『川柳少女』第173句:川柳少女
川柳少女最終回!
ついに『川柳少女』も最終回を迎えました。
まったく良い漫画だったぜ。
4コマのショートコメディとして安定して面白かったし、ストーリー漫画となったシリアス展開もグッとくるものがありました。なによりラブコメとして最高だったぜ!
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『川柳少女』
終盤の締め方が凄い
七々子とエイジは修学旅行でめでたく結ばれたので、ラブコメとしては「めでたしめでたし」の状態にもなっていました。もちろん、永遠とイチャイチャしててくれても構わないのですが、最後の決戦の地は遊園地である。
168話
クリスマス、もしお暇ならもう一度…
遊園地、恋人として行きたいな…
はじまったな!
遊園地を「恋人として」行きたいと言う七々子である。物語の締めとしても2人の結末としても相応しい。なんて綺麗な着地点を用意してるんだと。
というのも七々子とエージが初デートした場所だからでもあります(8~9話)。
あの頃はまだ友達の関係だったけど、今は恋人関係ですからね。
しかも、ニブチンエイジのせいで消化不良になったものを、見事に回収して「うおおおおお!」とテンション爆上げとなる完璧なる着地を見せてくれたのであった。感動した!
二度目の遊園地は天下分け目
8句 / 169句
初デート時を意識したのか同じようなコーディネートの七々子もええね。リボンとシャツと(おそらくピンクの)上着である。こうして見ると、七々子は本当に成長したよなぁ(身体の一部が)。
遊園地デートはこれまでの『川柳少女』の集大成っぷりがすごい。
胸だけでなく七々子の成長っぷりもヤバイ。
いやもちろんそこの生長も素晴らしいものがありますけどね。
七々子の成長っぷり
今まで色々あった七々子とエイジの思い出を踏襲してうまーく拾って、よりブラッシュアップして至高のニヤリング展開にしているのです。もう見てられないぐらいの破壊力を生み出す。
例えば2人が買い出しにいった18句「二人でお買い物」である。
のどが渇いたので七々子はジュースを買ってきた時、サイズが3つありました。
「S」「L」「BIG(恋人用)」から選んで買ったわけです。
そこで七々子はウソをつきました。
18句
あ…あのお店、このサイズしか無いそうです
「BIG(恋人用)」サイズしかなかったとウソをついてラブラブジュース作戦を決行したのでした。
そんなエピソードを踏まえた上で、遊園地デートではこのイベントが再びである。
遊園地では「シングル」「カップル」用の2つのサイズがあり、また七々子が買ってくることになります。
懐かしのシチュがデジャブるのに、今度の七々子はシングル用のジュースを2つ買ってくるのでした。ちょっとガッカリするエイジであったが、そこは成長著しい七々子です。平然と読者のハートを奪って悶絶させてくるのです。
なんとシングルサイズのジュースにストロー2本差し出すではないですか!
170句
…シングルの方がカップルサイズより飲むときに顔が近くに来るからです…
はい!可愛い!
圧倒的破壊力である。
以前はウソをついてカップル用のジュース飲み作戦をしたのに、今度は堂々と、さらに超えてくるイチャイチャパワーを見せつけてきたのです。シングルの方が顔が近いからって…七々子さんそれは反則ですよ。読んでて心臓止まるかと思ったわ!
七々子の恋の成長っぷりが半端ないですね。付き合う以前は、ちょっと変化球を投げて好きって気持ちを伝えてたのに、恋人関係になった今はストレート剛速球をど真ん中に投げてきます。どっちにしろ我々読者は簡単に打ち取られてたけどな!火力は増してる。
なんてオフェンス力なの…。もはや「可愛さの鬼」と化した七々子は、読者をドキドキさせるスーパープレイを連発させるのであった。
2人の締めとして「バラ」
『川柳少女』でエモいポイントといえば赤いバラでしょう。作中で何度も使われたキーアイテムでもあります。花言葉は「君が好き」。秘めたる想いを直接伝えられない七々子が取ってたいじらしいところでもありました。
119話
―赤いバラ。その花言葉は「キミが好き」。いつの日か、キミに直接伝えたい。まだ今は言える自身がありません。今はまだ花で隠して送るだけ。このバラの言葉を借りて送るだけ。でも、いつか…目を見て言うね。
赤いバラは「想いを伝えるための花」である。
この宝具のようなアイテムを、2人が付き合うことになった修学旅行では使いませんでした。
じゃあ、これまでの「赤いバラ」関係のエピソードはなんだったのかといえば、遊園地デートのための布石だったのじゃ。2人はクリスマスプレゼントを渡し合うけど、ここで「赤いバラ」キタ―!ってテンション上げ上げさせ、予想を余裕で超えてきた。
赤いバラの花言葉「キミが好き」
・いつか直接言う(言った)
・赤いバラ3つの花言葉は…?(超えた)
また、バレンタインの時のモノローグ。「いつか目を見て言うね」もきっちり実現しており見事なり。想定を超えた言葉でね。
171句
目を見て言ったね。
普通なら、「キミが好き」って赤いバラの意味を伝えると思うものじゃないですか。そんな読者が想像できるラインを余裕で悠然と超えて、尚且ばっちりと伏線を回収した。すっごいよ。
これまでの布石を遊園地デートで結実させる。完璧な物語構成ですわ。上手いなーって唸ると同時に、過去の話がとても大切な話だったと昇華させてくれる。ラブコメを純粋に楽しむことができたました。お手本のようなラブコメの終盤戦。
あざやかな収束は最終回がやっぱり神ってる。
くつひも事件
遊園地デートいえば、「くつひも事件」を忘れてはいけない。
こちらも100点満点中で10000000点にしてくれた。
9句
くつひもが、切れちゃったので、歩けない
はじめての遊園地デートで時間が来てしまいお開きになる時、もっと一緒にいたかった七々子は「くつひもが切れちゃったので歩けない」と可愛らしいウソを付くのでした。したらニブちんのエイジは「バカだな」「お前ヒモ靴じゃねーじゃん!」の返しで台無しですよ。バカは貴様だって部長の叫びが木霊したものです。
これが世にいう「くつひも事件」である。
恋人になってからの遊園地デートでもお開きの時間がきてしまいました。
あの日と同じようなやり取りをするってんだからたまりません。
今度の七々子はひと味もふた味も違うってんだから悶絶ものです。
173話
右の靴ヒモほどけてる
「くつひも事件」再びである。
同じ様に相変わらずヒモ靴じゃないって否定する状況下で放ったあのさよなら満塁ホームラン。目頭が熱くなったんだ。ラブコメの最終回に相応しい。めちゃくちゃカタルシスが味わえる最高の形であった。
最高のラブコメだった!
