最近サンデーではじまった格闘技漫画『レッドブルー』(波切敦)がかなり面白い予感。
いやまあ、まだ試合の一つもしてないし主人公は素人なので本格的な格闘技漫画となるのは当分先だと思いますけどね。プロローグの出だしでけっこう心の琴線に触れる部分がありました。期待大です。
※サンデーうぇぶりなら基本無料で読めます。
『レッドブルー』
主人公はいじめられっこ
主人公の名前は鈴木青葉。
根暗でいじめられっ子です。
いじめられているところを赤沢拳心(U-18総合格闘技チャンピオン)が助けてくれる出だしで物語はスタートします。いじめっ子をワンパンKO。で、赤沢拳心からイジメ対策でちょっと格闘技の手ほどきを受ける。
なんとなく『はじめの一歩』の総合格闘技漫画版なんだなぁって印象でした。一歩もいじめられてるところを鷹村に助けられボクシングを知ってボクサーになったわけじゃないですか。
『レッドブルー』もそんな感じになると思ったんですよ。
ところがどっこい!
イジメから助けてくれた赤沢を殴りかかります。
って、えぇ!?なんでそうなる?
実は主人公の青葉は赤沢のことがずっと嫌いだったのです。赤沢はいわゆる陽キャで、青葉は陰キャそのもの。いわく「キミのポジティブな世界の住人でいるのが、たまらく嫌だった」である。で、ついにキレてしまったわけですね。
陰キャが陽キャに内心イラッとくるのは分かります。分かりますよ。ほっといてくれ!って感じですもんね。そのパリピなノリで絡んでくるなって。でも普通は殴り掛からない。
イジメから助けてくれてありがとう!格闘技教えてくれるんですか。僕も強くなります!的な王道スポーツものでは断じてない。嫌いなんで一発ぶん殴ってやりたいと気付くのです。
主人公の根暗な捻くれた性格が良い意味でフックになってる。
王道ではない「まさか」が面白い
さらに括目すべきポイントは主人公の頭がおかしいことです(褒めてます)。
2話
いじめっ子の岩瀬のもとへやってきて「今日は体育館裏行かないの?」である。これには流石の岩瀬も面食らう。なんで話しかけてくんだと困惑ですよ。
もうイジメないから話しかけてくんなと言っても「また僕と戦いごっこしようよ」と言ってくれる始末です。流石の私も「この主人公ヤベーぞ」「何言ってんだコイツ?」と岩瀬のように背筋がゾワワとなりましたね。
僕に格闘技教えてよ。
(゚Д゚)えぇ…?
「いじめられっ子が助けられる」→「助けてくれた人に憧れる」→「助けてくれた人に格闘技習う」→「ぼくも強くなる」
「いじめられっ子が助けられる」→「助けてくれた人が嫌い」→「いつか殴ってやる」→「いじめっ子に格闘技教えてくれ」
思わず「なんでそうなる?」と「そうきたか!」の感情が入り混じる「まさか」が満載でしたね。この王道ではない「まさか」がこの漫画の面白さキモになってる(ような気がする)。
格闘漫画やバトル漫画において読者がビックリ仰天する「まさか」はとても大事です。絶対勝てないような相手からの逆転とかですね。でもこれって漫画的には王道でもある。
そこいくと『レッドブルー』は王道ではない。邪道の「まさか」。「普通はしねーよ!」という奇想天外な変人っぷり。
でも、王道じゃないのに面白いんですよ。
「お!」と斬新なだけでなくしっかり面白い。読ませる。ワクワクさせてくれる。
王道じゃないのに面白い
良い子の諸君!よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ。王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は作れないぞ!
