『少年のアビス』柴ちゃん先生こと柴沢由里をすこれ！

 

最近の柴ちゃん先生こと柴沢由里は輝いてますねぇ。

 

それにしてもこの漫画は酷い（褒め言葉）。『少年のアビス』ってタイトル通り心の深淵の描写がすごすぎてどんどん酷く最低になってく。この酷さが最高でもある。最高なのに最低なのがたまりません。特にお気に入りは柴ちゃん先生です。

 

というわけで柴ちゃん先生をすこれ！

 

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『少年のアビス』の柴ちゃん先生

真面目系先生だった

1話

 

柴ちゃん先生は最初はポニーテールが似合う地味っぽい女教師でした。あまり印章にも残らないようなキャラだったのに、レイジとナギの心中するところを発見して止めることで舞台に上がってきます。

 

この漫画はキャラクター全員が闇属性なのですけど、柴ちゃん先生もやっぱり闇属性でした。

 

ただ、他の中心人物の闇に比べると大した業を背負ってるわけでもない。卓球選手だったこと、親の決められたルールに沿って歩いてたこと、アラサーになって「結婚まだー？」って言われるのに嫌悪感を持ってたぐらいです。

闇がしょぼいのがいい

ぶっちゃけ「うっわ～」って読者が引くような境遇でないんですよ。教師の仕事が嫌だとか、仕事で疲れるとか、部活の顧問つらい、友達は子持ちで自慢と愚痴ばかりとか。

 

真面目で一生懸命で文武両道、派手な格好もメイクもしないピュアな娘を望んでたくせに今は二十歳で子供産んだ私の友達うらやましがってんの。だから私…私は絶対こんな町で結婚も出産もしてやらないの（12話）

 

うっわ～…。

 

柴ちゃん自身にドン引きですよ。まあ、ある意味では最も等身大の人間が抱える負の感情といえます。閉鎖したようなど田舎の町で暮らしていく事に絶望を抱える境遇がアレすぎる人が多い中で、柴ちゃんの絶望っぷりは生きてれば誰もが抱えるような闇。一番人間臭い。

 

だからこそ、一番ヤベー奴になる破壊力がすごい。

やべー奴一直線

15話

 

29歳にして生徒のレイジとヤっちゃって処女を捨てる。その行動原理もヤベーけど、もっとヤベーのは彼女の容赦なく突き放した物言いでしょう。

 

死のうとしてたレイジの救いになれる存在でもあったんですよ。間違いなくレイジは柴ちゃん先生を救ってくれる女神と見てた。家を出ていいとか自由になっていいと励まして「私が導いてあげる！」の一言にどれだけ救われてたかは表情を見れば分かります。

 

だ・け・ど！

 

柴ちゃん先生はこう言ってのける。

 

私にとってあなたは高校生だから魅力的なの。担任と生徒って関係を、悪いことを誰にも知られずに楽しみたいだけなの（15話）

 

うっわ～…。

 

柴ちゃん自身にドン引きですよ。ここで「2人きりの時は由里って呼んで」とか「ずっと一緒にいようね」とか言っとけば今のような惨状にもならず、ハッピーエンドとは言えないまでもノーマルエンドで慎ましいENDになった事でしょう。

 

ときメモで例えるなら藤崎詩織に一緒に帰ろうと誘ったら「一緒に帰って、友達に噂とかされると恥ずかしいし…」とか抉って断られたようなものです。柴ちゃん先生は間違えちゃった。

 

その後もただれた関係を続けるも、繋がりが欲しかった（と推測される）レイジを突き放す柴ちゃん先生であった。

 

21話

 

幼なじみのチャコに誘われて一緒に東京の大学へ行こうと決めたレイジ。柴ちゃん先生に相談したらポンと受験費用も学費も家賃も出してくれると言い出します。東京に行ってくれれば縁が切れると。

 

柴ちゃん先生はレイジが高校生の時だけ爛れた関係を楽しみたいだけという言葉に嘘偽りがなかったわけですね。この時までは！

柴ちゃん先生は置いてきた

物語はどんどんアビスに沈んでいき中心人物はどんどんおかしな方向へ。

 

複雑迷宮になっていきます。それぞれの巨大感情がゴチャゴチャに絡み合って、変なふうに結び合って、結果的に主要登場人物が雁字搦めで亀甲縛りの状態となっていきます。

 

物語的に超重大局面の連続になる。まさに天下分け目の関が原みたいなもの。…柴ちゃん先生はまったく絡むことがありませんでした。「守れるのは私だけ…」だったはずが、私だけお話に呼ばれない状態が続きます。

最後の縋りを間違えちゃった

そんなお呼ばれしなかった柴ちゃん先生が久々に登場すれば、窮地に立ってるレイジから相談されるのでした。母親のこと、お金が必要なことを嘘偽りなく相談します。ここで柴ちゃん先生はまたミスる。ときメモでいえば傷心度高まって爆弾着火です。

 

32話

 

見てくださいよ！レイジの柴ちゃん先生に絶望したというか見限った表情を！

 

まさに歴史的な瞬間です。柴ちゃん先生は一時は好感度MAXまで高めてレイジを手中に収めたのに、ここまで全ての選択肢を間違えて絶望させるのです。ときメモのデートで全て高感度下げるような選択肢をやるかのごとくヤベー采配です。

 

もう柴ちゃん先生に頼るのは無理と判断したレイジはこの爛れた関係を終わらせてくださいと言い出すのです。なんかもう色々と遅いぞ…。

 

私と黒瀬くんでこの町を出よう。二人で誰も知らないとこに行って暮らそうよ！ユリ。私の名前は柴沢由里。由里って呼んで令児（33話）

 

おっせーよ！

 

