『お気に召すまま シギサワカヤ短編集』（シギサワカヤ）読了。
ちょっと痛く、ちょっと切なく、ちょっと甘い短編集。
行きずりの恋・刹那の恋・カラダから始まった恋・忍ぶ恋――コミックス未収録の恋愛ショート２５本を中心に「楽園」表紙イラストも多数カラーで収録した著者初のワイドなＡ５判コミックス。
※「マンガPark」なら白泉社系作品無料で読めます。
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『お気に召すまま シギサワカヤ短編集』
WEB楽園で掲載してたショートショートや楽園の表紙イラストを収録。
また、各作品についての作者のコメント有り。
収録作品
「connect」「猫の所在」「封印」「エマージェンシー」「とても おなかが すきました」「Hold me tight」「SF」「あの頃 わたしたちは」「対岸の彼」「傷口と塩」「来るべき未来」「全力迷走の夜」「あなたをわすれる」「心中未遂未遂」「私の欲しいもの」「血液の流れる夜にあなたに会いにゆく」「Carch and Release」「春はこれからだ」「おやすみ」「make merry」「ないてしまうよ。」「グッド・バイ」「君の歌を歌おう」「名残の雪」「ヴァニラ」「嘘吐きの恋」「BLUE ON BLUE」「stay Gold」…と28本の珠玉の短編。
1ページとか2ページとか数ページの作品が多数。
これがね。また良いんだ。
切ない話から、重い話から、砂糖大量のスイーツまであらゆる味が堪能できます。
刺さりまくる
短い話はそれこそ1～2ページなんだけどすっごい刺さる。
数ページなのに、なんとも複雑な女心がたまりません。
夜にメールの内容でムカっとするけど一文だけ嬉しく携帯抱いて寝る女性とか、裸でベッドの上で駄弁ってるだけなのにゾクゾク鳥肌立てること言ったり、会社の上司に「声とか口元とか好きなんで、いっつも真剣に聞いてます」「…なぁんて。…嘘です」って笑うOLさんとか。
なんつーの。SAN値を減らすのに微笑ましくなる。冷たいのに染み渡るような幸福感がある。でも素直に可愛らしい部分だけでなく、どこか面倒くさい部分が一緒という。
可愛くないのに可愛い
「stay Gold」
本当にシギサワカヤ作品のヒロインは「可愛くない」と「可愛い」が表裏一体なんですわ。「うわ！こいつ面倒くさい！」「可愛くない！」と思いつつもそこが「可愛いじゃんか！」と思える不思議な魅力。
「猫の所在」では、男が「好きだ」「お前は？」って聞いても絶対に「好きだ」とは返さず、なんか小難しいことを語りだして解らないとか答えるわけ。でも、「誰でもいい」ではなく最期にデレ部分を見せたり。なんだこのヒネクレ具合！そこがまた可愛いわけで。
大変めんどうでヒネクレた女性が可愛いんだよなぁ。個人的にお気に入りは「stay Gold」。女性同士のガールズラブで、学生時代に付き合ってた2人が社会人になって再開する話。テイストとしては『君だけは光』に近いかな。1人が強キャラで無表情なんだけど、1回だけ赤面するシーンがたまらんわい。健やかな感動的な締めもグッド。
あと「心中未遂未遂」が「あ゛ー！！」って叫んでしまいそうになった。
こちらの日帰り出張で「折角ですからこのまま二人で消えませんか」と言われた上司と部下の話。上司…田村課長は真剣に部下と向き合うが…。で、この田村課長が『箱舟の行方』『未必の恋』に登場した田村修造である。
この「心中未遂未遂」の田村課長が結婚直前に恋人に浮気されたのが『箱舟の行方』『未必の恋』。別にこの2つを知らなくても十分楽しめる仕様ですが、知ってるとより一層なんとも言えない気分になります（褒めてます）。倉田咲と結婚して子供もいる状況の田村なぁー。
そんなこんなでどの話も楽しめました。苦かったり甘かったり重かったり軽かったりと、色んなカップルのエピソード。短いながら男女の機微がギュギュっと濃縮されて読み応え抜群なり。
また、すべての話で「このあとの続き読みたい」と思わせる妙よ。
面白かったです。まる。
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