『ニセモノの錬金術師』(杉浦次郎、うめ丸)読了。
1巻の段階で言うのもアレですし(ぶっちゃけ1巻ではまだはじまりに過ぎない)、あえて言います。超お勧めであると。
とある世界で、錬金術師として生きようとする、ひとりの人間がおりました。『だんなさま――どうか助けてください』異世界に転生した青年、パラケルススがであったのは、奴隷として売りに出された女性ノラだった。これは、あるひとりの錬金術師が、異世界でがんばるお話。
もともと杉浦次郎先生がpixivにラフ連載はじめた『異世界でがんばる話』で、現在はラフ版はkindleでまとめて無料で読めます。
まじでばちくそ面白い。最後号泣確実!
つまり商業漫画版『ニセモノの錬金術師』は約束された名作と言っていいでしょう。1巻はまだまだ導入部分ですので本格的に面白くなるのは2巻以降かなと。
異世界の転生者と奴隷
1話
主人公のパラケルススはトラックに跳ねられ異世界に転生し、2つのチート能力を貰った。選択したのは「天地万物のレシピ」「セーブメーカー」。前者はレシピ通りに作れば高品質のものが確実に作れ、後者は記憶を持ったまま(一番大切なものを忘れて)時間を戻せるってもの。
錬金術師として生計を立ててる。高額の商品の材料は集められず、簡単に作れる商品は巷に溢れてるので儲からない。チートスキルは隠しておきたいので人は雇えない。そこで思いついたのが魔術的な契約で秘密を厳守する奴隷購入です。
ノラという褐色娘と四肢も舌も目ももがれた半死のエルフの2人の奴隷を購入することになります…。そして色んな事件に巻き込まれていく(1巻はまだ導入なんで特にこれってないけどね)。
なんか「なろう系」みたいな導入ですが、チートでオレTUEEEでもなく、主人公が絶妙な弱さで頑張るのが特徴です。
設定が細かく作り込まれすぎてる
設定が作り込まれてるのが面白いところ。
1話
奴隷契約の設定ひとつ取ってもめちゃくちゃ細かく、作り込まれており買ったら永久に所有できるわけでもなく自由市民の権利を得られるようになるとか。奴隷への報酬などもあります。
まあ、主人公のパラケルススは一夜でノラさんへの感謝がたくさんになって自由市民にしてしまうんですがね…。と言ってもノラさんは出て行くことなく奴隷継続しますが…。
1話
お人好しすぎるパラケルススと奴隷少女ノアの愛の物語なり。
で、細かく作り込まれた接待ってのは「チート能力」「錬金術のアレコレ」「呪術のアレコレ」「魔法のアレコレ」「国の法律」「この世界」など多岐に渡り、フワッと読んでも面白いし、じっくり読むとよりディープに楽しめる仕様になってる。
特に「天地万物のレシピ」「セーブメーカー」の設定は絶妙な匙加減で膝を打つ。
(セーブメーカー)念じるといつでも「セーブポイント」と呼ばれる宝石を作れる。作れるのはひとつだけ。ふたつめを作ったらひとつめは消滅する。代償は砕いた時点でも「一番大切なもの」それに関する記憶や気持ちが失われてしまう。このスキルは使っていない。おそらく「天地万物のレシピ」のことを忘れて使えなくなるからだ(2話)
「天地万物のレシピ」は何でもレシピ通りに作れば素人でも超完成度で作成可能ながら、高級品は材料が揃わないに加えて、レシピが出せるのは5枠までで、完成しないとレシピから消えない。つまり、材料が揃わないレシピを出せば延々に残り続け枠が減る。
「セーブメーカー」は万能なタイムループでは決してなく、使えば「一番大切なもの」に関する記憶と気持ちが消失してしまう。こういう制限が絶妙に面白くしてる。
真の主人公はノラさん
問題ありません。ノラはすぐまた一番になります。はじめてください(3話)
ノラ△□×(さんかっけー死角無し)
「セーブメーカー」を使うデメリットでノラさんを忘れて気持ちが消失するかも…って懸念も吹っ飛ばす「ノラはすぐまた一番になります」と言い切るのばちくそイケメンすぎる。
ちそう!実はこの漫画の真の主人公はノラさんなのです。
ちとネタバレになりますが、パラケルススはピーチ姫も裸足で逃げ出すくらい、囚われのお姫様ムーブしまくるのです。どう見てもヒロインのそれです。そして愛の戦士ノアさんの愛故の活躍が半端なくかっけーす。地球から転生した者の2つのチート能力は他者が奪えるので争奪も当然起こる。
故に『ニセモノの錬金術師』は真の主人公ノラさん、真のヒロインはパラケルススなのだ。バトルでも頑張るけど、弱いのでお姫様ムーブなっちゃうのは仕方ない。
といっても、ノラさんはヒロインとしても秀逸でめちゃくちゃ可愛い恋する乙女(お金も大好き)なのです。
2話
はい!可愛い!!
床上手で1話から誘惑してくるのに、どんどんだんなさま(パラケルスス)に惹かれてく様子が実に良い。どんどん恋する乙女覚醒してくノラさんはめちゃくちゃ可愛い。
真の主人公で可愛さも最強なんです!
キチ○イどもの協奏曲
3話
まだ1巻の段階では片鱗しか見せてませんけど、とても良い人っぽく常識人として登場したアグノシア・デアが「信用できない」「(エルフに)呪いをかけた張本人」と明示されたように、登場人物がどいつもこいつもぶっ飛んで頭がどうかしてます(賛辞)。
そういう意味ではあまりにも善人で良い人すぎるパラケルススも、愛の戦士ノラさんも、頭のネジが2~3本飛んでるヤベー奴という見方ができるかもしれません。でも惹かれるキャラばかり。好きになる。
そう!この漫画の魅力はキャラにある(2巻以降からが本番や)。
みんなみんな頭がおかしいんだ!
それなのに、そう行動する為のバックボーンがちゃんと描かれてる。納得は到底できないが理解できちゃう人生を歩くキチ○イ共しかいない。頭イカれてるのに、どうしてそういう行動するのか「分かる」。
敵かな?味方かな?実は○○でした!ってものから、「えー!お前がここで!」って、どんでん返しがわんさかある。
冷静に考えるとトチ狂ってて「いや!お前頭どうかしてるだろ!」って突っ込みたくなるのに、正義感や善なる動機や罪悪感や人情味があって、ゴミやクズばかりなのに理解できる人生がある。そういうヤベー奴等がバッチバチにぶつかり合う。最高かよ!
約束された勝利の名作
パラケルススとノラさんが尊すぎる
「なろう系」を踏襲した異世界漫画であり、細かすぎる作り込まれた設定、ノラさんマジ可愛く主人公とか、二転三転する物語性とか、頭がおかしい魅力的なキャラたちってのも魅力。
でもさ何だろう…。ラストまで読むと得られる満足感が確実にある。これは一昔前の大作ギャルゲ・エロゲをプレイし終えた感情に近い。お涙頂戴劇場で分かってても撃沈して号泣するアレと同じ。
クラナド風に言えば…家族…いや人生かな!
コメント
最初は面白かったけどノラが主役過ぎて微妙になってきた
2巻まで読んできた
美人なお姉さんたちはネジぶっ飛んでるし髪はキモオジだし
真ヒロイン候補にパパが名乗りあげて来たな!