やっぱりアニメED曲「君は天然色」が核心やねぇ。
OPと通じる部分があり、18歳の姫ちゃんが父・可久士に今現在の状況&認識で出会う物語だったと言える。
それをよく演出しているのがOP曲とED曲のシーンです。原作だけでは補完できない部分を描写してるし、アニメだけでは描ききれてない部分を補完してる。
世界中で歴史上で一番美しい「青色」やで!
あの日見た空の色を姫ちゃんはまだ知らない
姫ちゃんの思い出
私生まれてからずっとこの家にいたから。すごく小さかったけどよく覚えてるんだ。ここから見る障子越しの空の感じ
姫ちゃんが幼き頃の思い出としての中目黒の家から見える青空。実際は、鎌倉の家(現倉庫)での思い出なのですが、可久士は否定せず肯定するのです。「原風景」であると。
場所も、見える青空も違うけど人の心の奥にある原初の風景ですしおすし。
姫ちゃんが見た青空は「すごくいごこちがいいよ」ですからね。
アニメOPの演出がより補完されるんですねぇ(しみじみと)。
姫ちゃんの立つ場所は鎌倉の倉庫(元家)で、可久士が立つ場所は漫画家辞めるまで住んでた中目黒の家。
2人が並び立つのは場所も違うし色も違う。
だ・け・ど!
この家でないけど同じ場所で空を見ていた。この演出がより味わい深くなるのは、結局2人がちゃんと再会できたからだよなぁ。可久士と姫ちゃんはちゃんと向き合って再会したのが最高に泣けた。時空も場所も違う父娘は同じところに立ってる!
おまけの「ひめごと」扉絵の青空もモノログながらキラキラ光る色彩があったな。
伏線と回収と畳職人
で、通してラストまで読むと鳥肌ゾクゾクする箇所が枚挙にいとまがない。全ての伏線と繋がって回収されてる部分を上げてると電話帳のような量になりそうなので、特に重要(?)な部分のみをピックアップ。
個人的に最大のエモポイントは一子先生かな。
4巻
一子…先生
ジャージじゃない!
ご存知、小学生時代のヒメちゃん担任の一子先生はジャージがデフォでした。しかし、未来の一子先生はジャージでない可愛らしい格好してたじゃないですか。
その意味は姫ちゃんの11歳の誕生日にある。
普段ジャージしか着ないから違和感が…
姫ちゃんの誕生日におめかししようとするもジャージしか持ってなかった。
したら、7年前にマリオが見繕ったパーティ用のドレスであった。ぎくしゃくしてる一子先生に対して、マリオは「7~8年すれば着こなせるようになるわよ」と述べるでした。
で、姫ちゃん18歳時の一子先生はこの時のワンピースを見事に着こなしているというね。
こういったゾクゾクできる描写が控えめに言って最高です。さすがは畳職人よ。17歳の姫ちゃんボックスに入ってたつまらない家族漫画についても、「あ、そういう理由で入ってたんすか」と唸るソーズがあったり。繋がっている。
とにかく「伏線」「回収」が絶妙でした。
個人的に一番「あ、これは良いです!凄いです!」と思ったのは単行本の表紙についてやね。
単行本『かくしごと』の表紙
思い出はモノクローム
これまでコミックスの表紙を飾っていたシーンは可久士と姫ちゃんのメモリーそのものだったのです。終盤で単行本の表紙が実はかけがえのない思い出だったんだよ…と判明する演出よ。近年だと『川柳少女』でもありましたな…。
作中でモノクロームの白黒だったあれこれが、単行本表紙では「色を点けてくれ」となってるのも絶妙やね。もう一度そばに来て!華やいで麗しのカラーガールだったわけだ。
ただ父娘のメモリーが単行本表紙(アニメOP曲シーン)となってる中で、引っかかるのは11巻の表紙でしょう。
そも、『かくしごと』は全10巻で終わるはずだったのがアニメ化によって2巻分引き伸ばしたからなり。当初の予定では無かった11巻と12巻。表紙も11巻はどう見ても鎌倉なんだよね。
漫画の原稿を保存してた鎌倉の倉庫(元家)。
11巻表紙だけでなく、可久士が記憶を取り戻すための過去メモリー追従でも鎌倉の階段で姫ちゃんと過ごしたシーンをばっちり思い出していました。
裏を返せば、作中で描かれていないけど昔住んでいた…漫画の原稿保存してる…長い階段登ってたどり着く鎌倉の倉庫(元実家)に小学生時代の姫ちゃんと2人で訪れたってことだよね。
完璧な畳み職人として伏線と回収っぷりを見せた『かくしごと』で、本編で描かれてない読者が想像する余地を残した最終回と11巻表紙です。
可久士と姫ちゃんは2人で鎌倉の元実家を訪れたのは確実。読者に「これは○○じゃなかろうか」って想像する余地があったよね。どういうシチュエーションだったのだろう。私気になります!