エピローグも完璧すぎる
遊園地デートでラブコメとしてキレイに「完」なのに加えて、エピローグともいえるのが部長の卒業式です。七々子の最後の川柳もグッとくるものがありましたね。
遊園地デートで恋愛としては完結してる中で全ての事柄を拾ってみせたのがエピローグかなと。
特に良かったのは3点だ。
「写真撮影」と「公園の木」と「構わないどう見られてもキミとなら」です。
えもえもポイント
・公園の木
・構わないどう見られてもキミとなら
・部長の写真撮影
公園の木
まず刮目すべきは意味深だった扉絵の集大成っぷりでしょう。
片隅に一人花咲く桜の木。
最近の『川柳少女』は本編とは別にワンピのように扉絵連載ともいうべきもう一つの物語を進行していました。最初は桜の木にタオちゃんがおり、徐々に人が集まってきてワイワイガヤガヤしていく。
「なんだろうこれは?」と読者が疑問を浮かべる中で、この扉絵シリーズがエピローグのラストに繋がっていたいたというエモすぎる演出である。この場所は、0句や去年のクリスマスで七々子がブランコ漕いでた公園の桜の木だったわけですね。今回のカラー扉絵もここか。
特別編も含めて扉絵シリーズの集大成がラストのラストにある。
この桜の木に全員集合。あまりにも素晴らしい完結だ。
もっと言えば、中学時代の0話は2人からはじまり全員で終わったともいえる。
舞台装置としても公園の木はよい仕事したなぁと。
0句
舞台装置としての「公園の木」
・1人でいたエイジのもとへ七々子が来る(0話)
・1人で落ち込んでた七々子のもとへエイジ現れる(104話)
・タオちゃんからはじまり続々とみんなやってくる(扉絵)
・最後に全員集合する(173話)
人が集まる場所としてこれ以上ないな。
なにより重要なのはこの場所は、人にどう思われようと「気にしない」の精神になったのに相応しいところです。
構わないどう見られてもキミとなら
構わない
どう見られても
キミとなら
なんだこのエモさ…。
イチャイチャしまくってのろけを隠そうともしない意味合いで使うとか芸術的ですよ。
思い返せば、中学の同級生に「七々子ちゃんと一緒にいる事で彼まで周りから変な目でみられるかも」と言い放たれて絶望した際に思い出させた言葉…すなわち2話の七々子の言葉ですね。原初は。
2句
顔が怖いヤンキー風貌なので学校じゃ離れて歩いた方がいいとアドバイスするエイジに言い放った「構わないどう見られてもキミとなら」です。
それが、クリスマスでは変な女の子なので恥ずかしい一緒にいると思いをさせちゃうって落ち込む七々子にそっくりそのままリボンをつけて返した言葉。
「構わないどう見られてもキミとなら」
・一緒にいると怖がられるぞの返し(2話)
・喋るの苦手で一緒にいると変に見られちゃうの返し(104話)
・のろけるにも程があるの返し(173話)
同じ五七五なのに意味合いが全然違うの熱いっすなぁ。
一緒に居ると周りに変に思われると考えてた男女が行き着いた境地!
イチャイチャのろけて変に思われようと「構わないどう見られてもキミとなら」です。
そんなこんなを踏まえて「めでたしめでたし」がラストでしょう。
部長の写真撮影
パシャパシャ
部長が七々子の写真をパシャパシャ撮る。
あれれ?この七々子ってどっかで見たことある格好とポーズだぞ?
そう!
これは『川柳少女』の単行本表紙とまったく同じなんですね。
コミックスの表紙は部長が卒業式の日に撮った七々子の写真だったのか。
これをアルバムの表紙にすると言い、全部で12冊あるそうですからね。
ここまで既刊の12巻までとぴったり一致しております。
途中で琴姉も協力したので9巻の表紙もバッチリ補完です。
単行本『川柳少女』の表紙はアルバムの表紙!
「12冊分のアルバムの表紙=単行本既刊12巻の表紙」となると、最後の1枚は…?
13冊目のアルバムはない。13巻の表紙になるかも分からん。
でも、最後にパシャリってしてるのがミソよ。
この日、部長のカメラはおそらく13枚目の写真を撮る。公園の木でみんな集まってね。アルバムの表紙写真がイコール単行本の表紙だしね。さらに、『川柳少女』という作品自体の比喩になってるメタ側面あるよなぁ。
ズバリ、『川柳少女』は思い出!
素敵なメモリーをありがとう。最高のアルバムを見せてくれて幸せでした。このアルバムという名の『川柳少女』を総括すれば思い出は億千万なり。まる。
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コメント
部長と柔道部はどうなったのだろう?