が、単純にどんどん強敵ってインフレしてるだけでなく、「じゃあ何が足りないのか」を明確にする。
アシトやチームメイトが「どうすれば壁を乗り越えられる」かが説得力あって描写わけです。論理のサッカー王道漫画です。これが最高潮に達するのがコンバートで、「これはそういうことだったのか!」って伏線にもなっており思わず再読してしまう。
やってることは単純明快な「壁が見つかる→乗り越える」って少年漫画のようなストーリー展開ですけど、なんか窮地で覚醒したとかパワーアップしたでなく、きちんと言葉で説明されて課題を克服していきます。
159話
その前提でユースの選手たちに議論させて考えさせるってのもたまらんばい。最初から監督がアドバイスしたり戦術を語るのでなく、選手たちに考えさせててからの手ほどきをするって姿勢。
Bチームの頃から「選手がフィールドで気づき話し合い自分で解決することが理想」って語られていました。Aチームになってもとりえず選手に考えさせ話合わせるって姿勢よ。
育成のユース!
1話から変わらない芯がズッシリと通じている。
Aチームになってからが最高オブ最高
169話
もとから『アオアシ』はユースを題材して丁寧に課題をクリアしていくアシトの成長物語として面白かったけど、やはりBチームだったのがいまいち乗れなかったんですよねぇ。読者的には「最高の舞台で最強の相手」って戦いでないとイマイチ盛り上がらんからな。
『あさひなぐ』も主人公が覚醒したの遅かったけど、これがスピリッツのスポーツ漫画のお約束なのかもしれんな。で、アシトは紆余曲折の努力と成長を描いた上でAチームに上がって試合に出て活躍。
ここまで「ユースの壁」「二軍のBチームでもレベル違う」「Bチームの所属するリーグの対戦相手」「Aチームの壁」と段階的に超えてきた末でたどり着いた、トップの最前線。そこのカタルシスは並みじゃありません。特盛です。
Bチームでも気持ちいいぐらの、スッキリするカタルシスは何度も味わってきたけど、やはりユースの一軍…プレミアリーグで活躍した盛り上がりは段違いでしょう。「焦らし作戦」してるかのような前振りでしたからね。Aチームの活躍!これが見たかったんや!(もちろんプロのトップチームが先にあるけど)。
で、最新17巻でもちゃんとポジション取ってるわけです。
174話
アシトがレギュラーで「これを新生エスペリオンの布石にできるか、見せてもらう」とか期待値が跳ね上がるってもの。しかもアシトだけでなく、チームメイトの人間ドラマもあった上で「エスペリオン」ユースチームが出来上がった感です。
これまで長い長い助走だったのかのように、今こそジャンプしてる状況なんですよ。積み重ねたものがここで一気にきてる。めちゃくちゃ熱い!どちゃくそ面白い!
理論サッカー漫画でカタルシあったけど、それはあくまでBチームで「もっと上」がある前提だったからな。Aチームは普通にもうバトル漫画やアクション漫画やスポーツ漫画と同じノリで活躍すればそれだけで「うおおおお!」だもん。満足度が最高潮。
ラブコメ戦線もぐう熱や!
花ちゃん
ようやくアシトがAチームに上がったのに比例してサッカーだけでなく盛り上がるのがラブコメ模様です。ヒロインの一条花ちゃんは、初期からアシト贔屓でファン一号でした。義兄の福田監督とプレースタイルが似てるのが理由でしたけど、最近のラブのコリっぷりはヤバイですね。
アシトがAチームになったらスーパーファインプレーをしちゃって気まずくなって会えなくなるのも悶絶する破壊力だったけど、「その後」の気まずさと噛み合わないのがまた甘いだけでなくビター味で素晴らしいです。
サッカー漫画としても最高潮ならば、ラブコメ漫画としても最高潮って熱量がありますね。同時にアシトの危うさも見えるけど、ニヤニヤもできる男女の機微があります。はい。
二軍で溜めて溜めてからの大爆発となってる『アオアシ』。サッカーもラブコメも「今」が最高潮になっていると言っていいでしょう。いままで見たかったものがここにある。ぷよぷよでいえば、20連鎖くらいの威力に違いありません。楽しみすぎるんだってばよ。
今一番面白い漫画まであるで!
※サンデーうぇぶりなら基本無料で読めます。
コメント
これ今のサッカー漫画の中じゃダントツ面白いですね。
初期のチームメイトと打ち解けていく流れとかも好きなんですけど
スポーツマンガは才能が発揮されていくシーンのカタルシスが強いですもんね
デレそうでデレない阿久津をヤマカムさんがどう思っているのかちょっと気になるw
私は逆にBクラスのほうが面白かったな
SB転向が当初からの既定路線とはいえ
俯瞰能力発動→ゴール の必殺技感が
俯瞰能力発動→ボールを奪う というただの長所レベルになった感じが・・・
今もゴール奪うのに俯瞰は使ってるよ
攻撃も守備もできる最強プレイヤーになりつつある
SBへのコンバートから成長が著しくて一気に面白くなっていったわ
初期組である大友の成長も爽快感あるし
ただ最近の展開がパターン化されてきていて新鮮味が無くなりつつあるのがちょっと気になる。
それでも今年のサッカー漫画ではこれとマイぼーるが2強だわ
ラブをスルーされるお嬢…
個人的には14巻138話でお嬢の想いが全っ然アシトに響かないで花のこと考えている場面が見ちゃおれんって感じで、報われない片恋好きな俺は好きなんよ
ああいうののせいで花ちゃんの人気にも悪影響あると思うんよ
お嬢みたいに健気にアピール続ける子がいる中での花ちゃんみたいな勝利を約束されたヒロインは素直に応援できないよね
アオアシに恋愛要素いらねー
作者の好みなんだろうけどなんであんなの入れるんかな
最近、阿久津がツンデレ化してるし…
この年頃は精神面も成熟してないし、色んなことの影響を受けながら成長していくのはむしろリアルやと思うけどね。
意味のない恋愛描写があるわけじゃないし、全然あり。