「ただいま」「おかえり」
個人的に『かくしごと』のエモエモポイントは2つある(と思ってる)。
白黒のモノローグをきれいな青色にする「思い出はモノクローム♪色を点けてくれ♪→キレイな青色」と並ぶのは、可久士と姫ちゃんの帰るところ。
必ず帰ってくるさ、姫の所へ
結果的に記憶を失っても大団円のように思い出した可久士が姫ちゃんの所へ帰ってくるとう涙がダバダバ出る流れでしたよね。
突き詰めるとモノクロームに色を点けるのと同じぐらいええ演出だったよね。アニメのOPとEDを踏まえるとより一層感動的ですし、何より帰る流れが控えめに言って最高だったんだ。
本人は気づいてないと思います。父は嫌な事や不安があると、縁側から帰ってくる癖がありました。その日も父は縁側から帰ってきました(5巻)
可久士は嫌な事や不安要素があると縁側から帰ってくる。7年前も同様です。『かくしごと』とは、そんな父・可久士が縁側からでなく玄関から帰ってくるための物語だったと総括できる。
12巻ラスト。2人の未来。海が窓から見えていたので中目黒でなく鎌倉の元倉庫に住んでるのでしょう。海にも空にも美しい「青色」のカラーが描かれ、父は縁側でなく玄関から帰宅する。裏を返せば「嫌な事や不安」が無くなったのだろう。
ただいま。
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コメント
当家の干渉は王家の紋章かなぁ
アニメは一話ラストの「一番の幸せは姫が大きく育つこと」を伏線として回収してたし、原作は一話ラストの「無色ってことはいろんな色、いっぱい塗れるね」を回収してたの、さすがの畳み職人
王家の紋章です
王家の紋章ってマンガ自体は知らなかったけど当家の干渉から予想・逆算して考えて多分そうだろうと思ったらそうだった
単行本の姫ちゃん18歳編(カラー)が現代、10歳編(白黒)を過去とすると、
「思い出はモノクローム」の意味が出てきますね。
ただ、一番充実していた時期だとしても、所詮は過去の思い出。
「色をつけてくれ」で今を一緒に生きてくれという意味ととらえました。
人間の目は、青を感じる細胞が最も少なく、青色は感じづらいそうです。(姫ちゃんのセーラー服が紺ではなく灰色なのは関係有るだろうか)
戒潟先生も、色覚の衰えた娘の為に青を強調した絵を描いていたと考えると、後藤先生と仲良く出来なかった事が、本当に残念でなりません。
それとは全く関係無く、読者の立場からだと、カラーページは有り難くありません。単行本になった時に、色が無意味になるどころか、絵が汚くなり読みづらくなるからです。
電子書籍だったら色付きに出来るだろうと思うのですが、紙の本と同じ仕様にしなければならない規制や配慮が有るのでしょうかね。
そして未だ描かれていない未来。姫ちゃんが漫画の道に進み、二代目後藤可久士となるのだろうな。
久米田愛にあふれた良記事!
『かくしごと』を振り返りながら感慨深く読まさせていただきました。
全体的に見にくく読みにくい。
下方向に長くて、話し言葉の長文。
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引用画像は良いと思う。