2ch(5ch)で有名な妙に説得力のあるアスキーアートである。特にスポーツ漫画なんで顕著ですね。王道は「主人公TUEEEEEE」か「ド素人からはじめてひたむきに頑張る(まあ才能ある天才でもある)」。手垢がついてるからこそ、王道だからこそ面白いわけ。
『レッドブルー』のすごいのは「誰もやらなかった事に挑戦する」を地でやってるところかな。いじられっ子が助けた人を殴りたいからいじめっ子に格闘技を教わるって前代未聞でしょう。斬新すぎる。
それなのに「ワクワクする」「ドキドキする」「続きどうなんだ」って吸引力で引っ張ってくれる。ダーク系作品の闇だからこそ面白いとも違って、しっかりスポーツ青春(?)してる。キラキラはしてないけどね。
強くなる(だろう)説得力がある
2話
あと面白くなりそうな予感を感じるのは主人公・青葉が今後強くなるであろうことに「説得力」を持たせている点でしょう。
例えるならテニス漫画の名作『ベイビーステップ』のエーちゃん。ド素人から凄まじいスピードで成長していく様にきちんと説得力を持たせいました。青葉にはそれと同じものがある。
エーちゃんこと丸尾栄一郎の成長スピードは異次元で高校生からテニスはじめて幼少期からやってる者を追いつき追い越していくわけじゃん。それに説得力(を読者が受け取る)のは勉強熱心で何でもメモとってたということ。
青葉もいじめられる中で熱心にメモ取って攻撃を見切れるという説得力を持たせたのは素直に「うまい!」と思いましたね。喘息で学校をよく休んでたのでクラスのみんなの特徴をメモるクセがあったのです。
これは今後の病弱・貧弱・虚弱で陰キャ根暗主人公が格闘技で強くなっていく理由付けとなり読者も納得できるようになっていくでしょう。
きちんと総合格闘技を描く
「打・投・極」あらゆる攻撃が許される最も自由度の高い格闘技…それが総合格闘技だ。(4話)
設定とドライブするストーリー展開が面白いのでふわふわっと総合格闘技(MMA)を題材にしたスポーツ漫画になるかなぁって印象だったんですけど、4話ではきちんとMMAの醍醐味をレクチャーする。
何を隠そう、私は若い頃はプロ野球と同じくらいMMA観戦大好きマンだったのじゃ。競技として最も自由度が高いんですよ。
真っすぐ競技と向き合う姿勢がいいね。高評価です。
タイトル『レッドブルー』が含みあり
1話扉絵(未来の青コーナーやね)
タイトルの『レッドブルー』はよくできてる。
主人公の名前「鈴木青葉」の青と殴ってやりたい「赤沢拳心」の赤。ボクシングでもプロレスでも…もちろん総合格闘技(MMA)でもランク上やチャンピオンは赤コーナーで、ランク下か挑戦者は青コーナーです。
- 鈴木青葉と赤沢拳心の名前「レッドブルー」
- チャンピオンと挑戦者の「レッドブルー」
オーストリアの飲料会社みたいなタイトルとなってるけど『レッドブルー』はうまく出来てる。いつか戦うであろう鈴木青葉と赤沢拳心を見事に表してる。1話の扉絵は挑戦者として青葉がチャンピオン赤沢と戦ってると思わせるもん。
名前に青がつく挑戦者の青葉が、名前に赤がつくチャンピオンの赤沢との試合が見えましたね。まだまだはじまったばかりなのに「うおおおおお!」ですよ。
しかし、気になるところもある。それは階級です。
この体格差よ(1話)
青葉と赤沢はどう見ても体格差がひと回りどころかふた回り以上違います。赤沢と岩瀬なら同階級で試合できそうだが、青葉の体格はまったく違ってる。はるかに小さい。
1話のカラー扉絵(未来)を見る感じそんなに大きくなってる様子はない。あれ?これ青葉と赤沢は階級が全然違うんじゃねーの?試合できないんじゃないの?
初期「UFC」「PRIDE」時代ならまだしも、今はきちっと階級別となってスポーツ格闘技となったMMAです。青葉と赤沢は数階級離れてる。これ試合成立すんの?気になる点である。
それこそ『あしたのジョー』の矢吹丈と力石徹みたいなものですよ。これは原作者と作画の意思疎通が不十分で生まれた偶然の産物ですが…。鈴木青葉と赤沢拳心が公式戦するのは今のところ階級差が開きすぎててあり得ないと思われる。
未来でどうこの2人が交わるのかってところも注目ポイントですね。谷川貞治マジックでも使うか?
そんなこんなで『レッドブルー』はまだ試合してないプロローグの段階ですけど、すっげー面白くなりそうって感じ。総合格闘技好きもそうでない方も設定やストーリーラインが面白いので要チェックですぞ。期待大です。まる。
サンデーうぇぶりで無料で読める
ちなみにサンデー公式アプリ「サンデーうぇぶり」なら波切敦先生の『レッドブル』『switch』が基本無料で読めます。23時間ごとのチケットや広告動画視聴で読めます。チケット購入すればお得に一気読みできる。
【基本無料で読める作品】
・葬送のフリーレン
・メジャーセカンド
・メジャー
・名探偵コナン
・湯神くんには友達がいない
・だがしかし
・ゴーストスイーパー美神
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・H2
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・神のみぞ知るセカイ
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