傑作や…(確信)。
『ランウェイで笑って』(猪ノ谷言葉)1巻が発売されました。
猪ノ谷言葉先生は、週刊少年マガジン新人漫画賞で史上4人目の「特選」を受賞したと読み切り掲載時に語られておりました。マガジン期待の作家だったのであり、ついに来たのかって感じです。はい。
読み切り作品は、絵の上手さ、女の子の可愛さ、なによりキャラの生き生きとした表現がツボで、連載しないのかなとずっと思ってただけに、連載スタートした時は嬉しかったものです。期待通り、いや期待以上の大型新人やないか。
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まあ、読み切り作品『星に願いを』とはまったく違う作品だったのですが。最初に期待してた方向と違ったけど予想を遥かの超える作品といっても過言でない。この『ランウェイで笑って』はとにかく面白い!未読ならば、1話を読んでみて欲しい。
身長は、158cmから伸びなかった・・・。藤戸千雪の夢は「パリ・コレ」モデル。モデルとして致命的な低身長ゆえに、周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は折れない。そんなとき、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人の諦めきれない夢「ファッションデザイナー」を「無理でしょ」と切ってしまい・・・!?「叶わない」宣告をされても、それでも一途に夢を追って走る2人の物語。
ね?めっちゃくそ面白いな!
あかん、これはスゴイわ…(震え)。
パリコレとか服飾とか題材がとっつき難いものの、読んでて「うおおお!」と拳を握りしめること多数、鳥肌を立てること無数なり。
ランウェイで笑って
主人公のひとり藤戸千雪は幼い頃からパリ・コレクションにモデルとして出るという夢がありました。なんでもパリコレに出るには身長が最低でも175㎝必要とのこと。千雪は小4で158㎝もあり、このまま成長すれば175㎝まで伸びると誰もが思っていました。
しかし…。
そこから1㎝も身長が伸びることなく高校3年生を迎えた
ええぇぇぇ!?
なんと千雪は、小4から身長がまったく伸びなかったのでした。175㎝に届かず、回りからはもうパリコレに出ることは不可能であると、もう諦めろと言われるように。それでも、千雪だけはこの身長でもパリコレに出るという夢を諦めませんでした。
冒頭開始1ページで語られたように「これは、わたし藤戸千雪がトップモデルに至るまでの物語」なのである。モデルになることが不可能な身長の女の子がトップモデルを目指す。PRIDEの煽り風に言えば、少女の夢はパリコレに出ることだった。バカげだ夢だと言われ続けた。それでも彼女は諦めなかった!ですよ。
確かにパリコレでトップモデルだと題材は確かにとっつき難い。しかし!しかしである!その根底は清々しいほどの少年漫画なのである。少年漫画の醍醐味は「夢を叶えること」ですからね。「壁にぶち当たる→壁を突破する」の王道ですよ。
夢を諦めない
モデルになるに身長が足りないからって何だってんだ。
158㎝の千雪が、不可能を可能にする(と思う)。無理ゲーに見えて、高い壁を乗り越えることこそ爽快感があるでしょうしね。夢を決して諦めない千雪の姿勢は応援できるし燃えますな。
もうひとりの主人公は、ファッションデザイナーになりたいが、夢を半ば諦めていた草食系男子の都村育人。「装飾系男子」と「草食系男子」をかけてるのだろうか。
ファッションデザイナーになるには、そっち系の専門か大学を卒業してないと事実上不可能のようで、高校卒業したら就職しないといけない家庭事情の為に、ファッションデザイナーの道は閉ざされています。
高卒でもファッションデザイナーになれると思いますか…?
