今週のヤンジャン(13号)から峰浪りょう先生の新連載『少年のアビス』がスタートしました。まだ1話なのでなんとも言えないけど不穏なニオイがプンプンするでござる。たぶん名作になる予感がする。久々にダークな峰浪りょう作品です。
この人、本当にキタナイ思春期の狂った心情を描くのがうめぇな(褒めてます)。屈折して捻れてしまってる頭のネジ飛んだボーイミーツガールの深層とでもいいましょうか…。
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『少年のアビス』
ワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール
黒瀬令児
『少年のアビス』の主人公はど田舎で暮らす男子高校生の黒瀬令児。進路はこの町で就職希望。家庭の事情(兄が引きこもりで祖母が認知症で母が働いてる)で「オレ町を出れないんですよ」とのこと。さらに幼馴染の男からはパシリにされる日々。
自分の人生を半ば諦めており、自嘲気味に過ごしている。そんなとき少年はあるコンビニ店員に出会い物語は動き出す。そのコンビニ店員が大好きなアイドル「アクリル」というグループの青江ナギだったのでした。
なんでアイドルが田舎町でコンビニ店員してんねん!とか、冒頭の心中をする間柄になる紆余曲折はなんやねん!とか疑問が多々あります。しかもこの出会いは(おそらく)破滅への物語というニオイを醸し出すのでした。
僕の死(いのち)が始まる
深淵(アビス)へ―
なにこの破滅へ向かってレッツゴーみたいな出だし…。
心中するための物語なのか?ヤベー予感しかしない。しかしこのヤバイ危険なニオイこそ峰浪りょう先生の真骨頂なのかもしれません。ゾクゾクしちゃうもん。
峰浪りょう版『惡の華』?
自分が1話を読んで感じたのは峰浪りょう版の『惡の華』中学編って印象かな。閉鎖された田舎から出れないって思春期特有の行き場のない憤りをグツグツ煮込みつつ、仲村さんっていうヤベー女子と過ごすことが、頭いかれてんだけど楽しいとか心の底では思っちゃうような青春みたいな。抜け出そうと、あっちへ行きたい…みたいな。
『少年のアビス』にもこのへんの機微を感じられました。
もちろんディテールは全然違うけど、田舎で閉じ込められてる感じがカゴの中の小鳥状態であり、そこから出してくれるのはヤベー女子で出れたみたいな。闇だと思ってた日常から光へ…みたいな。それはもっと闇じゃんみたいな。知らんけど。
おそらく『少年のアビス』の黒瀬令児くんも、青江ナギのおかげでカゴからでは絶対に見ることができなかった、いつもお決まりのつまんねーものとは違った新しい景色を見せてくれるのでしょう。黒いボーイミーツガールになると思われる。めちゃくちゃ楽しみですね!
心中へのカウントダウン?
冒頭の1ページ目
うれしい…。
一緒に死んでくれるんだね令児。
冒頭は近い将来なのでしょう。
そこから予想するに、黒瀬令児と青江ナギはただならぬ仲へなっていくのでしょうか。「一緒に死んでくれるんだね」とかいうセリフや、「少年は愛する女性と光を目指して―」って煽り文から、2人は心中する関係になることが伺えます。
そこに至る紆余曲折が気になる。
なんたって冒頭のシーン「情死ヶ淵」は作中で小説の元ネタになってる民話がありますからね。何でも江戸時代に美しい女性がここへやってきて一人の男と相思相愛になるも、村を出ることも結婚も許されず心中したそうな。それが冒頭のシーンへ繋がるのでしょうか。
これからの展開に期待大すぎる。ゾクゾクと鳥肌が立つ良い意味でヤバイ作品になりそうです。若者のやり場も行き場も無い感情を、暗い闇の中で溺れてるよな心情を描くことに定評のある峰浪りょう先生ですからね。絶対名作になるヤツやでコレ…。
1話目で胃が痛くなるような掴みでぶっ刺さりまくりです。
あと、個人的にすっげー気になるのはシャフ度のような振り返り。
その振り返りは?
この漫画、主人公の令児くんへ向けて振り返るシーンがやたらと多いし強烈なシーンにもなっています。まるでシャフトアニメみたいな振り返りですね。あくまで個人の意見だけど、法則性のようなものが見える(気がする)。
シャフ度みたいだ
令児くんに対して左から顔を振り返って出してるのは「救い」とか「手を差し伸べてる」とかそういうった光とか明るい要素に見えるんですよね。
生きる糧にもなってるアイドルの青江ナギ動画とか、ベビーフェイスな幼なじみ・チャコとかは左側から顔を向けてくれる。ポジティブな振り向きである。
対して、逆の右側から令児くんへ向けて振り返るキャラたちは「絶望」とか「抜け出せないで足を掴んでる」とかそういった暗黒の要素を比喩してるかのように見えるんですよね。パシリにしてくるヒール幼なじみとか、「零くんいなかったら死んでるわ」とか抜かす実母とか。
呪い…かな?
偶然なのか作者が計算して描いてるか知らんが、右側から顔を向けて令児くんに振り返るシーンが正反対の意味合いを感じられる。つまり、右からの振り返りは闇!一生この町に捕らわれてるんだぞ!出られないぞ!って。
左右の振り返り
・左から…自由になってええんやで的な光
・右から…永遠にこの町で過ごすんやで的な闇
そんな比喩がある(ような気がした)。
分からないけど。
そういう意味で捉えると、冒頭の近い将来の青江ナギとの心中シーンは意味深だよなあ。右側から振り返ってきやがるんだもん。その心中はカゴの中からの脱出ではないのではないんじゃないかと想像したり。ま、まだ1話なんで何ともですけど。
そんなこんなで、新連載『少年のアビス』は超面白くなる名作になりそうやで。良い意味でヤバすぎる刺激と檻の中に閉じ込められてる若者って峰浪りょう先生の真骨頂が満載です。期待大!
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コメント
ヤンジャンの闇ラブコメ枠を元気くんと争うのかな
いやたぶんこの先もコメディ感全然ないヤツだなコレ…
ゾンビのコメディパート好きだったけど作家性を発揮できるのはシリアスなのでしょうね
初恋ゾンビの人って認識だけどヤンジャンで見る事になるとは思わなかったわ。
チャコちゃん気のせいでもなくふとましいけど可愛くね?
確かに面白いわ
少年の心が生み出した偶像感ハンパないけど大丈夫か
これも初恋ゾンビみたいに読者の心を抉る鬼畜漫画になるのかな