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『二匹目の金魚』、panpanya節最高!気付いて考えて共感する!

二匹目の金魚 (楽園コミックス)

 

『二匹目の金魚』(panpanya)読了。

まじで好きやわ。読むとグイグイ”panpanyaワールド”に引き込まれてしまう居心地の良さ。それでいて奇妙で不思議な体験を得られる。

 

表題作はじめ「制御に関する考察」「通学路のたしなみ」「かくれんぼの心得」「担いだ縁起」等、著者ならではの描写が輝く19篇。日記も併収。

 

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紙版の帯に書かれてる「取り返しのつかない事」を取り返しに行きましたってキャッチコピーが思わず膝を思わず膝をたたくってもの。

 

なんつーか古臭い町並みからや雰囲気のせいで、ノスタルジーな気持ちになってしまうのですよ。都会人ってのは、こういうのに弱いのです(←都会人をアピール)。郷愁願望が沸々と湧き上げってきてしまう。

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panpanya作品子供の頃を思い出す

今作に収録されているのは「メロディ」「制御に関する考察」「かくれんぼの心得」「冥利」「季節の過ごし方」「通学路のたしなみ」「引き金」「小物入れの世界」「担いだ縁起」「今年を振り返って」「知恵」「開発」「遙かな手紙」「許可」「春の導き」「真偽」「シンプルアニマル」「二匹目の金魚」「海の閉じ方」の19本。

 

どれも違ったベクトルで楽しめます。

 

「メロディ」は、夕方のメロディチャイムの話。夕方5時(地域によって差有り)に流れ出すメロディ。子供たちの帰宅を促すあの音楽です。

 

地域や季節によって違いますがオーソドックスな曲は「家路」「夕焼けこやけ」あたりでしょうか。調べたらマジで市によってバラバラなので人によって故郷によって思い出す曲はバラバラでしょうけど。

 

1

メロディ

 

夕方に流れてくるメロディの出どころが気になって曲の聞こえる方を辿る。曲はすぐに終わってしまうので、途中で出所を追えなくなってしまいます。あー、分かる分かる。子供の頃に不思議に思いませんでした?夕方の音楽。

 

それを調査するのが「メロディ」。まあ、子供の頃の記憶を辿ると、曲の出所を探して追いかけた記憶はありません。なのに懐かしく感じるから不思議だ。まるで自分の過去話のようにすら思えてしまう錯覚。『二匹目の金魚』は子供の頃の「思い出」を上書きできる

 

なかった子供時代の「思い出」があったように体験できる。もう、おっさんになってしまった自分は子供時代なんてファンタジーみたいなものですから。自分に無い子供時代を追記体験できるのがたまんないねぇ。

 

まあ、現実世界では市が音楽流してるだけど。panpanyaワールドやっぱりファンタジーですわ!夢がある!まるでサンタクロースはいると信じていた穢れなき童心のように戻れる。子供時代を追記体験して、夕方のメロディチャイムを追った結末がね。いいんだ。

 

「あー!僕だってサンタクロースは居るって信じてたんだ!」…そんなメルヘンを呼び覚まし、忘れていた大切な「何か」を掘り起こしてくれる。ありもしないメモリーが懐かしいと感じる。

日常の「おや?」

2

「引き金」

 

なにもノスタルジーにひたるだけではありません。

というのも主人公の「少女」は全話同じ見た目なものの、エピソードによって設定が変わっているからなり。登場人物はみんな見慣れた顔ぶれなのに、話によって全て別人というのが特徴。

 

主人公の設定が子供な時もあれば大人の時もある。大人であろうと「ふと気付かせてくれる」のです。日常の「何か」を!自分も大人になってからは日々の生活で余裕が無くなってしまうのだけど、もっと日常のちょっとした事に目を向けるべきだなーって思わせてくれる。

 

例えば「引き金」は、本当になんてことない話だけど「あぁーっ!」と気付かせてくれる。夏に石焼き芋の屋台が来て、「嘘だろ!?この暑いのに正気か?」と。

 

そして「考える」わけです。季節外れで売れるわけないけど、ひょっとして何かあるのではないかと。本当になんてことないエピソードだけど、日常のちょっとした事に「気付き」と「考える」を与えてくれるのがpanpanya作品の特筆すべき点でしょう。

 

なんとなーく生活をしているのがもったいないとすら思えてしまうぐらい、日々の生活の「あるある」出来事を切り取って、これって何なんだ?って「思考」する主人公。それをデフォルメされた人物で超リアルな日常(町の風景)のギャップがより一層引き立てる。

 

作者の着眼点が素晴らしく、何てことない日常でも「見つける」「考える」がないともったいないのではないかとすら思ってしまうぐらいです。

共感しまくる

3

「知恵」

 

いつもの通学路が持ち物ひとつでこんなに豹変するなんて…

 

日常の「あるある」「考える」を体験して共感するだけでなく、時には哲学的ですらある。「知恵」はリヤカーを持つことでいつもの通路が道路交通法では軽車両にあたって、迷宮と化してしまう話。

 

大げさなようですけど、馴染みの「道」が持ってる荷物ひとつで、迷宮かってなることはありますよ。ふと大きな商品を買ってから帰ろうとするとめっちゃ苦労してしまうって体験は誰でもあることでしょう。それと同じ。そして深いんです。

 

不気味に変わる見慣れてる景色から、解決後の怖くなくなった景色。それをリアルな背景で表現しつつ、大荷物抱えて家に帰った時の安心感がすごく納得できる。

 

普通に暮らしてたらなんとも思わんことを見つけて、それを掘り下げて思考し、ちょっと不思議な世界になるのがクセになります。おすすめです。まる。

 

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ヤマカム

コメント

  1. 匿名 より:

    この作者の日記では
    日常のふとしたことを少し変わった着眼点で考えたことを書いてますが、
    そういう考え方が個性的な漫画を生み出してるんでしょうね

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