パリコレに立つには「身長」が足りない千雪、ファッションデザイナーになるには「学歴」が足りない育人。2人が普通なら無理ゲーすぎる夢を叶えようとし、そこへ至るまでの紆余曲折やトラブルを描く漫画だと思う。
若い子がひたむきに頑張る姿はジンとくる。しかも、改めて読み返しても1話の完成度と凄まじさは武者震いするのう。身長が足りない千雪が、父親のモデル事務所を納得させるために育人の服を着て歩く1話の見せ場は鳥肌立てまくる。
猪ノ谷言葉先生は、マガジン期待の新人らしく、読み切り『星に願いを』でも、魅せ方と表現の上手さが際立ってたけど、『ランウェイで笑って』はさらに一層際立っている。1話に1回は身震いして脳汁出てしまう描写があり、ただただ圧巻される力強さがある。
158㎝のパリコレモデル…あり得ない
あり得ないはずなのに、あの一瞬
パリ(世界)を見てしまった
『ランウェイで笑って』のキモは魅せ方の凄さでしょう。実際に決めるシーンに圧倒されるし、それを補完するまわりの反応があり、いかにその決めるシーンがすごかったかに説得力があり、読者的にも爆発して盛り上がりMAXなり。
決めシーンへの持って行き方も良い。キャラの感情や状況を徐々に積み重ねて感情移入したら、「見せ場でドン!」と爆発させてくれる。なんという読了の気持ちよさでしょうか。思わず「うおおおお!」となる決めシーンと回りの絶妙すぎる反応である。
見開きの「ここスゴイシーン!」って作者が言いたいの丸分かりなのに、絵的にもストーリー的にもパワーがありすぎて、作者の手の内なんだろうけど、大きな読み応えとなる。
ぶっちゃければ「俺tueee!」なんですよね。
モデルとしての千雪、服飾デザイナーとしての育人の凄さを引き立てる(他の人の凄さの場合もあるが)。もちろん、良い意味での「俺tueee!」作品である。
最高の「俺tueee!」漫画
驚く人がグッと良さを引き立てるな
スゴイっぷりを見せる決めるべきシーンは、それ自体が圧巻の描写でありますが、やはり読者的に凄さに納得できるのは「驚き役」のリアクションっぷりでしょう。リアクションがめちゃくそ上手い。
これは『四月は君の嘘』や『響 小説家になる方法』も同様なんですけど、いかにソレが凄まじいのかを表現することに長けてる。、驚く人のリアクションが重要で、奇跡を目の当たりにしているかのようなワンシーンの説得力も増し増しにしてくれますからね。
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『ランウェイで笑って』は、決めるシーンの見せ場と一緒に、それを見ている第三者が面白さを一層引き立てて自然と納得できるので、見せシーンを読めば鳥肌を立てながら、ジンと感動するのである。
1巻だけで何度もブルッと来ましたわ…。
うおー!これは熱いぞー!凄いぞー!気持ち良いぞー!って。
魅せるべきシーンと使い方が文句無しに秀逸。流石はマガジン史で4人しか取ったことがない新人賞「特選」を獲得しただけある。読み切り時での表現の上手さをさらに磨いておる。これが新人作家なのかという驚き。漫画としての「決め方、説得力、爽快感」が見事で感動を呼ぶ。涙腺を刺激してきやがる。
千雪ちゃんペロペロ
千雪
可愛いな!おい!
夢を追う若者、決めるシーンの魅せ方、単純に先が楽しみ…と、見所満載な中で個人的に一番なのは千雪の可愛さであります。ラブコメ方面に期待してるかしてないか聞かれれば、どっちでもいいんですよ。
それでも、千雪の可愛い姿が最高かどうか聞かれたら即答する。もっとペロペロしたいと。まあ、ヒロインというよりかはダブル主人公制なので、千雪と育人の2人成長物語がメインだろうかえど、千雪にペロペロしたいというのも偽らざる気持ちなり。
てか、1巻でも十分可愛さを魅せてくれてるので今後が楽しみです。育人いわく「中身の男っぽさ外見の女性っぽさ(ギャップ)」とのことですが、着る服同様に、ここぞで披露する乙女の姿がめがっさ可愛いです。はい。
コメント
これもいつか袋とじウコチャヌプコロやるのだろうか?
ヤマカムさんのレビュー楽しみに待っていました!
『ランウェイで笑って』の特に素晴らしいのは、プロとその現場がとてもしっかりと描写されている所なんですよね。それで、千雪と育人の2人成長物語の魅せ場が更に光るという。
まあ言いたい事は、困っている時の千雪の表情がとてもカワイイ、なのですが。
この漫画、一話目だけは本当に良かったと思うのですが、あとは失速していく感じですね。
東京コレクションの時も「ふみよ」というモブキャラのポエムが炸裂していてどうも興醒めしてしまいましたし。
それとおかっぱ君の師匠である柳田というキャラが性格が悪すぎてどうにも好きになれません。
題材や絵柄、コマ割り、演出法など、かなり少女漫画っぽいんで、少年誌なんかよりもそっちでやった方がいいんじゃないかなーとは思いますね。
コレは名作になる(確信)