15話でコレ言っとけば柴ちゃんルートで「完」だったのに…。

 

チャコとの約束、母親の状況を知った後にコレ言っても遅すぎる。柴ちゃん先生は勝てる分岐がたくさんあったのに自ら放棄して、もう柴ちゃんルートが無いってところで欲しかった言葉を出しても遅すぎる。天下分け目の決戦に遅れた徳川秀忠みたいだ。

 

ラブコメやギャルゲーでいえば、もう柴ちゃん先生ルートは無いって状況下で本気を出してくるのです。そして柴ちゃん先生は卍解するのです。担任という地位を利用してレイジに色々と余計なお世話なちょっかいをかける。尽く高感度をマイナスにさせていく逆神な言動を連発させます。

卍解する柴ちゃん先生

36話

 

柴ちゃん先生…(　ﾟдﾟ)

 

担任って地位で余計な事をしてメッセージもブロックされてると知った柴ちゃん先生はストーカーまがいなことをするようになります。元々やべー奴だったのがさらに卍解してやべー奴に拍車がかかるのであった。

 

37話のモノローグはもはや伝説でしょう。

 

わかるよ？あなたがとても辛いこと。今でもあの日の…見知らぬ女性と手をつないで川に身を投げようとしていた、あの絶望しきったあなたの白い顔が浮かんでくる、。そしてあなたは藁を掴むように私にしがみついて助けを求めてきた。だけど日々に追われるうちに、またあなたは家族に町にのみこまれてしまった。何にも考えたくないよね。逃げ出したいよね。そうだよね。だけどね、そうやっておためごかしで逃避してもね、あなたを取り巻いてる環境はちっとも改善しないし苦しみから逃れる術はないの。あなたは逃げることに怖気づいてしまったんだね（中略）

裏切るようなことはやめて。傷つくから

 

これ5コマ内のモノローグです。コナンやハンターの長文が裸足で逃げ出す柴ちゃん先生の心情ですよ。長ぇーよ！やべーよ！最初は一番人間臭かった等身大のキャラだったのに一番やべー奴と化したギャップが凄まじい。

 

主張人物が超サイヤ人のような闇を先天的に持ってるやべー奴選手権の中で地球人Z戦士のようなしょぼい闇持ちだった柴ちゃん先生が超サイヤ人3にまでパワーアップするやばさです。

 

それを長い長文モノローグって表現方法でみせてくるから「コイツ、ヤバイ」感を引き立てる。峰浪りょう先生の病んでる人を描く漫画技法は天下一品ですね。ヤンデレといいますか、病んでてレイジは私のものだから！と戦う姿が本当にヤバイです。

ヤバイです…

42話

 

ヒロインとしてはレイジに完全拒絶された後の柴ちゃん先生はヤベー度MAXを突っ走ります。物語を引っ掻き回して突き落としまくって笑ってる恐怖の大魔法のような絶望感を炸裂させていきます。というかもう壊れちゃってるよね。

 

人が無敵になる瞬間をはじめて見てしまった！まいったな…。

 

生徒と一線を超えたった普通の感覚なら背徳感や理論などを考えるし、世間体や今の地位や暮らしを守る方へ動くのですけど、タガが外れた柴ちゃん先生は無敵の人と化してるから誰も止められません。

 

なんでこんなことになってるんだろう…と思わせるようなラフプレーを連発させていく。風通の恋愛物語やラブコメなら一番最初に脱落したヒロインなのにゾンビのように蘇って場を乱す爆弾をどんどん投下させていく。おかしいだろ（頭が）。

柴ちゃん先生は独りで戦う

はてさて。『少年のアビス』は各キャラの闇の深いところへ潜って、ドロドロした内面や人間の醜い部分を芸術的に描く愛憎入り交じる作品である。相関図はこんな感じです。

 

みんなレイジくんLOVE

 

男女問わず主要人物がみんなレイジへ向ける感情は「好き」という単純名鑑なヤバイ相関図なわけです。

 

これだけ見るとハートフルで甘さ満載なハーレムみたいですけど、全部の「好き」はどす黒い闇がギュギュッと濃縮してるわけです。登場人物みんな頭がおかしい（褒めてます）ので、モテモテハーレム王国のレイジくんも大変なわけです。

 

みんなレイジLOVEの中でも、レイジ含めて味方や協力者がいるのも面白いところ。そんな中で誰も協力者おらず、下手したら全員敵対状態なのが沢ちゃん先生です。彼女だけこのドロドロ渦巻の中で孤高にひとりで愛を貫いてますからね。より一層ヤベーやつですが…。

 

開戦の報せ

 

 

柴ちゃん先生の強者感が恋愛漫画では断じてない凄みを出してる。

 

レイジとチャコが駆け落ちするぞ…って展開で、おそらくレイジLOVE面子は止めに来るのでしょう。レイジLOVEメンバーは各個人で色んな人と繋がってるのに、柴ちゃん先生だけは誰とも強力も繋がりも無い孤高な存在なのに一番ヤバイのがすごい。

 

凄まじい強者っぽさ。夕子（レイジの実母）と玄（レイジの男幼なじみ）が沢ちゃんをひどい目に合わせる（レ○プ？）フラグを立ててたけど沢ちゃん先生なら返り討ちにしそうな強者オーラを感じさせるのが魔王感を漂わせてる。凄みがある。

 

どう客観的に見てもチャコと結ばれるかナギに人間的感情を出して結ばれるのがハッピーエンドなんだろうけど、ここまで闇に落ちきったしレースから脱落してる柴ちゃん先生を見てると「柴ちゃん頑張れ！」と応援してる自分に気づく。

 

当ブログは柴ちゃん先生のヒロインレース勝利を応援してます！

 

 

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