「エナガが来た!!」
「漫画の未来を切り拓くニューカマー!」
「衝撃の初コミックス!!」
ガッツリと読ませられる。
この短編集は素晴らしいの一言。
ハマってしまいました。
4作の短編集と1つのおまけからなる「Latin 高畠エナガ短編集」。
どの作品も近未来SFを背景にしつつ、深いヒューマンドラマでグイグイ読ませられます。
「Latin 高畠エナガ短編集」
特に傑作だったのは表題作の「Latin」かな。
アンドロイドがいる世界で、捨てられ野良アンドロイドとなったラテンを拾った大学生・渡辺。アンドロイドのくせにまったく働かず家でゴロゴロ過ごし、毎日喧嘩が絶えない。過去や家の事が絡んでいき、両者の絆が深くなるというもの。
人間とポンコツアンドロイドの、一つ下の同棲コメディもの。
両者が胸の内を晒してからの生活が本当にいい。
幸せそうな同居生活
今まで通り毎日喧嘩は絶えないものの、今までの生活とはガラリと変わる。
ラテンの修理を少しずつ進め、ご飯えを作ってくれるようになりなんとも幸せそうな生活。
キャラの喜怒哀楽の表情が特に素敵。高畠エナガ先生の描く女の子の泣き顔と笑顔は北斗神拳の如く、僕の秘孔を突いてくる。
また、直接的な描写はないですけどエロスを感じるのが特徴的。
エロスを感じるんだってばよ
ラテンの修理をするシーンが、僕の心の琴線を刺激しまくる程のエロスがつまっている。秘められたエロっていうんですかね。この程度と思いきや、具体的な性描写がある作品よりもよっぽどエロスがあるんですよね。
そして感情の起伏を描くのが本当に上手い。
「Latin」では渡辺の泣き顔の持っていきかたが唸る。
「本気で泣いたのは後にも先にもあの一日だけだ」と、子供の頃にお世話をしてくれたアンドロイドが捨てられた時だけ本気で泣いたと言う渡辺。
そしてラテンとの同居生活中に渡辺は泣いた。
渡辺泣く
どうやらラテンがいつか家族の元へ帰ってしまう事を考え泣いてしまったようである。
2度目の本気で泣いたである。
育ての親のアンドロイドと同じく、渡辺の中でラテンと過ごす日々がどれだけ大切なものになっているかが伺えます。思わずグッとくる。
しかし、ラテンさん可愛すぎると思うの。
渡辺との思わず頬を緩めてニヤニヤしてしまう。
豊かな表情で照れて赤面してる姿はもはやご褒美状態ですよ。
2人のラブがコメってるシーンは部屋中ゴロゴロ転げまわってしまうレベルです。
なにこのラブコメ
渡辺
「なんか最近、お前のこと人間だって思っちゃうんだよね」
ラテン
「(驚きの表情し)ね…それどういう意味?」
なにこの素晴らしきラブコメっぷりは。
仕草が本当にクソ可愛い。渡辺に意味を濁されれば、次の言葉をウキウキして待ってるラテンさん可愛すぎるだろ。その後、拗ねる態度とかもうね。表情や仕草や態度で感情の起伏を描くのが上手く、これがツボすぎて身悶えするレベル。
終盤の展開といい、これは心温まりニヤニヤしてグッとする素晴らしい短編集ですね。
もちろん「Latin」だけでなく、他の作品もグッとくるもの。
全てSFを背景にしているものの、やってる事はド直球の王道もの。
また、全編に通じているのですが「相互理解」というものが一つのテーマにある。
「Latin」なら人間とロボット、「雪原のネストーレ」なら妖精と亜人、「猫又荘の食卓」なら猫と人間、「Reuersi」なら悪魔と天使…と、種族の違う者がお互いを理解するというのが主軸にありホッコリする。
全力で真っ直ぐ勇気を出すというのも全ての作品に通じる。
熱さと勢いがあります。
何度も言うけどキャラの表情が素晴らしい。お勧めです。
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